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SF小説-民営自衛隊㈱ #4:自衛隊分割は『NTT方式』で

Chapter4:自衛隊分割は『NTT方式』で

 自衛隊民営化に伴う組織分割は、様々な角度で検討されたが、最終的に浮かび上がったのは、いわゆる『NTT方式』である。
 日本を大きく2つに分ける。『JR方式』案では5ブロックに分けたが、『NTT方式』は2つ。
 「JDA東日本」と「JDA西日本」(正式名称は「東日本ジャパンディフェンスエージェンシー株式会社」などとなる)。ともに陸海空セットの企業展開である。
 JDA東日本は北海道・東北・関東及び沖縄を管轄する。沖縄は太平洋海域での米軍との提携が密なので、JDA東日本が担当。JDA西日本は、中部・北陸・近畿・中四国・九州を管轄する。とくに日本海方面での活動が重視される。全国統一での業務展開が必要な場合は、東西連絡会議が招集される。有事の場合、この会議の議長は内閣総理大臣となる。
 
 ここで両社の拠点・施設を見ておこう。但し現段階での自民調内部での仮案である。尚、DIVはディビジョンの略。(参考図表:NTT方式によるエリア分割案)

JDA東日本と西日本の棲み分け

 まずJDA東日本。
  本社:東京(横田)
  支社:那覇
 さらに陸海空フォースディビジョン事業所を各地に置く。
  エアDIV:千歳
  グランドDIV:仙台
  シーDIV:横須賀・大湊

 JDA西日本は、以下の通り。
  本社:名古屋(小牧)
  支社:大阪(伊丹)
  エアDIV:小松・福岡
  グランドDIV:熊本
  シーDIV:佐世保・呉・舞鶴

 JDA東日本の本社は市ヶ谷ではなく、横田である。都心一等地の市ヶ谷は、六本木ヒルズを超えるビジネス&高級集合住宅街として再開発し、より多くの地代収入を確保したい。また、JDA東日本の業務活動の多くは米軍との連携になるので、横田基地を共同利用するほうが便利だからである。

 JDA西日本は大阪本社という提案もあった。現状の自衛隊伊丹基地を拡大し、大阪空港を自衛隊専用使用にする案である。しかし、地元11市協の反対は強く実現の見込みが立たない。一方名古屋はセントレア国際空港の開港により、名古屋(小牧)空港がほぼ自衛隊専用で使えることが強みとなり、自民調案では名古屋本社とされた。

 民営自衛隊東西2社の陣容はこのようなものだが、実はもう1社、中核会社を想定している。NTTグループでいえば、NTTコミュニケーションズのような存在。つまり国際業務会社である。
 自衛隊分割案で『NTT方式』が浮上したのには、この第3の会社、『JDAワールドワイド(略称:JDAW)』の果たす役割が大きい。

>>第5話へつづく
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※この記事は2005年5月18日にブログ『tanpopost』に掲載したものです。
内容はフィクション(SF)であり、実在の団体・人物等とはまったく関係ありません。

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