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失われた技術「旧林家住宅」

こんにちは!3度の飯よりレトロ建築が好き!ヒトミです。

突然ですが、「金唐革紙」を知っていますか?

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主に明治時代に作られていた和紙をなめして革のようにした壁紙のことです。元々ヨーロッパの貴族の屋敷を飾っていた本物の革で出来た壁紙だったのですが、日本に伝わり和紙で作られるようになりました。ですが、その製造技術は途絶えてしまい今では作られていません。

そんな貴重な金唐革紙が当時のまま残る旧林家住宅をご紹介します!!

「旧林家住宅」とは・・・

長野県岡谷市。岡谷駅から10分くらい歩くとその建物があります。明治40年に製糸業で財を築いた林国蔵の住居でした。

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なんと駅から歩いてきた距離がそのまま当時は製糸工場の敷地だったそうです!!

明治期の住宅は和館と洋館がくっついているのが特徴でこの旧林家住宅もそのスタイルです。

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こちらが洋館側の入口。主に取引先の客人を迎えるために使われていました。

宮大工の技術

この建物、実は宮大工が手掛けたこともありその素晴らしい技術を見ることもできます!!

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入ってすぐの和室。欄間の彫刻が細かくて壮大です。

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ものすごく立派な仏壇。中のほうまで細かく作られています。

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洋館のドア上にあるモチーフ。石膏で出来ているのですが、なんと石膏が乾く30分から1時間の間に小手一つで仕上げているのです!

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金唐革紙をふんだんに使った和室

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いよいよ本題の金唐革紙の張り巡らされた和室です。

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ちょっとわかりづらいのですが、天井・壁・襖・・・畳以外のすべてに使われているのです!

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実は林国蔵には子供がいなくて長年空き家だったのですが、この和室が蔵の中という変わった場所にあり光・湿気が遮断されていたためあまり劣化せず残っていたそうです。

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この二つの金唐革紙、上は当時の物で下は再現したレプリカなんですがこの大きな違いに驚きます。

当時の物は鳥の細かな羽毛や背景のひし形の模様がはっきり出ているのに対してレプリカはとても不鮮明。。。この細かな模様の再現はできないのです。

当時は造幣局が製造していて高級品だったため、この金唐革紙が使われているということは財力の証だったそうなのですが次第に民間が作った粗悪な物が出回るようになりだんだん価値が薄れしまいには誰も作らなくなって技術が途絶えてしまったそうです。

人の手という可能性

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ここまで見事な彫刻や金唐革紙を見てきましたが、一つ思うことは現代のさまざまな技術が発展した世の中でも再現できない物があるということです。

再現できなくても誰も困らないかもしれないし、今はもう需要の無い物かもしれませんがこういった失われて再現不可能な技術が形を残していて、私たちがそれを見ることによって「人の手仕事はどんな発達した機械よりも可能性を秘めている」ということを実感できるのではないでしょうか?

何か物を作ることが好きな方、ぜひ自信をもって技術を磨いていってほしい!そんなことを思った建物でした!


ここまで読んでいただきありがとうございました!!

また次の記事も読んでいただけると幸いです!!それでは!!


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