お金は生活を便利にし、便利さはコミュニケーションを削ぐ@ネパール🇳🇵
どうも、世界を旅するうどん屋「谷村うどん」のジョンです。世界各国を出張スタイルで3年間。世界20カ国(アジア、アフリカ、ヨーロッパ、中東、中米)で、数千人以上の方々が谷村うどんをススりました。
世界的にはヒマラヤ、エベレストのある国として知られるネパールですが、実は日本人のファンがかなり多い国です。世界70カ国訪れた世界を旅するうどん屋のお気に入りの国トップ3には入るであろうこの国で過ごした1ヶ月の渾身の総まとめ前編です。
結構前からずっと、外国の村で、無料でうどんを作るということをしてみたかったのですが、やっとのことで挑戦できました。
谷村うどんの告知は主にフェイスブックを通じてしていてとても有効ですが、日本文化に興味がある、食通である、SNS感度が高い方々でない限り、なかなかリーチ出来ない層の方々がいるという側面があり、街から離れたところに住む人にリーチするのは難しいので、ゲリラ的に学校にお邪魔して勝手にうどんつくってきました(笑)
ところが結論から言うと、ゲリラで村でうどんを作ることの難しさを感じました。以下のような理由です。
・相手には相手の元々のスケジュールがあるので、茹で上がりの一番美味しい状態のうどんを食べてもらうことが難しい
・基本的に田舎の人々は、外国の食べ物を食べることに躊躇いがある
・醤油や出汁のような味わいに馴染みがないので抵抗感がある
「ネパールの田舎の村で日本のうどんを作る!」というとキャッチーだし、テレビ番組とかでもこういうのよくありますが、個人的な感覚としては全員がハッピーなイベントにするのは難しいと思いました。もちろん視聴者は面白そうなので喜びますが、現地のネパール人は気持ち的には他国の食べ物を食べる機会が与えられて喜んでくれているとは思いますが、実際多くの村の人は外国の食べ物を食べたいと思ってはいないという印象を受けました。作る側的にも、もっと喜んでくれる層の人たちがいるので、その方々に向けて作った方が受け取る側の提供する側もハッピーです。
ちなみにネパールの超オーソドックス料理と言えば、ダルバート(2枚目の写真)と呼ばれるこんな料理ですが(1枚目は村で頂いた謎の食べ物)
トゥクパと呼ばれるこんな感じの、ネパールのうどんとも称される食べ物もあるので、村の子供達にも割とハードル高くなく食べてもらえた気がします。とはいえ、やっぱり村で外国の料理作るのは色々な意味でハードル高いです。
(当時の日記より)
仲良くなるためには、相手と同じことをする。
世界を旅するうどん屋をしていると、老若男女、様々な人種の方々にうどんを食べてもらったり、泊めてもらうことになる。イスラエルのユダヤ教徒のご家庭に泊めてもらったり、オーストラリアで80代以上だけの会でうどんを作ったり、ネパールの村の学校でアンダー10才の子供達にうどんを作ったりするわけである。出張スタイルとは聞こえはいいが、つまりは「人のプライベートスペースにお邪魔する」ことでもある。そのためには、色々な人たちに受け入れてもらう必要がある。人間的に受け入れられなかったら、うどんも食べてもらえないし、世界を旅するうどん屋は破滅である。
ハウツー的に語ってしまうと何とも味気ないものになってしまうのだが、これまでの経験から「相手と同じことをする」ということは、信頼関係を生む上で世界共通で超絶大事なことのように思う。仲良くなりたければ、子供が跳ね回っていたら一緒に跳ね回るべきだし、踊っていたら一緒に踊るべきなのである。外国人は、日本に来たらうどんを音を立ててすするべきだし、日本人はインドにいったらカレーを手で食べるべきである。そうしなければ、永遠に外国人であり、観光客であり、ブラザーではないのである。不思議なことに、言葉がわからない国で、相手が言った言葉をそれっぽく真似していうと、結構受けが良い(バカにされてるのかもしれないが)。
不思議なことに、子供達がふざけてやっている動きをそれっぽく真似をすると、結構受けが良い。きっと、同じことをするということは、相手を受け入れることであり、ひいてはその人の文化、母国を受け入れることなのだと思う。私も、なんだかんだで、食べ物を足で踏んだことがない人たちがうどん生地を踏んでくれ、音を立てて食べることが礼儀正しい行為でないとしてきた人たちがうどんをすすってくれた時には、世界を旅するうどん屋と日本文化を受け入れてくれたようで、温かい気持ちになるのである。世界平和の一歩はこういうところにあるように思う。
ネパール・カトマンズにあるJ’s Japanese cooking studioさんにて、皆様の多大なるサポートのもと、ネパールで初うどんを作らせていただくことができました。ネパール人含む様々な国の方々にご参加頂き、久しぶりの20人規模の会となりました。ありがとうございました。
宣伝用に使えるので、無駄にインスタ映えを意識してみたり。
そんな写真が沢山載ってる世界を旅するうどん屋の超絶大人気インスタアカウントはこちら!!!!
そんなこんなで有難いことに世界を旅するうどん屋がネパールの新聞に載りました。
ネパール・カトマンズにあるvillage cafeさんで働く女性スタッフの方々にうどんワークショップをさせて頂きました!village cafeさんでは村の女性が持つネパール固有の料理のスキルを活かすためにカフェという場を与え、村の女性の社会進出を促す活動をされています。
ちなみにネパールのうどん作りは、これまで訪れた国の中でもトップレベルに苦労しました。まずはこんな感じのナンとかチャパティ用の小麦粉しかスーパーで見つかりませんでした。というか、そもそも商店のようなものは沢山ありますが、スーパーというものがあんまりないです。あと、エスカレーターというものも首都カトマンズでさえ、ほぼないです。ナン用の小麦粉で作ると、茶色っぽいうどんになったりします。
スーパーがないもんで、麺づくりをしてそうな中華料理屋にアタックしたりして使ってる小麦粉見せてもらったりしました。この小麦粉はサラサラで真っ白です。ちなみにネパールやインドでは小麦粉は「MAIDA(マイダ)」と呼ばれてます。インドとかではマイダは製粉されすぎてて体に悪いという評判です。でもナン用の小麦粉よりは、マイダの方がうどんはツルツルして美味しいです。これは学校ではまず学ばない知識でしょう(笑)
ちなみに3年間世界中でうどんを作ってきた今でさえ、うどんを上手く作れるかドキドキしてます。特に材料が揃わなかったり、茹でてる途中に停電したりすると(笑)
ネパールの首都カトマンズってこんな感じ。
ネパールの超有名料理でこんな餃子のような食べ物、モモと呼ばれるものがありますが
有名モモ店で、モモ作り体験を一緒にさせて頂きました。
なぜこうなった・・・。ちなみにカトマンズでは2015年に大きな地震がありました。これは関係ないと思いますが、各所でその跡が見て取れます。
世界各地で日本食食べましたが、コスパや味踏まえて確実にトップクラス。カトマンズで食べられるスタ丼。半端ないクオリティー。
(当時の日記より)
お金は生活を便利にし、便利さはコミュニケーションを削ぐ
旅は、お金があるとイージーゲームである。例えば前回ネパールの村を訪れた時は、バスがあるかを聞きまわった結果、なかった。なかったので、行きたい方向に向かって歩きながら、後ろから来るトラックやらバイクやらに声を掛けまくったところ、無料でいいぜ!という気前の良いネパール兄ちゃんがバイクの後ろに乗せてくれた。(本当は、100ルピーでどや?というと、300ルピーか無料どちらか選べ、という哲学的問いを受けて、なんとセクシーな問いかけなんだ、と感動した)
お金があれば、きっとタクシーに乗って終わりだろう。この上なく便利である。砂埃の舞うネパールの道路を、重い荷物を背負いながら歩かなくていい。
一方で、仮にタクシーに乗っていたら、ネパール兄ちゃんの優しさに触れることも、哲学的問いを受けることもなかったのだろう。ヒューマンドラマなき旅に、面白みはない。そう思うと、お金が生み出せる数ある中での一つの効用は、便利さを生み出すこと。そして、便利さは人とのコミュニケーション機会を削ぎ落とす。
日本の離島に住む若者が、東京に憧れる。東京に行ってみたら、超絶便利な世界。だけど、都会のアパート生活は、それぞれの明確なプライベート空間を持ち、人との関わりはなく、孤独である、という話はよく聞く話である。
ネパールでは、日本に行こう!という謳い文句の看板をよく見る。つまり、日本に出稼ぎに行けば、日本での稼ぎはネパールより良いので、ネパールの家族もより良い生活ができる!ということなのだろう(と推測する)。他にもオーストラリア、イギリス、ドバイなどは出稼ぎ先としてネパールではよく挙がる。
上記のような事象から、勝手に想像するに、日本に行ったネパール人の今後の生活はより良いものになるのだろうか?と懐疑的である。日本から持ち帰った金で、確かに最低生活ラインに必要な医療費、生活費を捻出するのは良いと思う。ただそれ以上の便利な生活を求めれば、村の人たちは都会に出て、刺激的な生活を送る一方、家族のコミュニケーションの場は減るだろう。勿論、これは数あるシナリオのうちの一つに過ぎない。そうならない可能性もある。それでも、そういう結末もあると感じる、ということである。
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