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| めがねと暮らす |             谷口眼鏡の作り手紹介 vol.01

谷口眼鏡で働く作り手たちや暮らす地域を紹介する企画「めがねと暮らす」。今回紹介するのは、越前市出身の職人、河上広実さん。長年アパレル企業に勤務し、31歳の時に谷口眼鏡に入社しました。「はじめて作業場に入った時に感じた職人たちのオーラに圧倒された」とめがねづくりに魅了され、今ではベテランの職人として活躍しています。めがね業界を志したきっかけやめがねづくりの奥深さについて話を伺いました。


アパレル業界から眼鏡職人への転身。日々の
感覚の積み重ねが技術につながっていく。

河上広実さん(37歳)

転勤族から地元に貢献できる仕事へ

昔から洋服が好きだった河上さんは、大学在学中から全国チェーンのアパレル企業に勤務。アルバイトから社員になり、店舗では副店長を務めるなどキャリアを積み上げていました。転機は第一子の出産。仕事柄、数年ごとに全国転勤があるため、地元・福井で腰を据えて子どもの成長を見守りたいと思ったことから新しい道を探し始めます。
 
次はどんな仕事をしようかと考えるなかで、浮かんだのは幼少期の思い出でした。「もともと親や親戚が福井の伝統工芸の仕事にかかわっていたこともあり、小さい頃からものづくりが身近な環境でした。転勤でいろんな地域に行きましたが、次は地元に貢献できる仕事をしてみたい。それならものづくりはどうだろうと思ったんです」。
 
なかでも河上さんが興味を持ったのがめがね。“鯖江のめがね”はメディアでも取り上げられ、全国的に認知度が拡大していました。さらに河上さん自身もファッションの一部として20本ほど持っていたことから、身近なアイテムだったそう。めがねに関連する仕事を探し、2018年谷口眼鏡に入社。「いくつか企業を比べていましたが、募集要項に書かれていた『地域貢献やユーザーとのかかわりを大切にしている』という言葉が決め手でした」。

うまくいった感覚を身体に染み込ませていく

入社初日からやすりを使った作業に挑戦した河上さんでしたが、早速壁にぶち当たります。「前職ではミシンを使うこともあったし、プラモデルなど細かい作業も好き。器用さには多少自信があったのですが、こうも自分の手が動かないのかとショックを受けました」やすりがけと磨きはめがね職人の基礎中の基礎。しかし、手の角度や力加減、向きがほんのわずかでもずれるだけで求める仕上がりにはなりません。良し悪しは数値で表せるものではなく、職人の感覚でつかむもの。「先輩に見せて『これでいいよ』と言われた時の感覚を身体のなかに染み込ませていく毎日でした」と河上さんはいいます。

入社して6年。悩みながら成長したい

めがねは本来分業制ですが、谷口眼鏡では自社でフレームの製作から組み立て、出荷まで携わります。「新しいかたちのめがねを担当する時はどうすればきれいに磨けるかをスタッフみんなで話し合って作業を進めていきます。自分たちで考えて作業し、完成したものがずらっと並んだ瞬間は達成感がありますね」。谷口眼鏡で働き始めて6年。すっかりベテランとして活躍している河上さんですが、その視線はもっと先にあるようです。「私の倍のスピードで仕上げる先輩もいるので、まだまだです。後輩たちとともに一緒に悩みながら、これからも成長していきたいですね」日々試行錯誤を重ね、その奥深さを感じながら、河上さんは今日も納得できる一本を目指してめがねと向き合い続けます。

作り手の一問一答 | 河上編

Q.谷口眼鏡を知ったきっかけは?
A.ハローワークでめがねの企業を探していた時に出会いました。
 
Q.結婚していますか、もしくはパートナーはいますか?
A.結婚していて、子ども(6歳、4歳)とパートナーがいます。
 
Q.休日の過ごし方は?
A.家族の用事につきあうことが多いです。毎日子どもの成長を見ることが楽しみ。平日も帰宅はそんなに遅くないので家族で過ごす時間があるのは嬉しいですね。
 
Q.谷口眼鏡で働きはじめて変化したことは?
A.めがねを見る視点。これまで色やデザインを見てきましたが、鼻にあたるところ耳にあたるところ、左右のバランス、厚みなど細かいところを気にするようになりました。
 
Q.眼鏡業界で仕事をしたいと考えている人に一言。
A.ものづくりの経験がなくても大丈夫です。私も全然できなかったけど、周りの先輩がしっかり教えてくれました。次はもっとうまくなろうという向上心や負けん気のある方、何よりもめがねづくりを楽しめる方であれば活躍できます!


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