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谷郁雄の詩のノート23

2月に高円寺駅前にドトールが開店しました。高円寺にはカフェはたくさんありますが、ドトールは初出店です。このお店、コーヒー1杯550円と他のドトールに比べて高めの価格設定ですが、連日満員の盛況ぶり。4月には、ガード下にあった昭和レトロな服屋さんがタリーズコーヒーなどの小洒落た飲食のお店に生まれ変わり、そこもまた人気のスポットになりつつあります。高円寺も時代とともに街の姿を変えていくのでしょう。そこで今回は、なんとなく「時の流れ」を意識して書いた詩を3つお届けしたいと思います。楽しんでいただけるといいのですが・・・(詩集「詩を読みたくなる日」も読んでいただけると嬉しいです)


「花畑」

日々は
くり返しのように
思えても

昨日を
なぞる線は
微妙に
ずれていく

そして
ぼくは
ずいぶん
遠くまで来てしまった

ぼくが
産声をあげた
小さな家は
いまは
小さな花畑になっていると
人から聞いた


「閉店」

古いお店が
なくなると
心に小さな
穴があく

けれど
古いお店が
あった場所には
もっと古いお店があった
のかもしれない
美しい木が生きていた
のかもしれない

古いお店の
コーヒーの味だけが
ぼくの舌に
残って香る

「コンバース」

靴底が
減ってきたコンバース
靴ひもも
汚れて黒ずんでいる

あと
どれくらい
履けるだろう

まだまだ
大丈夫さと
コンバース

頼りに
してるよと
ぼく

そろそろかなと
思っている
内心を
見透かされないように

しっかり
靴ひも結んで
いざ街へ

©Ikuo  Tani  2023


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