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谷郁雄の詩のノート8

noteの連載用にと、散歩や仕事に行く途中で、気になる物や面白い物を見つけると、こっそり撮影しています。前回(詩のノート7)、女性の顔が3つも印刷されたシュールなTシャツを着たじいさんとすれ違い、お願いして撮影させてもらったのですが、立ち話をしたところ、その方はとんでもない人生を歩んできた人物であることを知りました。一時期は音楽業界で大活躍し、沢田研二さんや木の実ナナさんなど昭和の大スターを育てた名プロデューサーだったことを知りました。道を歩けばいろいろな出会いがありますね。話は写真にもどりますが、今回は写真はたくさん撮りましたが、ズバリこの1枚という写真がなかったので、近所のパチンコ屋の看板を見ていただくことにしました。これはこれで、面白いでしょう、か???(詩集「詩を読みたくなる日」も読んでいただけると嬉しいです)

「子供が新しい言葉を知っていくように」

子供が少しずつ
新しい言葉を
知っていくように

ぼくも
知っていきたい

まだ
知らなかった
世界のこと
人のこと

自分自身のこと


「体育座り」

君は
小さなことで
くよくよ悩んでいる
一つの黒い考えが
頭の中をくるくる
めぐり続けている
人としてダメすぎて
生きる価値もないと
部屋のすみっこで
体育座りしている

あの頃は
おしりの下に
校庭の地面があり
上には広い空があり
やさしい友達がいて
好きだった先生がいた

一人だけの
体育座りは
ただ
おしりが痛いだけです


「定規」

少しだけ
曲がっている道
右か左に
傾いている電柱

定規で
まっすぐ引いた線よりも
フリーハンドで
一息に引いた線

まっすぐな道を
歩くと
心が疲れる
すべてが
見えすぎて
何も見えてこない

人だって
同じ
心が定規で
できている人とは
心の距離が縮まらない


「今日」

今日が大切と
言われても

昨日
出会った
あの人の
やさしい笑顔が
忘れられない

今日がすべてと
分かっていても

明日が
なければ
今日は
ただの
人生最後の日


©Ikuo  Tani  2022


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