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五反田のバーでのロックな体験。思わず言った「また来ます」の一言と、忘れかけてた気持ち。

東京、五反田。

無料案内所やキャバクラのキャッチがうろうろいる、いかにも治安の悪そうな一角。一人で歩くには少し不安を覚える場所。

その日は、仕事で仙台から東京への出張1日目の終わりで、五反田にある窮屈なカプセルホテルで一夜を過ごす予定だった。


21時頃、一緒に出張で来ていた上司に飲みに誘われ、少し五反田をウロウロ。

ラブホテルが立ち並ぶ区画に突然、音楽をかじってそうなBarらしき店の看板を発見。

地下にあったので、階段を下りる。階段の途中にはギターや音楽に関する絵画が飾ってあり、「雰囲気良いな」など言いながら階段を降り、店のドアを開け中へ。


中は、想像以上の、これぞ「隠れBar」。

カウンターに5~6人ほどいたので、隠れBarとは言いつつも、知る人ぞ知るBarとも思えた。

外を歩いていた時に感じていた不安や怖さは無くなっていた。


カウンターには、知らないウイスキーがずらり。

客席には、やはり音楽が好きなのだろう。味のあるスピーカー、真空管らしきアンプ、レコードプレイヤー、知らないエフェクター、高そうなストラト、弦の無いアコースティックギター、GibsonのSG、など。

モノで溢れていた。

店主は気さくだけど落ち着きのある良いおやじ。
聞くに大阪出身らしい。納得。


酒が回ってきて、お客さんも少なくなってきたあたり、上司に「弾いてこいよおまえ」と言わた。上司は、昔自分がバンドでギターをやっていたことを知っている。

店主もどうぞと言うので、ギターを手に取った。
アンプの電源もつけてくれたので、店内に自分のギターの音が響いた。

が、ギターなんて数年弾いてないに等しい。
爪は伸びてる。
ロック出身だから、ピックが無いと弾くに弾けない。

自分がGLAY好きなことも知っている上司から「GLAYのHOWEVERとかは?」と言われ、手は覚えてるけど、ガツンと弾けない。


そんなこんな、「最近弾いてないんですよね」なんて言い訳しつつフワフワと弾いて、店主にギターを交代。

ボーカル上司、ギター店主によるDEENの「このまま君だけを奪い去りたい」の弾き語りセッションが開始。

いや、その世代か。
曲は知ってるけど…


店主と上司のセッションが終わり、もう一人カウンターにいた50歳は超えているであろう男性のお客さんも音楽をやってた方らしく、もうひとセッション。

もはや知らない曲 (笑)


でも、雰囲気は最高。

若さゆえのロックじゃなくて、歳をとった時にできるロックを感じた。

曲を知ってる知らないじゃない、何か。

感動すら覚えた。


と同時に。
あの場でガツンと弾けない自分に悔しさを感じた瞬間でもあった。

10年以上、ロックをやってきたのに。
ギター歴で言ったら、中学生の頃から弾いているので、15年が経つ。

今思えば、「最近弾いてない」なんて言い訳、恥ずかしい。

10年以上の過去を否定しているみたいだ。

全然ロックじゃない。最近なんで弾かなくなったんだろう…


帰り際、店主に思わず言った。

「また来ます」と。




余談

※ここからはうまく言葉にしきれてないので、殴り書きになる。

これは予想だが、あの店主はお客さんとのセッションするためにギターの練習とかを営業の合間を縫ってしてるのではないだろうか、と。

もちろんBarである以上、お客さんとのコミュニケーションも必要だろうけど、お店の本来やるべきは「お酒の提供」である。お客さんが不自由することなくお酒を提供していれば、それなりに営業を続けれるはずである。

ただ、お客さんと一緒にセッションまでするなんてことある?

お客さんが知ってる曲を流すとか、カラオケ音源流して歌わせるとかなら聞いたことあるけど。

もちろん、店主もちゃんと楽しんでいる様子だった。
気持ちよさそうにコーラス入れたり、ハモったりしてたし。

単なるお酒の提供場じゃなくて、お客さんだけが盛り上がってくれるような場の提供じゃなくて、「来てくれたお客さんに、他ではできない体験・経験をさせてあげたい」のような、他とは違う精神・意識・心構えを、うっすらながら感じた。

もしかしたら私の考えすぎかもしれない。
あの店主は特に何も考えてないかもしれない笑

でも、なんというか。

サービス業だから、飲食店だから、Web制作だから、ビジネスだから、お金になるからとか関係なく、この気持ちは人と付き合う上で大切な気がした。

例えるなら、演奏は下手だけどファンサービスがすごいアマチュアバンドマンと、演奏はプロ並みでライブ経験豊富で技術もあるけどファンサービスが全くないアマチュアバンド、どっちにファンが多いかって話

自分自身、音楽をやっていた頃はファンのためを思って行動していた気がするが、ここ数年で音楽から離れ、Webディレクターとして仕事とってこいとか、売り上げとか、効率的に、KPI、MECE…とか言われているうちに、忘れてたかもしれない。。。

こんなことを考えるキッカケが、五反田のラブホ街の一角にあるBarというのがまたびっくり。東京は何があるか分からない。

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