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採用とは何か?~離職率0%・自己実現・企業成長を実現する新卒採用①~

人材採用において、採用と定着は大きな課題の一つではないでしょうか。特に新卒の3年以内離職率は、なかなか3割を切らない状況です。

私も10年以上の採用担当を担う中で最初は苦労していました。しかし、工夫をすることで、途中からは新卒3年以内の離職率を0%に抑えることができました。

そこでこれまでの経験をまとめていきたいと思います。それにあたって今回は、そもそも採用とは何か?という話です。

1.企業が直面する採用の2つの壁

企業成長において採用は欠かせないものですが、今後2つの壁にぶつかります。

(1)少子高齢化による労働力人口の減少
パーソル総合研究所のレポートでは、2030年には644万人の労働者が不足するとされています。産業によっては、余剰人員が出る分野もあるようですが、トータルで644万人というのはインパクトのある数字です。

この不足を補う方法として同レポートでは、生産性の向上以外では、女性の活躍・シニアの活用・外国人労働者の受入を挙げています。その他、国が推し進めていた非正規雇用者の活用なども含まれると考えられます。

今後、大卒者は減少が考えられ、新卒採用は苛烈になることが予想されます。いかにして定期的に労働者を確保するかは、大きなテーマの1つになるでしょう

(2)転職希望者による人材の流動化
コロナにより転職者数は減少していますが、転職希望者数は増えています(JILPTのレポートより)。

これは、正社員のうち、労働環境が悪化した人(賃金減少や休業など)が転職を希望しているというものです。また、第一生命経済研究所では、2020年までのデータになりますが、ホワイトカラーの転職希望者が増加していることが示されています。経済の状態や、働き方改革による影響により、転職希望者は増えています。

コロナが終息した後には、転職者が増加すると考えられ、いかにして社員の流出を防ぐかは、課題の1つと言えます

https://www.dlri.co.jp/report/macro/155140.html

2.採用の目的は何か?

少し話は変わりますが、そもそも採用とは何のために行うのでしょうか。
一言で言えば企業の成長のためです。
限られた人員数ではできることにも限りがあります。そうすると企業成長も頭打ちになるため人材採用をするのです。

ただ、採用理由は大きく2つに分けることができます。

①新しいことを進めていくため攻めの採用(増員)
②既存事業を衰退させないため
守りの採用(補充)

既存事業を残しつつ、新規事業であったり事業拡大をするためには、当然ながら増員が必要です。また、定年等の自然減も含めて減員する可能性がありますから、既存事業の安定のための補充も必要となります。

ここで考えたいのが、企業が直面する2つの壁です。

私たちには、労働力の減少と人材の流動化という2つの壁があります。この壁に立ち向かいながら、増員と補充をする必要があるのです。

つまり、企業成長のためには、減少する労働力の中で増員をしながら、流動性が高まる中で補充を行う必要があるということです。

3.目指すべき採用の5ステップ

それでは、この環境の中で私たちが目指すべき採用の姿とはどのようなものなのか。それは全部で5つのステップがあると考えます。

まずは「採用」をすること。これがなければ始まりません。

次が、人材流出という出血を止めること、つまり「定着」です。大変な思いをして採用し、育成の時間を取ったのに戦力になる前に辞めてしまう。現場が育成で止まるため、新しいことには着手できず、既存事業も疎かになっていく。人が不足するから、また採用にコストをかかり、その間に現場はどんどん疲弊する。この負のスパイラルを防ぐためには、人材流出を防ぎ定着させること大切です。

ただ、採用の目的は企業の成長ですから、次に考えるべきことは定着した人材が「活躍」することです。自分の力が活用できないことは、本人としても会社としても、お互いにとって苦しいものです。

また、長期的な視点で考えれば、どんなに活躍をしても、社員の「自己実現」が叶わなければ中核となる前に辞めてしまうでしょう。仕事が、本人のキャリアアップや自己実現に繋がっていないのであれば、離職の可能性が高まります。

ここまでうまくいって初めて「企業の成長」が待っています。

つまり、この複雑な外部環境に対応しながら採用→定着→活躍→自己実現→企業の成長というステップを果たすことが採用の目指すべき姿なのです。

労働力が減少しても採用することができ、流動性が高い中でも人材が定着し、その社員が活躍し、自己実現を叶え、企業成長に繋がる。
これがこれから求められる採用と言えます。

4.採用担当に求められる役割

採用→定着→活躍→自己実現→企業成長の5ステップを果たしていくため、採用担当に求められるのは、次のような力です。

(1)採用
人を採用するためには、集客が必要です。これはただ多く集めればいいというものではありません。自社に沿った人材を適度な割合で集めることを指します。言い換えれば、量と質のバランスを取ることが、最も効率のよい採用と言えます。

①集客の量
人数が少なければ採用に至らず、多ければ採用担当の負荷が増えます。3人しか採用しないのに300人も集まっては大変です。母集団における内定率が10%なら、30人でよいのです。

②集客の質
志望度が低かったり自社の基準にそぐわない方が来ても、採用には至りません。極端ですが、IT企業で30人集めても、全員が小売りを希望するのでしたら意味がありません。

こうした量と質のバランスを取るには、チャネルごとの効果性や、募集広告のライティング方法を知っておく必要があります

(2)定着・活躍
人材が定着・活躍するかどうかは、採用の段階で決まっていると言っても過言ではありません。なぜなら、3年以内の離職(早期離職)が起きる理由や活躍できない理由は、概ね3つの理由に大別できるからです。

①入社前後間ギャップ
入ってみたら思っていたのと違った、というものです。思っていた雰囲気と違う。思っていた仕事と違う。思っていたスキルと違う。こうした入社前と入社後とでギャップが大きい場合に、早期離職や活躍できないことが起こります。

②とりあえず入社・採用
企業側は、応募者に不足を感じるものの採用数充足のためにとりあえず採用してしまう。逆に応募者側は、企業への不安や不足を感じるにも関わらず、内定をもらったためにとりあえず入社してしまう。結果、やっぱり違ったなぁと感じてしまい早期離職につながったり、スキルギャップがあり活躍できない。

③何となく面接
面接結果の判断を、個人の好みや感覚で何となく判断してしまう。採用理由が(本人はそう思っていなくても結果的に)何か良さそうで決定するため、あとでのギャップにつながり、早期離職につながる。または、スキルギャップが起こり、力を発揮できない。

この3つを回避するためには、採用フローでの情報提供・面接基準の明確化・感覚に頼らない面接の仕方が必要です

(3)自己実現
社員の自己実現の有無に採用担当が影響あるのか?と思う人もいるかもしれません。しかし、実はこれも採用段階でギャップを減らすことが可能です。

応募者によっては短期的な目線の人もいれば、長期的な目線の人もいます。例えば、目先の内定目当てなのか、将来的な社会貢献やスキルアップ目的なのかといった違いです。

また、言語化できている人もいれば、言語化できていない人もいます。これは、志望動機が曖昧な人なのか、それとも過去の経験と合わせて動機をしっかり話せる人なのかといった違いです。

このように、応募者の考えを引き出したり、言語化する手伝いをすることで、応募者のキャリア支援をすることも採用担当には求められます。

もしここでギャップがあった場合は、応募者に改めて考えてもらうことを促したり、どんなに良い人でも不採用にすることも必要です。応募者にとって一番良い選択は何なのか。その観点が採用担当には必要です。

5.採用の仕事は奥が深い

採用の外部環境や採用担当に求められる力をまとめてきました。

一口に採用業務と言っても、立ち向かうもののハードルも大きく、必要とされる力も複雑化してきています。だからこそ、採用の仕事は面白いとも考えています。

まだまだ採用市場、特に中途採用は、企業にとって厳しい環境が続いていくでしょう。採用の目的を改めて念頭に置きながら、取り組んでいきましょう。

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