【自動車大手3社】2022.3期-本決算比較

【経営成績】

  • 営業利益率は9.5%でトヨタ圧勝。

  • 営業CFマージンは各社2ケタでそれなりに高いが、こちらもトヨタが一着。

  • 各社ともに、売上は増大する予定だが、減益。マクロ的な部材などの供給制約を受け。

  • ガイダンスの営業利益率もトヨタが圧勝。

【財政状態】

  • D/E Ratio 各社ともそれなりにレバレッジ。大きければいい、小さければいい、という単純な指標ではない。ただちょうどいい基準みたいな観点から考えると、大体1倍くらいが適正なのだろうか。そうするとここもトヨタの財務的コントロールが秀でている印象。

  • 5末の終値とBPSの比較。トヨタがかろうじて1倍を超えているが、それ以外が酷い。BPS1倍以上の株価をキープするのは経営の責任なのではないか?

  • 時価総額もトヨタがダントツで30兆円弱。日産がせいぜい2兆円弱なので、この開きは優に15倍。売上の乖離は両社4倍程度なので、日産の評価はまだまだかなり低いと言える。

【経営指標】

  • ROE, ROA, ROICでもトヨタの一人勝ち。ただし相対的には良く見えるトヨタといえども、満点の結果、というほどの良さはない。

  • PBRが1倍を超えているのもトヨタだけ。決してトヨタが高いわけではなく、他の2社が驚くほどに低い。この評価は経営は放置してはいけないとは思う。

  • マルチプルもかろうじて10倍を超えたのがトヨタのみ。

  • WACCは日産が飛びぬけて低い。これは相対的に配当の負担が少ないから。あまり配当しすぎるのも議論はあるので、これは高ければいい、と単純化は出来ない。むしろ事業投資にレバレッジを利かせているのなら悪くない。

  • ガイダンスでも基本的にはトヨタ。別にそこまでスコアが目覚ましくいい、とは思わないが。

  • 配当性向もトヨタが32%弱と少し配当出し過ぎか?適正水準は不明だが、配当の優先順位はもっと低くてもよく、事業投資や自社株買いに資金をもっと回して欲しいとは思う。

【総括】

  • 基本的にはこの3社ならトヨタ一択なのかと思う。特にPBRが1倍を超えているのがトヨタしかない。日本の基幹産業の2位以下の評価がこんなに低くてもいいのか?と市場を憂える。

  • 逆に言うと、トヨタ以外の会社が株主還元をサボりすぎ。トヨタは前期に、株式分割、自社株買いなど色々と頑張っていて、経営の努力が感じられる。かなりレバレッジを強くかけている日産が多少株主還元で劣後するのはまだわかるが、ホンダのD/E Ratioは1倍未満。少なくともトヨタよりは株主対応サボっているのは確実だろう。

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