【日産自動車】2022.03期-本決算

会社概要。以下四季報などから抜粋。

  • 自動車大手。仏ルノー・三菱自動車と3社で企業連合。2030年早期に主要市場の全新型車電動車に。

  • 世界販売380万台。新車減産あるも、販売奨励金急減し採算改善。販売金融も好調。営業黒字復活。

  • 進行年度も半導体などを中心として部品、原材料不足により、生産は引き続き混乱か?中国の厳格なロックダウンによるサプライチェーンの制限など不確定要素多い。

  • EVなど新型車複数投入を追い風に世界で販売台数増勢。営業益拡大。

  • ミシシッピ州工場に570億円投じ、工場刷新。EV2車種を2025年生産開始。日仏3社連合は電池や車台の共通化加速。

【経営成績】

  • 落着。売上8.4兆円。営業利益2,473億円。営業利益率2.9%

  • 対前期。+5,620億円増収。+3,979億円増益。赤字脱出で、営業利益率は+5%弱のジャンプアップを成し遂げる。

  • 対ガイダンス。進行年度は売上が10兆円で計画。営業利益は2,500億円で、営業利益率は2.5%の見込み。

★営業キャッシュ・フロー

  • 落着。営業CFは+8,471億円で、マージンは10%超とまずまずの仕上がり。

  • 対前期では▲4,756億円、マージン▲6.7%だが、前期はコロナ明けで少し出来すぎだったか。

  • 主な増減としては、

  • 税引前利益+7,235億円、売掛債権+2,794億円、金融債権▲2,972億円、棚卸資産▲2,953億円、仕入債務▲4,376億円。等々

【財政状態】

  • 自己資本比率 31.3%

  • d/e ratio 1.39倍

  • 流動比率 167.9%

  • ネットキャッシュ▲5.7兆円。

  • 御覧の通り、レバレッジはパンパンに張っている。まあ日本は金利は安いし、あとはこれだけの借金ができるのも企業の甲斐性ともいえる。

  • 時価総額が1.9兆円ちょい。売上10兆円を目指す企業の時価総額が2兆円未達とかでいいのか?

【経営指標】

  • まだようやっと黒字になったばかりでROE, ROA, ROICの各スコアは寂しい感じ。しかし少し前まで赤字だったことを考えれば、ここらへんのスコアをまともにはじけるようになっただけでも信じられないような進歩である。

  • PBRが0.38倍。これはかなり恥ずかしいスコア。まだまだ市場の信頼を勝ち得ていないという証拠。

  • マルチプル8.1倍。安い。

  • FCFは2,321億円。マージンが2.3%とここも黒字で御の字である。

  • 配当復活。しかし利回りはまだ1%とかそんなもんで、配当性向も9%程度である。WACCも0.5%未満なので、復配と言ってもそこまで無理して出しているという感じはなし。まあカネはないので。

  • 当期純利益はむしろ前期比で減少するため、ROE, ROA, ROICは悪化。

  • 配当は現在未定のため5円据え置き。まあ妥当なところなのでは。今は事業に対して資金需要が旺盛なのでそれは良いこと。配当が多い企業はカネの使い道がない老衰企業とも言えるので、ガンガン事業投資したらいいと思う。

【総括】

  • 何より前期は▲1,500億円もの赤字を計上していた企業が当事業年度には+2,500億円弱の黒字を計上したのだからここは素直にお見事。利益率は3%弱程度でまだまだ上げてはいってもらいたいものの、とりあえずはちゃんと黒字で落着したことは評価できると思った。

  • まだまだ渋いとはいえ、配当も復活した。(日産といえば、ゴーン治世下では5%程度の超高利回りの配当で有名だった)引き続き配当を継続できるように頑張ってもらいたい。

  • 一方でPBRが0.38倍と、このスコアだけ見れば立派なゾンビ企業。まだまだ市場の信認が得られた、とは口が裂けても言えない数字。少なくとも1倍は常に上回るくらいには改善させて欲しいところ。

  • 直近だと有名なサプライヤーのマレリの経営が厳しい。下請けのサプライヤーを泣かせて作っている利益なら長続きしないか?トヨタのような共存共栄のエコシステムを見習ってゴーン治世からの絶対的な脱却が必要?

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