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行ったことがなくて、友達もいない。だから富山に移住した。

ちょうど一年前、一度も訪れたことがなかった富山県に移住したEさん。

未経験職種への転職を成功させ、富山ライフを楽しむEさんに、移住生活を楽しむコツを教えてもらいました。

◎未経験業種、職種の企業に転職&富山移住

富山県美術館から見える立山連峰
©︎とやま観光推進機構

ーー移住のきっかけを教えてください。

オーストラリアで現地ガイドとして働いていましたが、コロナで帰国を余儀なくされたことがいちばんのきっかけでした。オーストラリアのロックダウン前日になんとか出国し、埼玉の実家に帰ったんです。

観光業がコロナで大打撃を受けたのを目の当たりにし、自分が観光業でのノウハウしか持っていないことに焦りを感じて、デザインやプログラミングを学びながら転職活動をしました。

ーー大変な最中に帰国されたんですね。どんな企業を中心にみておられましたか。

当然のように首都圏の会社を中心に就活していましたが、「25歳でこのまま東京で働く人生なんてつまらない。もうひとつ””かましたい””!!」とふと思いまして(笑)。コロナ禍に、東京にいる意味もあまりありませんし。

正直、就活をしながら未経験で働く先はあるのだろうかと焦りを感じていたんですが、全国の求人を見れば未経験での挑戦を後押ししてくれる会社がいくつもありました。

その中で出会ったのが、現在勤めている富山市の会社です。社長の人柄に惹かれ、この人の元で働きたい!と感じたことが決め手となりました。この会社には移住者が多いので、事前に移住しての印象や暮らしについてオンラインで話を聞けたのもよかったんです。

ーー素敵な転職先に巡り会えたのですね!富山以外に検討していた移住先はありますか。

沖縄や仙台の会社も選考が進んでいましたが、両方とも生活の想像がついたんですよね。特に沖縄は観光地で楽しそうではありましたが、あえて生活の想像がつかない富山に移住することにしました。富山には行ったことがなく、知り合いがいなかったので逆にワクワクしたんです。

それに、北陸新幹線で実家のある大宮までたったの1時間45分なので、気軽に帰省できます。今は1ヶ月に1度帰省し、地元の友人と遊んでいます。

ーー移住されるまで、富山にはどんなイメージがありましたか。

富山について知っていたのは、「海鮮」「黒部ダム」くらいでしょうか。父が出張で何度か富山を訪れたことがあったようで、「富山はいいところだよ」と教えてくれました。

◎車を持たずに富山ライフを楽しむには

普段は徒歩&自転車で生活している

ーー富山ではどんなおうちに住んでおられますか。

車を持つ予定はないので、会社から徒歩圏内のマンションを選びました。富山駅からは少し離れていることもあり、一人暮らし用のマンションがなく、一人で住むには広すぎる1LDKの部屋に住んでいます。

ーーちなみに、家賃はおいくらでしょうか。

築2年で5万円ちょっとです。住宅補助もあるので、自己負担はさらに少ないです。最寄り駅から歩いて10分くらいの立地で、スーパーまでは自転車で行っています。

ーー新しいお仕事はいかがですか。

未経験業界かつ未経験職種なので、新卒のような気持ちで働いています。

東京で働いていた時は、毎日1時間弱満員電車に乗り、丸の内の人混みを歩いて、東京のオフィスビルの中でランチを食べていました。常に人に囲まれていて、ただその日を過ごしている、という感じ。

今は通勤が徒歩3分で、お昼はお弁当を持参して仲間と食べたり、一旦家に帰って食べることもできます。時間にゆとりが持てるようになりました。

ーー通勤時間のストレスがゼロですね!休日はどんな風に過ごされているか教えてください。

東京にいた時は、毎週ショッピングやランチに出かけていましたが、富山に来てすぐの頃は毎週会える友達もいないし、やることがなさすぎました(笑)。初めのうちは東京の友人とオンラインで話したりしていましたが、次第に慣れてくると富山で新しいことを始めてみよう!と思うようになったんですよ。

「時間ができる」=「新しいことに挑戦できる」だということに気づいて。

ーー新しいこと、とは具体的にどんなことでしょう?

読書やオンラインビジネススクールの受講を始めたり、コーチングを受けたりしました。さらに英会話レッスンの講師をしたり、YouTubeで勉強したり、富山のことをインスタで発信したり、富山のいろんな人に会いに行ったり…。ありとあらゆることをやりました。

そうやって色々とやってみると、自分の向き不向き、自分が目指しているものがはっきりしたんです。そこで、2022年は焦点を定めてやってみよう、と考えています。

ーー本当にいろんなことに挑戦されたんですね!Eさんが理想とする人生とはどんな人生ですか。

人との関わりの多い人生にしたいです。

ただ、富山に来た当初は人脈を増やそうと必死になり、「TAKE(テイク)」だけ求めていました。肩書きで会う人を選んで何かを吸収しようとしていたんですよね。でも、自分の人生の軸がないまま真似をしても、意味がありませんでした。

今仲良くしているのは、行きつけの居酒屋さんの常連さんたちです。40代のママさんだったり、60代のおじさんだったり。彼らの肩書きは知りませんが、そんな「普通の人たち」が私と仲良くしてくれています。そして最近は、私が何をGIVE(ギブ)できるかを考えるようになりました。

ーー富山でのゆったりとした時間が、人生について考える良い機会になったんですね。富山で友達づくりをするために、Eさんはどんなことをされましたか。

インスタグラムが役立ちました。

富山の地域おこし協力隊の人たちや、富山を盛り上げるために活動している人たちに直接連絡しました。DMを送るのは勇気がいると思うんですが、喜んでいただけることが多いのでオススメです。私はDMがきっかけで、氷見市で農業体験をしたりもしました。

逆に、自分が発信することによって、移住者仲間から連絡が来たりもしました。実際、インスタで知り合った方と何人も会ったんですよ。同じ県外からの移住者なので共感ポイントが多いんですよね。

そしてなんと言っても、居酒屋ですね。東京の居酒屋と違って、東京から引っ越してきたというだけで興味を持ってもらえ、友達もたくさんできました。

コワーキングスペースのSketch Lab(スケッチラボ)やHATCH(ハッチ)などで開催されているイベントにも時間があれば参加しました。一人居酒屋、一人イベント参加はもう怖くありません。

Eさんも利用したコワーキングスペースHATCH

ーーよっ!「一人〇〇」の達人!
これから富山に移住したいと思っている方にアドバイスをお願いします。

富山と一口に言っても、市町村によって全く暮らしが異なります。

富山市に関しては、私のように車がなくても生活できますし、自転車圏内にスーパーとコンビニがあり、電車で中心部にいける点では埼玉の実家の環境と大きくは変わりません。

氷見市や黒部市、魚津市にはよく遊びに行くのですが、そういった場所では車さえあれば豊かな暮らしができると思います。魚も美味しいですし、海は綺麗だし、道が広くて車は運転しやすいですしね。

富山全体に言えることとすれば、人混みがないのが魅力。自分の目指す生活に合わせて住む場所を選ぶのが良いと思いますよ。

◎「日本人」は一括りにはできない

富山の観光名所「雨晴海岸」©︎とやま観光推進機構

ーー富山での暮らしを総評するといかがですか。

移住仲間たちは、みんな口を揃えて「富山は住みやすい!」と言っています。

田舎のイメージがあると思いますが、富山市街地は田んぼや畑に囲まれているわけではありません。でも、車で30分圏内に海も山もあり、蛍や星空が見える場所に気軽にアクセスできます。自然が好きな人で、交通の利便性も大切にしたいならぴったりです。

週末フラッとキャンプに行ったりもします。

ーーアウトドアがお好きだったんですか。

いいえ。アウトドアとは無縁の人間でした。友達と遊ぶなら、アフタヌーンティーを楽しむタイプなので…(笑)。オーストラリアにいた時も、メルボルンに住んでいたので、アウトドアを楽しんだことはなかったですね。

でも富山の友人たちにはキャンプ好きが多くて。会社にもキャンプ部があるので、自然な流れてキャンプに行くようになりました。

正直、夏のキャンプは虫が多くて日帰りで十分なんですが(笑)、春や秋のキャンプは気持ちがよくて気に入っています。

ーー富山のお気に入りスポットを教えてください。

魚津港から見えるサンセットと、浜黒崎の海ランチです。海を見ていると人生って壮大だなあ、と思えます。

ーーEさんのこれからの展望を教えてください。

パソコン一つで仕事ができるようになったら、1年くらい日本を転々としてみたいなあと思っています。これまでは海外ばかりに目を向けていましたが、富山に来て地方のよさを感じ、「日本国内から学ぶことがまだまだあるな」と考えるようになりました。

海外や東京にいると「日本人ってこうだよね」って一括りにしがちだけれど、そんなことはないはずなんですよね。富山にいると、個性際立つ人ばかりに会いますし(笑)。地域特有の考え方、文化をもっと知りたくなりました。

居酒屋のお母さんに、昆布締めの作り方を教わったことがとても印象深くて。祖父母が他界しており、長く生きている方々から暮らしの知恵を学ぶ機会はこれまでなかったので、いい経験でした。そんな経験をもっと積み重ねていきたいです。

***

住環境も、仕事も、ガラリと変えたEさん。

ゆったりとした富山時間が、人生についてじっくりと考える時間になったと教えてくださいました。

一度移住したらずっとそこで住まなければいけないと思い込まず、気軽に移住してみるのもいいかもしれませんね。

皆さんの「お試し移住」を僕たち「ためスモ」は全力でサポートします。


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