「旅する土鍋2019」魚醤をもとめ能登へ
イタリアにきて一週間。出発前ぎりぎりに飛んでいった能登への旅記録をトスカーナの景色を見ながら書いているが、どうも湿度が違ってうまく書けない。
しかしながら、なぜ毎年イタリアに毎年足を運び、すぐに答えが出ない、もっとダイレクトに言ってしまえば、すぐにビジネスに結びつかない活動をしているのか。その答えが分かりやすく感じた国内の旅であったので、イタリア紀行をはじめる前に書きとめておこうと思う。
イタリアでのイベントで使う「魚醤」のリサーチ。出発前に窯をたき、36時間でゆっくり除冷するあいだの小さな出張旅行。贅沢なシチュエーションで窯たきの汗を流せることに驚いた。(写真は民宿「ふらっと」の露天風呂)
羽田空港から所要時間45分ほどで能登半島という楽園へ。「ふるさとタクシー」という乗り合いを24時間前までに予約すれば空港前から900円でかなりの距離を送迎してくれる。加え能登町に泊まる場合2000円のキャッシュバックあり。
能登半島にある「民宿ふらっと」は4組だけの宿。オーストラリアのイタリアレストランでヘッドシェフをなさっていたベンジャミン・フラット氏がつくる能登イタリアンディナーが食べられるのだ。
イタリア料理といっても能登半島の伝統的な発酵食材を取り入れるイタリアン。魚醤「いしり」の匠であるお父上のあとを継いだ智香子さんがベンさんと共にいしりをつくり、宿を切り盛りしている。
マルケ州では 日本の魚醤「いしり」とイタリアの魚醤「コラトゥーラ 」を旅する土鍋で食べ比べする。そのための出張をきっかけに、すっかり能登好きになった。
翌日は宿のご夫婦と輪島塗りの工房を訪ねるというスペシャルは能登好きへの道に輪をかけた。
土地と人を愛さなければ、その地の特産や文化は心から紹介できない。そんな当たり前でシンプルな図式をあらためて胸に秘め、いざイタリアへ旅立った。
わたしたちは、まず分かりあわなければ始まらない。手の温もりを、ときに冷たさを。
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