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イギリスの大学院を卒業したメリットは?

今回はイギリスの大学院(マスター)を卒業するメリットは本当にあるのかどうかを実際の経験から意見をシェアします。これは個人の見解なので、もちろん賛同しない人もいるかと思いますが、そこらへんはご容赦ください。

マスターの学位は就職の役に立つか?

イギリスの大学院を卒業したら、博士号(PhD)に進学しない限りは就職に進むケースが多いのではないでしょうか。日本であれば、新卒での就職であれば、海外の大学院を卒業したという実績は高く評価されるはずですし、英語の能力や研究分野によっては即戦力になれる人材として歓迎されると思います。

社会人留学の方は、あまり日本ではまだ普及していないですが、ご自身が歩んできたキャリアを強化するもの(最も有名なのはMBAでしょうか)を勉強したのであれば、再就職に優位に働くはずです。ただこれまでと全く違った分野にキャリアチェンジするのであれば、マスターの学位だけでは大きなアピールポイントにはなりづらいのが現実です。

さて、これが現地就職あるいは他の国での就活となった場合には、割と厳しい選考が待ち受けています。経験がない人は、基本的にエントリーレベルの仕事に応募するのが一般ですが、エントリーレベルでもけっこうスキルや経験を重視されて、なかなかポテンシャルだけで採用されることは難しいです(※業界によって差はあります)。

私はスポーツマネジメントのマスターを一応成績上位者(Distinction)として卒業しましたが、50社くらい応募してインタビューしてもらったのは5社くらいだったと記憶しています。もちろん当時はコロナ渦の真っ只中だったということやスポーツビジネスの世界がニッチだからというのはありますが、これは別に私に限った話ではなく、周りにいた同級生もみんなが同じ状況で苦しみました。

卒業して3年くらい経ちますけど、未だにインターンとしてほぼ無給で働いている人もいますし、中にはスポーツ業界ではなく別の業界に就職して飯を食っている友人もいます。そしてみんなが口を揃えて言うことは決まって「高いお金払ってマスター卒業したけどあんまり意味ないね」です。

あんまり意味がない?

個人的にはあの時間は無駄ではないと思っています。コロナ渦だったということもあり、学問にとことん集中できましたし(ただもう少し学生気分をちゃんと味わいたかったとも思いますが)、自分の将来についてちゃんと見直せる大切な期間になりました。

たしかにあの時習ったことが今の仕事に活きているかと言われれば、正直あまり恩恵は感じません。テスト期間中は図書館にほぼ毎日籠って勉強やレポートを作成していた努力が現実の世界で果たしてどれほど使っているのかは実感しづらいです。

でも私が友人たちとこの話になった時に毎回言っているのが、「一見無駄に見えることでも、いつか感謝する時が来るかもしれない」ということです。あの時勉強したことが活かされるのは今ではなくもっと先かもしれない。仮に活かされなくても、ちゃんと勉強してコースを卒業できたことは今後の人生において大きな自信になります。

また最も大事なのは、勉強ではなくそこで出会った友人たちです。私も在学中に数多くの友人に恵まれ、今でもラッキーなことに年に数回顔を合わせる仲です。みんな優秀な人たちばかりですが、いつか彼らとのコネクションが自分に利益をもたらしてくれるかもしれません。実際に、僕はすでにここで作ったネットワークのおかげで今の仕事ができています。

学問とキャリアは別

私は学問と仕事は異なるものだという考えを根底に持っています。イギリスの大学は特にそうですが、コース内容は非常にアカデミックで、ぶっちゃけ現実世界でいつ使うんだという内容の講義もたくさんありました。

キャリアアップやキャリアチェンジのきっかけにはなると思いますが、現実の仕事の現場でアカデミックな知識が役に立つことは少ないです(※これも業界によると思いますが)。

勉強ができても仕事ができるとは限らないというのは本当にそうで、十分条件ではあっても必要条件ではないです。博士号までいくと少し話が違うのかもしれませんが、マスター習得だけで就職に大きくアドバンテージが働くかと問われると、それは全くの誤解だと言わざるをえません。

結論としては、個人的に考えるこちらの大学院卒業のメリットは、選考した分野についての知識と大きな自信がつくことと人脈ネットワークの幅が広がることの2つです。これを享受できる人は、海外大学院留学に投資する価値は十分にあると思います。この情報が少しでも役に立つなら幸いです。

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