はは は ラインを おぼえた!
パーキンソン病の母と 虐待されていた私が 一緒に暮らすということ
#6 母の電話
「喋りにくい」とよく言う母。これもパーキンソン病の運動機能障害の影響のようです。しかしそんなことなどお構いなしに、何かしら理由をつけては楽しそうに話し込んでいます。通話相手はもっぱら母の姉妹。
電話になると声が高くなる人がいますが、母は人格が変わるタイプです。
私との生活の中で見せる母は”我こそ全て”な暴君ですが、電話を握ると人生を悟り切った僧侶のような風格を醸し出します。そして、わざとなのか天然なのか、通話相手の姉妹の子供をひたすらに褒めまくり、「子供には感謝しないといけないよ」と諭し口調で付け加えます。
そんな母に面と向かって「自分のことを棚に上げてよく言うよ」などとは口が裂けても言えませんが、私の心の中ではブラジルに届くほどの声量で叫んでいます。
スマホ片手に満面の笑み。母の弾む声には時には笑い声も含まれていて。私に投げつける「イライラする!」「あぁもう嫌だ!」のようなワードは完全に封印です。
私に向けられるものとは全く違うその母の姿に、苛立ちと寂しさを覚えます。
そして、「なんで母は私には…」と考えて、私の顔が父に似ていなかったことが全ての始まりだったこと思い出し、何とも言えない気持ちになるのです。
”三つ子の魂百まで”ではないですが、母に染み付いた私への扱い方は、一朝一夕で消えるものではないようです。
でもいつか、私の前でも通話時に見せるあの顔を…と、期待せずにはいられません。
それにしても、母がLINEを使うようになるとは思っていませんでした。
さすがにメッセージのやり取りやスタンプ機能まではいじれませんが、今度はビデオ通話をマスターしようと挑戦しています。
そもそも、スマホのボタンは固定電話のものと違い押した感触が分かり辛く、加えて母には手の震えというハンデがあります。ですので、通話ボタン一つ押すだけでも四苦八苦なのですが、「あぁ押せない…っもう!」と苛つきならがもしっかりとLINE通話できています。
こういう母の前向きさだけは、過去のこと云々抜きに見習わないといけないなと思う私です。
いつか母と仲良くなれたら、母と私と猫さんで旅行に行きたいと思っています。 野っ原をのんびりと散歩。 母との生活は始まったばかり。 夢は大きく、まだまだ諦めません^^