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詩情あふれる小説のような映画

朝、仕事の時間よりも早く起きる連休初日。いそいそと準備をして、たまにはモーニングをカフェで食べる。
「いつもと雰囲気のちがうところで食べるのはたのしいねぇ」と、にこにこご機嫌なぴー太はいつも本当にうれしそうに食べる。

ふたりのなかで最近ジム・ジャームッシュ監督のブームが到来していて、そんなタイミングでミニシアターでジャームッシュ特集をしているのだから行かない手はない。
朝から映画を二本観るぞ!と意気込んで出かけたのだった。

11:30 - 13:30  コーヒー&シガレッツ
14:00 - 16:00  パターソン

ポスターとパンフレットのデザインが、大好きな大島依提亜さんなので、興奮気味にどちらもしっかり買った。ポスターは二種類も。

コーヒー&シガレッツは、コーヒーとタバコ片手にさまざまな著名人が間の抜けた会話を繰り広げる11の短編集。
どうでもいいようなことが重要かのように語られ、本人役で登場するのもおもしろい。
カタカタと震える手でコーヒーをがぶがぶと飲む姿には思わず、わ、わたしも……と喉がうずく。

終わった後のパターソンまでの待ち時間で、耐えられずわたしもコーヒーを飲み、トイレに行きたくなるよと注意されるもやめず、上映中後悔することになる。

パターソンは、バスの運転手である主人公が、日常のゆるやかな変化をもとに詩作する7日間が描かれている。
何気ない日常が愛おしくなる映画で、帰り道、あの運転手さんもあの店員さんもあのすれ違った人も実は詩人なのではないか…と想像しては勝手にうれしくなる。

ジャームッシュのつくる映画は、詩情あふれる小説を読んでいるような気分になる。それでいてふざけているところもいい。するどい人間観察の視点と、街の描写。時折はさまれる意図的な違和感。とにかく惹かれる。

観終わった後、喫茶アリスでそれぞれにレスカとトマトジュースを飲み、ホットドッグとやきそばをほうばりながら、おもしろかったねぇとにやにやそわそわと夢中になって語り合う。
喫茶店で映画の話をするって、周りの人からは「花束みたいな恋をした」みたいに見えない?と気づいて恥ずかしくなり、そこからは黙って食べた。

帰ってからも、朝起きてからもうれしくて何度もパンフレットを見返していたら、そんな宝物みたいにパンフレットじっくり読む人はじめてみたと言われ、なにやら誇らしい気持ちに。
角田光代さんや細野晴臣さんなど様々な人の言葉も寄せられていて、読み応えがある。

そんなわけで今日は、ジャームッシュの初期作品「パーマネント・バケーション」を観てくる。訳すと「永久的な休暇」もうそれだけでたのしみだ。
移動中は、この間買った「Summer Reading 2021」を読む。

湿気がすごいし雨だし夏だし…でも、きっと今日も素敵な一日になる予感。

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