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空想お散歩紀行 物語の道

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空想の世界の日常を自由に描いています。
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#創作大賞2023

空想お散歩紀行 自分探しの旅

空想お散歩紀行 自分探しの旅

私は今年で211才になります。
当然人間ではありません。アンドロイドです。
製造されてから、バージョンアップを重ねてついにこの年齢にまでなりました。
しかし、私は私のことが分からないのです。
いえ、当然生今日までのアップデートを、何回、いつ、どのような内容で行ったのか全て記録は残っています。
体の各種パーツの交換もどれだけ行い、性能がどれだけ拡張されたか、全てデータとして出力することが可能です。

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空想お散歩紀行 花火職人の流儀

空想お散歩紀行 花火職人の流儀

花火職人の朝は早い。今日も夏に向けた作業が山ほどある。
準備は冬の時期から始まり、今は夏の本番に向けて最後の仕上げに大忙しの毎日だ。
夏の夜空を彩る打ち上げ花火には大まかに分けて二つの流派がある。
一つはマテリアル式。
こちらの方が歴史は古い。様々な材料を組み合わせて作る方式で、火吹き竜の火炎袋、発光石、火炎蛙の油等々、火と光にまつわる植物や鉱石、魔物たちを素材とする。
その採取のために、時に冒険

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空想お散歩紀行 空の上、溢れる川

空想お散歩紀行 空の上、溢れる川

空を見上げて、彼女は心配していた。
どうも天候が思わしくない。
このままでは来月に控えた、愛しのあの人との逢瀬が難しくなるかもしれないと。
自分の頭上にある空間は漆黒に包まれ、今日も無数の光がそこに在る。
大きなものもあれば、小さなものもある。
星々は昨日も今日も明日も変わらないようにそこに在るかのように光を放っているが、実は違う。
日ごとに消える光もあれば、新しく生まれる光もある。ただ星の数があ

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空想お散歩紀行 封印生活

空想お散歩紀行 封印生活

とある郊外。一見都心へのアクセスがいいように見えて地味に時間が掛かることから、イマイチ再開発などの発展が進まない街。
その街の静かな住宅街の一角に古いのか新しいのかよく分からないアパートがあった。
木造、1階3部屋、2階3部屋の計6部屋のその建物は、いつからそこにあるのか、どういうわけか近所の住民たちもよく分からなかったし、どういう人が住んでいるのかもよく分からなかった。
ただ、そのアパートは常に

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空想お散歩紀行 プール開きの前の仕事

空想お散歩紀行 プール開きの前の仕事

やっと終わった。デッキブラシを片手に周りを見回す。
この瞬間は一仕事終えた達成感と言うか、汚れが全て落ちた爽快感と言うか、まあスッキリした気分だ。
小学校のプール。梅雨のど真ん中、夏の一歩手前、水泳の授業が始まる前のその場所に今私はいる。
空はどんより曇り空。雨が振っていないだけマシだけど、蒸し暑さが少し気に障る。
さて、綺麗になった水の入っていないプールを見て、改めてこれを一人で掃除した自分を褒

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空想お散歩紀行 散った想いは砂の中へ

空想お散歩紀行 散った想いは砂の中へ

ここはとても悲しい場所だ。
宇宙の中でもここほどの場所は滅多に無いかもしれない。
しかしそこにある悲しみというのは、どこか愛おしくもあるものだった。
宇宙の片隅にある一つの小さな惑星。人が特別な宇宙服が無くても活動できるほどの大気状態ではあるが、ここに広がるのは延々と続く砂漠が主で、太陽に似た恒星との位置関係で沈まない夕日が岩と砂だらけの大地を常に赤く染め上げている。
だからここに住もうと考える者

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空想お散歩紀行 雨の車窓から

空想お散歩紀行 雨の車窓から

窓から見える景色は、山と森の木々から白い岩が目立つ海岸線へと変わっていた。
旅客鉄道サンアンドムーン。
旅人用の個室や各種施設を取り揃えた大型列車は、世界中に敷かれたレールの上を今日も走っている。
その名とは裏腹にここ一週間ほどはずっと雨が続いている。どうやら雨雲と一緒に同じ方向に移動しているようだ。
一人の旅人が窓の外を眺めている。木々の緑から海の青へと景色が変わるかと思いきや、現在見えるのは灰

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空想お散歩紀行 雨の朝の憂鬱

空想お散歩紀行 雨の朝の憂鬱

朝から豪雨。出掛ける予定のある人間は誰だって憂鬱になってしまうだろう。
俺もそうだ。だが出掛けないわけにはいかない。なぜなら俺はヒーローだからだ。
悪は天候なんて関係無くやってくる。そんなやつらから街を守るのが俺の仕事だ。
と、言いたいところだが、実は雨の日は怪人どもの犯罪率も大幅に下がるのだ。
つまり、雨の日に外出したくないというのはやつらも同じなのである。
携帯の画面に目をやると、そこにはいつ

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空想お散歩紀行 その称号は、勝者の証

空想お散歩紀行 その称号は、勝者の証

その日は、前日までとは違う、特別な雰囲気に会場は包まれていた。
なぜならば、その日は決勝戦だったからだ。
会場の中央に作られた土と石の舞台。
ただの土と石ではない。神職の者たちが7日7晩交代で休むことなく祈祷を捧げ、清められた物が使われている。
さらに舞台の4隅に立っている柱を注連縄が囲い、その舞台をより一層、俗界から隔絶された神域であることを強調している。
舞台の周りの階段状に設置された観客席か

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空想お散歩紀行 無駄を削ぎ落した先にあるもの

空想お散歩紀行 無駄を削ぎ落した先にあるもの

効率化と高速化の果てに辿り着く場所は何なのか。便利さの極地に到達したらその後、人はどうするのか。
一つの答えがここにあった。
窓から見える星の数々。上下左右どこを見てもそれしかない。
宇宙空間なのだから当たり前なのだが。
その果てしない無限の空間を進む一つの宇宙船。
船という名が付いてはいるが、見た目はどう見ても数世紀前に地上を走っていた機関車の形をしていた。
宇宙を行き来するのが当たり前になって

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空想お散歩紀行 宇宙レベルの推し

空想お散歩紀行 宇宙レベルの推し

定期的にこの話題は持ちあがる。
宇宙人は実在するのか。UFOは地球に来ているのではないのか。
もっともらしい映像が取り上げられ、NASAだかCIAが情報を隠しているんじゃないかとか、いろいろ言われる。
結論から言う、NASAやCIAがそんな情報を隠しているわけがない。そもそも畑が違うのだから。
そういうのは我々、出入星管理局の仕事だ。
宇宙人はいるのか?そんなの当たり前だ。もう半世紀は前から地球は

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空想お散歩紀行 画面の中にいる人たちは

空想お散歩紀行 画面の中にいる人たちは

人々は何だかんだ言って物語が好きである。それをなるべく手軽に味わいたいと思っている。小説は文字だけだからその場面場面を想像することが必要である。漫画は絵はあるが、音や声を想像する必要がある。
だから、映画やドラマは絵も音も声も、最初から全て与えてくれるので受け取り側としては楽だ。
そして、物語の外に影響が及ぶことが多い。
それが俳優や女優である。
彼らは役を演じるという物語の一部でありながら、人間

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空想お散歩紀行 スキマカウンセリング

空想お散歩紀行 スキマカウンセリング

隙間産業という言葉がある。
世の中は実に多くの組織があって、それぞれがそれぞれに商品やらサービスやらを作り、それを求める人たちに提供している。
しかし、世の中は想像以上に広くて、どれだけ多くの組織がその手を広げようともカバーしきれない場所が必ず出てくる。
その空白地帯に目を付けた商売が隙間産業だ。
世間一般の認知度は高いわけではない。だから顧客が多いわけではないが、しかし確実にそれを求める客が存在

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空想お散歩紀行 久しぶりの晴れ間

空想お散歩紀行 久しぶりの晴れ間

久しぶりに雲の間から太陽が顔を出した。
どれくらい久しぶりか忘れてしまうほど、ずっと太陽を見ていなかった感じだ。。
不思議と視線が上がる。それまで当たり前と思っていた景色がこんなに明るいことを忘れていた。
ここまで長い間、下ばかりを見て歩いてきたような気がする。
そうだ、自分というたった一人の人間の目が捉えることができる景色でさえ、ここまで広いのだ。
視界を狭めていたのは、他でもない自分自身だった

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