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ドイツ人に言われた「闘え」の正体を解いた『競争闘争理論』(2686文字)

プロフィール
1999年生まれ。東京都出身。大学を中退後、20歳で渡独するもコロナで帰国。鎌倉インターナショナルFCでプレー後、23歳で再び渡独。渡独直後のクラウドファンディングでは106人から70万円近くの支援を集め、現在、プロを目指しドイツ5部でプレーするサッカー選手。好きな番組は「家、ついて行ってイイですか?」「探偵!ナイトスクープ」



僕の友達が出版した“表紙が真っ赤っか”の本『競争闘争理論〜サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか?〜』をやっと先日読み終わったので、さっそく読書感想文を書く。

本書を一言で説明するなら、真っ赤っかな表紙が物語るように、『日本サッカー界の根本に“赤信号”を突きつけた本』だ。

サッカーに関わるすべての日本人に届いてほしいなと個人的に思う。

それくらい良い本だった。



表紙が赤いから、本当はレビューを書きたくなかったんだが、みんなに読んでほしいという一心で書いてしまった。。。

そしたら、名前が載ることを知らず実名でクソ真面目に書いてしまった僕のレビューが晒されてしまい、、、

今年1番の失態として、僕が選ぶ『最も恥ずかしかった賞2022』を受賞した。

これで怯んでしまったら僕の負けになってしまいそうなので、次も機会があれば絶対に実名で書く。



本題に行く前に、もう一言。

「文章がムズい」(千鳥ノブのギャグ「クセがすごい」風)

共感してもらいたいので、本書の中で最もムズいであろう文章を探し出したので晒しておく。

あれほど狂ったように勉強に励んだのは後にも先にも当時だけだが、「東洋医学と西洋医学」から得た「目的(病気を治す)や対象(人間の身体)は一緒なのに、考え方やプロセスがまったく違う」という恐ろしく興味深い現象と、「X(東洋医学)とは何か」を理解するために、同じ医学である「Y(西洋医学)」と比較し、共通点や相違点、類似点を浮かび上がらせることでXを理解する、という「正体の摑み方」は、これから本書で示していく理論体系そのものである。

『競争闘争理論』第一章 理論構築の種

こんな感じだ。僕みたいなバカには、ちょっと何言っているのかわからないので、この文章を解読するのに5分くらいかかる。こんな調子でずっと書かれているので、この本を解読するのに半年かかった。疲れた。

さらに、本の中で説得力を増すために、参考文献から要所要所で、文章が引用されているのだが、この文章のクセがすごい(千鳥ノブ風)。

引用してるせいで逆にわからん!とツッコみたくなる引用が満載。

これからこの本を読む人たちには、こういったところに注目しながら、読むのを楽しんでいただければと思う。




と、茶番はこのへんにして、、、
そろそろちゃんと感想を書かねば。



この本は、僕がドイツでサッカーをやりながら抱えているモヤモヤ、違和感、日本サッカーとの違いなど、ありとあらゆる変な感覚を言語化して教えてくれた本だった。

加えて、子どもの頃から刷り込まれていた間違ったサッカーの常識を覆してくれ、また一つサッカーの面白さを教えてくれた気がする。

僕に日本のサッカー経験しかないときに読んでいたらきっとチンプンカンプンで理解できなかっただろうなと感じ、ドイツで2年プレー経験を積んだこのタイミングで読むことができたのが幸いだった。


僕は幼少期の頃から「闘え」なのか「戦え」なのかわからないが「もっとたたかえ!」と言われ続けてきた選手だったし、その度に「僕はたたかえない選手なのだ」ということを植え付けられてきた。

その反動で「いかにフィジカルコンタクトをせずにプレーできるか」みたいな方向に舵を切ってみたり、相手に闘志を悟られないように振る舞おうとしたり、今思えばトンチンカンなことばかりしていた。

ドイツに来てプレーするようになってからも、初めの1年はドイツ人(友達やら監督やらチームメイト)から「アグレッシブさが足りない」みたいなニュアンスのことを死ぬほど言われ、、、、その度にやっぱり理解し難く、時に無視したりしながらプレーしてきた自分。

そんなモヤモヤを抱えながらドイツでプレーして2年が経った今、ドイツ人から「闘え」に近い言葉を全然言われなくなった。ドイツ人が標準装備している闘争心に肌で触れ、それが僕の無意識に影響を及ぼしたのか。

いずれにせよそれは得体の知れなかった「たたかう」が「闘う」になったことを意味しているのだろう。言語化はできないが「闘う」がいかなものなのかを身体で理解できるようになった。

その「闘う」を言語化して説明してくれた『競争闘争理論』を読んだのはそれを習得してからだが、本書のおかげで「闘争」というものの正体をさらにちゃんと掴めるようになったと思う。

海外でレベルアップしていくにあたって、これでようやくスタートラインに立てた気がするし、サッカー選手として成長していく上で正しい努力の方向性みたいなのも少し定めることができた気がする。

(余談)
僕が大学1年生の頃、監督を務めていたのが一馬さん(著者)で、当時の僕が抱いていた一馬さんの印象を一言で表すなら「めちゃくちゃ精神論な監督」だ。その理由が7年越しやっとわかった。遅いっ!


と、実体験とドンピシャで重なる内容で、読み進めるうちに僕のモヤモヤが溶けるようになくなっていくのが読んでいて気持ちよかった。




同時に、表紙の“赤信号”が頭にちらついた。日本でのサッカー経験しかない日本のサッカー選手が本書を読んだだけで「闘争心」なるものを身につけるのはなかなか難しい気がしたからだ。このあたりは海外に出てみないと伝わらない感覚かもしれないと。率直にそう思った。

加えて、日本がサッカーと呼び、日本人がサッカーと認識しているものは、本場でのサッカーとずれているというのも間違いないだろう。ヨーロッパのトップレベルで経験を積んだ日本人サッカー選手が日本でプレーするようになって口を揃えて言う「(日本とヨーロッパのサッカーは)違う競技」という言葉に集約されている。

それは日本サッカー界の根本に“赤信号”を突きつけている気がしてならなかった。



僕はバカなので、じゃあどうすりゃいいんだ?というのは分からない。

ただ、テクノロジーの発展により情報の取得源がショートコンテンツに移行、AI(人工知能)が人間界を侵食し始めている現代。本を読む人が減り、日本人の読解力が問題視される中、この本がたくさんの人に読まれ、拡散されているのは日本サッカー界にとって明るい事実だ。

とにかく日本サッカーに関わるすべての人に読んでほしい1冊とだけ言っておきたい。




最後に一言。

あざした!!


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