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世界各国の繋がりが活きる海外スタートアップの姿

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象はマレーシアにてスタートアップ勤務をされる山下 美早貴さん。東南アジアでアイデアをカタチにする際に心掛けるべき点について伺いました。


── 山下さんの現在の取り組みについてお聞かせください。


マレーシアの現地フィンテックスタートアップで上司も同僚もマレーシア人、日本人が私一人の環境で日本市場担当として働いています。四年前に入社した時は日本市場の案件が何一つない会社だったんですが、今となっては日系大手クライアントも多々増えて順調に日本市場の案件がスケールし始めています。後は最近、StartupWeekend(以下SW)のメンターをすることも増えてきました。

SW Kuala Lumpur Organizer Team Photo

── プレイヤーとして活躍するだけでなくメンターまで。

日本からやってきてスタートアップで働いている!きっとコイツは何か特別な力を持っているに違いない!と勘違いされて招待されている気がします。日本という先進国から来た身としてどう思うか、なんて風に質問されたこともあって(笑)


── 日本のSWとの違いは何か感じますか?

日本のド田舎以上の田舎で開催されることがあることですね!例えば森と畑と小学校しかないようなエリアで開催されることもあるんです。そんな時に出てくるアイデアは農業系や飲食系といったものが中心で、デジタルコンテンツやツールは一切登場することがないですね(笑)


── 山下さんはどちらでSWと出会われましたか?

2015年にシアトルに短期留学した時に出会いました。当時はまだ英語を話せなかったんですが、マーケティングの授業で先生から勧められたんです。気になって参加してみたらエンジニアの方ばかりで!9割5部がエンジニアで「ビジネスサイドいませんかー!」と口説かれ各チームから引っ張りだこになりました(笑)

SW Seattle 初参加時の様子


── SW本部のあるシアトルで初体験とは中々に運命的ですね(笑)

それからシアトルで何度か参加して、その面白さに夢中になっちゃって、その後もタイでも香港でも参加しました(笑)そして日本に戻ってからはオーガナイザーになったんです。参加者として一通りの経験は積めたと感じたので。


── オーガイザーを経験されてみて如何でしょうか?

参加とは全然違う目線を得ることができつつ、グローバルなコミュニティの繋がりを得られる、そんなチャンスを得られたと思うんです。コロナの前に開催されたSWグローバルサミットでタイを訪問したんですが、そこで100カ国ぐらいのオーガナイザーの方々と繋がることができたんです。今でもその友達の友達がマレーシアにいて、世界は狭いなって思います。

日本でもオーガナイザーに参画された山下さん(SW Tokyo Robotics 2017)


── 自分はいつも日本のSWと予定がバッティングして一度も参加できていないので山下さんが羨ましいです(笑)ちなみに東南アジアで日本人がスタートアップを興す難易度はどのように感じていらっしゃいますか?

日本人がスタートアップするには当たり前ではありますが、日本よりもハードルが相当に高いと思っているんです。まず最初にシステム導入よりも周辺国から来る外国人労働者を採用した方が安いので、業務効率化SaaSのようなソリューションは中々課金できない。加えて、東南アジアはマーケットが分割されているのでマスへのリーチも簡単じゃないんです。


── マーケットが分割。

日本人って大体イメージが付くじゃないですか。こんな年齢であればこんな年収でこんな暮らしをしているんだろうって。けれども東南アジア、特にマレーシアはそうはいかない。人種も年収も生活も思想も何かもがバラバラなのでピンポイントにならざるを得ない。けれどもそうなるとスケールができない、という袋小路に陥っちゃうんです。


── スタートアップフレンドリーな環境ではないんですね。

なので、日本発のスタートアップが盛んというよりも、今後伸びる可能性がある市場として体力ある日系大手が小さいものをいくつか事業として作り上げているイメージですね。中長期的な投資として。


── 世界のスタートアップを目の当たりにしてきた山下さんが考える「アイデアをカタチにする時に大切なこと」はなんでしょうか?

もうありきたりな言葉になってしまって申し訳ないんですが、やってみることしかないと考えています。シンプルに作ってマーケットに当てに行くことを繰り返すしかないんだと。

マーケットに当てに行って優勝を勝ち取ったSW Seattle


── シンプルに作ってマーケットに当てに行く。

自分のアイデアが一番だって思い込んで、プロダクトを作り込んでしまって、結果的に誰にも当たらない、そんな人をこれまで無数に見てきました。例えばランディングページを作ってFacebook広告を回して反応を確認するとか、そんな小さな工夫を導入するだけでも大失敗は防げるんです。


── 作ってから売るのではなく、売ってから作れ、ですね。その言葉がこれほどスタートアップ界隈で流布しているにも関わらず、どうして人は先に作り込んでしまうのでしょうか?

やっぱり恥ずかしいですからね(笑)世の中に自分のアイデアを披露して、ダメダメと言われてしまうのって怖いじゃないですか。加えて、作っている時間は誰にもちょっかい出されない自分の時間、それこそ天国じゃないですか(笑)


── 誰にも邪魔されないことは自分の妄想に入り浸ることに他ならないですからね。ただそれは破滅への道。そんな誘惑に抗いつつアイデアをカタチにする方々を支える支援者側は何を大事にするべきでしょうか?

スタートアップの波乱万丈を理解していることが大切だと思うんです。何度か日本の行政が手掛けるアクセラに参加したことがあるんですが、人によっては少し的外れなアドバイスをされたりしました。。はいマッチングですよー。はいこのアドバイスを聞いてくださいーって。もちろんプログラムの中では役立つものも多くあり、助かりましたが、実際に汗をかいて、ハードシングスを乗り越えてスタートアップを作り上げた人が支援する側に回るとより良いものになるのかなと思いました。

スタートアップの波乱万丈の一端を経験したSW Hong Kong


── 確かにスタートアップで何もかもが円滑に、なんてことは中々にないですね(笑)ちなみに日本ではスタートアップが国として応援する追い風が吹いていますが、昨今のマレーシアのスタートアップ環境は如何でしょうか?


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