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事前に探すべきユースケース

 アイデアをカタチにする旅路を歩んでいると、「完璧なものを世に届けなければならない」という圧力に押しつぶされそうになることがある。けれども現実には、完成品とはほど遠い試作品、自分たちでは売る価値がないと思っていたものがビジネスになることも。

 先日、スタートアップのプロダクトについて省庁と意見交換を行った際「完成品は必要なく、PoC直後のモデルでも課題解決ができるため導入を希望したい」と先方からコメントを受け取り、新しいチャンスが判明した。

 本当はその具体例を詳細に書き記して共有したいものの、センシティブな課題に触れることから、問題を避けるためミカンの例で具体的に解説してみたい。例えば、美味しいミカンを商材に選んだ起業家が、市場は傷一つない黄色い完熟ミカンを糖度15以上でなければ受け入れないと考え込んでいたとしよう。

 けれども実際に作っているミカンについて様々な方と意見交換させていただいていると、ミカンの果汁を使ったリキュールを作りたいということで「傷があっても、完熟でなくても、糖度10以上であれば十分。規格外品を全て引き取りたい」との提案が届いた。

 もちろん、最初に目指した完璧なミカンは贈答品として販売できるものの、それを手掛けられるまでの間にお金が入ってこないかと思いきや、そこに至らずとも求めてくださる方々がいると分かり、結果としてより少ないプレッシャーのもとで、より安定した売上を早期に築けるように。

 自分にとっての完璧は、お客様からすると必要以上の要件かもしれない。想像もしなかった初期段階の製品が、実は満足いくレベルのものかもしれない。だからこそ、積極的に声を聞き早期に提供していこう。アイデアをカタチにしたい皆様の一助となりますように。

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