見出し画像

「時間がない」は課題外

 「時間がなくて、○○する余裕がないんですよ。だから私たちは、もっと簡単に○○できるプロダクトを作ります!」というピッチを聞いた。残念ながら「時間がなくて」を理由に挙げるアイデアは成功確率が低いので、その背景を説明しようと思う。

 まず「時間がない」というのは表面的な問題だから。真の問題はその背後にある優先順位の設定にある。人々が本当に価値を感じるものには、たとえ忙しくても優先順位を上げて時間を作るもの。つまり、現時点で何も取り組んでいないということは、それが価値あるものではないということ。

 例えば、「時間がなくてミカンの皮をむく余裕がないんですよ。ゴミを捨てるのも手間だし。手が黄色くなっちゃうと洗う時間も勿体ないし。だからミカンを食べないんです」そう口にする人は、本当にミカンを食べたいとは思っていない。もし本当にミカンを食べたかったら、それらの手間を厭わない。

 次に「時間がない」という言葉は優先順位が低い、と同義であるからこそ、それは緊急度や重要度が低いことを示している。

 つまりそれは何を意味するかというと、もし仮にそれを解決してあげたとしても、泣いて喜んで使ってくれる、お金を払ってくれる、人に紹介してくれる、といった可能性が極めて低い、つまりビジネスチャンスが極めて弱いということ。

「ミカンの皮をこれまで10秒かかってむいていたものを、1秒でむけるようにしました!」と画期的なミカンの皮むき器を作り上げたとしても、そもそも緊急度や重要度が低ければ、積極的にそれを導入する人は登場しないと同じこと。

 時間がない、という言葉は一見すると課題に見える。課題は解決するとお金が生まれそうな予感がする。けれども起点の課題は表面上の薄っぺらく、幻想に過ぎないからこそ新規事業もスタートアップも始まらない。

 だからこそ、事業の起点となる課題は、もっと真に解決が願われているものを探し出していこう。試行錯誤を重ねても解決されず、その状況を好転させたいと強く願う優先順位の高いものに。アイデアをカタチにしたい皆様の一助となりますように。No Talk, All Action!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?