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100倍の価値を生む瞬間

「10円玉を1,000円で買い取らせてもらえませんか!?」そんな切羽詰まった相談を人生で初めて受けた。自分もあたふたしてしまった不思議な出来事だったけれども、無事に解決した今から振り返ってみるに、ビジネスに通じる気付き学びに満ち溢れていた。というわけでメモを残しておこうと思う。



 事の発端はVISAセンターでプリンターに並んでいた時のこと。前にいた女性が機械を前にして何か慌てふためいていた。「どうされました?」と尋ねると、「10円玉がどうしても必要でっ!」というお返事と共に、冒頭の台詞が飛んでくる流れに。

 10円玉を1,000円で、インバウンド価格をも圧倒するボッタクリの100倍で売り飛ばすのは人でなし、これも何かの巡り合わせかなぁ、と思って10円玉をプレゼントすることに。無事に印刷を終えた後には何度も深々と御礼をされ、苦笑いしながら混乱に陥っていた背景を語ってくれた。

 予定が詰まっていて、今日しかVISAセンターに来ることができなかったこと。プリンターが故障して10円玉しか受け付けなくなっていたにも関わらず、1,000円札しか持っていなかったこと。受付が締まる時間が近づいていたので、建物の外に出てプリンターを探すのは避けたかったこと。これらが重なってしまったので、10円玉を1,000円札で譲ってもらえないかと考えたらしい。



 無事に解決した10円玉を100倍の値段で買い取ろうとした事例は、価値は緊急性と密接に関係していると思い出させてくれる。そのタイミングを逃してしまったら次はない、という状況が高いお金を払うことも厭わせない。

 というわけで、何か新しい製品やサービスを考案する際には、改めて考えてみよう。顧客の痛みにアプローチすることができているのだろうかと。単純に「なんか困ったなぁ」ではなく「早く解決しないといけない!」という切実な痛みに寄り添うことができているだろうかと。

 アイデアをカタチにする一助となりますように。

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