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競合との差別化ポイント

「差別化ポイントは?」という問いは、アイデアをカタチにする旅路で日常的に現れるもの。この問いにしっかりと答えられなければ、競合に埋もれてしまう可能性が高い。そこで今回は、差別化を考える際の三つのポイントをメモしておこう。

 一つ目のポイントは、ニーズに合った差別化であること。既存の製品やサービスとの差をつけようとすると、新しい機能を追加したり、見た目を大胆に変えたりしたくなることがある。けれども、そういった差別化が顧客のニーズと合致していなければ、その効果はほとんど意味を持たない。顧客が本当に求めているものを理解し、それに基づいて差別化を図ることが重要。

 例えば、新しいミカンのブランドを作ろうとして、差別化のアイデアとして備長炭をまぶした「ブラックミカン」を売り出すことを考えたとする。確かに他のミカンにはない独自性はあるが、ミカンを好む顧客が「黒いミカン」や「炭をまぶしたミカン」を求めていなければ、そのアイデアは無意味。差別化は、顧客が抱える問題やニーズにしっかり応えるものでなければ、ただの自己満足に終わってしまう。

 二つ目のポイントは、すべての面で勝とうとしないこと。差別化を追求するあまり、商品やサービスがあらゆる点で他より優れていることを目指すことがある。けれども、すべてにおいて勝とうとするのは現実的ではない。全方位的に優れたものを作ろうとすると、かえって中途半端な結果になりがちであり、トレードオフが発生することも多い。

 例えば、「ミカンのサイズで他に勝とう」としてひたすら大きく育てたとしよう。確かに大きなミカンはインパクトがあるかもしれないけれども、体積が増えるが故に糖度が下がることに。結果的に、味の質が低下し、さらに大きなミカンを育てるためのコストも増加するため、価格が上がり、顧客にとって手の届かないものになってしまう可能性も。こんな風にしてトレードオフは世の理で、全てにおいて優れたモノは作れないと肝に銘じておこう。

 三つ目のポイントは、参入の障壁を築けるかどうか。仮に顧客のニーズに合った差別化ポイントを見つけたとしても、それが簡単に他社に模倣されてしまうようでは、差別化の価値は薄れてしまう。差別化は、持続的な競争優位を築くための手段であり、他者が簡単に同じことをできるような状況では、その目的を果たせない。

 例えば、「ブラックミカン」というアイデアが、備長炭をまぶすことでカビの発生を防ぎ、ミカンの保存期間を延ばすという特別な機能を持っていたとする。しかしながら、もしこのアイデアが誰でも簡単に真似できるものであれば、すぐに他の企業が同じような商品を出してしまう。特許を取得できるような技術や、他に何かしらの理由で簡単にコピーできない要素を盛り込むことが大切。

 競合に打ち勝つためには、差別化が不可欠。けれども、だからといって何でもかんでも差別化すれば良いというわけではない。顧客ニーズに合っていること、すべてに勝とうとしないこと、そして簡単にマネされない仕組みを持つことこそが欠かせない。アイデアをカタチにしたい皆様の一助となりますように。

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