覚悟のリソース

「あきらめる」という演出が効果的な場面がある。正確には「大事なそれ以外の何かをあきらめる」だ。

新生活、または2019年度が差し迫って決意を新たにするひとが多い。ここんとこ「よし来年は語学の勉強しよう」や「資格に挑戦しよう」や「給料を上げるぞ」や「休みを増やすぞ」や「海外に行くぞ」、「鍛えるぞ」、「痩せるぞ」やらをよく聞く。

「別に今のままでいいよ」という話よりは聞いていても面白い。他者の気概は浴びているだけでも気持ちのいいものだ。

しかしこれが実現、実行されることは稀だ。僕もそうだが、チャレンジしてうまいこと習慣化に乗ったことの方が少ない。

振り返ると、今までの生活に新たなものを足すだけだとうまくいかなかったなぁと思うのだ。

新しいバンドを始めるなら、今やっているバンドを辞めないといけない。いや、いけないわけではないのだが、やはり辞めた方がすんなり進むのが現実だ。

ひどいときは同時に全部叶えようとする。こうなるとキツイ。

たとえば「痩せたい」ならば、「資格も欲しいけど、資格の勉強はあきらめる」や「出世や独立、ブログもあきらめる。その分、ダイエットの勉強に集中しよう」と考えるのだ。

時間というリソースに関しては「色々やる」のも足りているのだろう。しかし「覚悟」にもリソースがある。人間、覚悟を何発も保有できないのだ。

最新の研究で、「努力できない脳」と「努力できる脳」があることがわかった。テネシー州、ヴァンダービルト大学の研究チームが分かりやすく発表してしまった。

左線条体と前頭前皮質腹内側部におけるドーパミン作動性活性が高い被験者と、そうでない被験者が分けられてしまい、両者の脳には決定的な違いがあったのだ。

左線条体と前頭前皮質腹内側部におけるドーパミン作動性活性が高い被験者は「がんばれがんばれ!継続は力なり!」と勝手にささやいてくれるのだ。

その二つの部位のドーパミン活性率が弱いひとたちは、島皮質という部位のドーパミン作動性活性が高い。こちらが高いと「つまんない!続けても意味なくね?ラクしたいよ!」とささやかれてしまうのだ。

先天性、遺伝性のものなので救いは無いのだが、重要なのは「自分が努力できない脳のオーナーかもしれない」と考えることだ。

実際の成果は努力だけで決まるわけではない。運、まわりの環境、様々なファクターで決まる。

かと言って、努力ゼロで成せるようにあらゆる成果はデザインされていない。

覚悟のリソースをおおめに割いておくこともそだが、どうやって自分の脳を騙しながらやっていくか、と考えていくことも成果に対して真摯なのではないだろうか。

自分が「とにかくガムシャラにやる!」という手法が使えない脳の持ち主ならばなおさらだ。



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