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「担当者合意から案件が進みません」(セールスのタクミ代表のSaaSエンタープライズ営業お悩み相談室vol.1)

お世話になっております。
株式会社セールスのタクミ佐藤です。

本日はエンタープライズ営業における
担当者合意から、決裁者合意への進め方を
解説していきます。

昨日の導入事例が反響が多く、
営業部長代行サービス驚くほどお問合せいただいております!

本日は、Twitterからいただいた
SaaS法人営業のお悩みに回答していくコーナーです。

質問(Nさん)

 いつもnote拝見しております。
 1点質問なのですが、エンタープライズ営業をしているのですが
 担当者合意からの受注に苦労しています。 
 担当者がその場では導入の合意をするのですが、
 社内で推進をしてくれません。 
 何かアドバイスをお願いします。

回答(佐藤)

いつもご拝読、ご質問ありがとうございます。
とても良い質問ですね。
営業職のほとんどが悩む内容なので回答していければと存じます!!

今回の前提をSaaSのエンタープライズ営業としましょう。

このnoteを最後まで読んでいただければ、エンタープライズ営業においての
担当者でストップする理由が分かり、受注率が格段にアップします。

1、なぜ担当者合意が重要なのか。



実はSaaS営業の9割は、担当者合意→決裁者合意です。
初回から決裁者の人が出てくるケースは殆どありません。
詳しくはこちらのエンタープライズの記事でも解説しております。

必ず担当者を通って、決裁者に稟議を上申していただきます。
私の殆どのエンタープライズ商談の中でも決裁者の方と会うのは
本当に数が少なく、最後の最後まで担当者の方とやり取りをして
終わるのが9割
くらいという印象です。

なのでこの担当者を攻略できないと、あなたの提案は決裁者に届くことなく潰えてしまいます。



2、まずは担当者のペルソナを把握しましょう


一般的に担当者という属性を分解しましょう。
会社の中なので役職で表現をします。

まずはこの図を丸暗記してください。
エンタープライズ営業においてこの役職図を知らないということは、
チェスをしているのに、キングの場所を知らないのと同じです。
ちなみに私は将棋派です。

出典元:社会人の教科書 https://business-textbooks.com/positiontitles/

担当者というのは基本的に緑〜水色の部分になります。

役職としては、

・室長(グループリーダー)
・課長(グループリーダー)
・主幹
・主査
・係長
・主任
です。

私の10,000商談以上の経験の肌感として課長が最も多く8割、
室長がなかなかレアで1割、他は係長と主任レベルが最も多いです。

一般的に彼らは中間管理職と呼ばれております。

つまり、彼らは社長、専務、部長からの命令を受け、
プロジェクトチームを作ったり、直属の部下に指示を出して

「ちょっと上から命令あったから、議事録ツールの情報探してきて」

と下に命令をして、皆さんのもとにコンバージョンしてくるのです。
情報収集段階だからといってあまり怒らないでください。
現場レベルでいきなり動く会社は殆どないので、
必ず上からの命令が下っているのです。

以前のエンタープライズ営業のnoteにも詳しく書きましたが、
結局は担当者に気に入られないと終わり。
だから使える駒になれ。
というのはこういったロジックからきているのです。

もう少し踏み込むと、社内では担当者が駒であり、
我々法人営業マンは駒の駒という訳であります。

つまりは、担当者にいかに気持ちよく動いてもらうかが最も重要なのです。



3、何が担当者の心を動かすのか。


話は遡りますが、私は大学時代に行動経済学に興味があり、
よく経済学部の授業を受けたり、論文を読み漁っていました。

自分が最も面白いと思っていたのが、
人間は心理的バイアスに影響されてロジカルでない
判断をするという生き物である事です。

例えば、
サンクコスト効果:過去に投じたリソースに基づいて判断し、それを続ける傾向がある。
*自分はこれをトライアルフローに組み込んでいます。無料トライアルを故意に伸ばしたり、敢えて社内フローの整理から入って実施するのはそのためです。


アンカリング効果:最初の情報や基準値が判断に与える影響が大きく、意思決定に影響を与える。
*自分はこれを初回商談のスクリプトに組み込んでいます。必ず最も高い金額を提示しておいて、振り返り商談のタイミングでインセンティブをつけた第二プライシングを提案しています。ジャパネットたかたさんも、salesforceさんも必ずやっています。

私が法人営業をする上でも、これは大いに生きています。

出展:宣言会議
https://mag.sendenkaigi.com/hansoku/202103/key-to-impulsive-buying/020810.php

皆さんも経験があるのではないでしょうか?

・圧倒的に機能が負けているのになぜか受注できた。
・最初は検討度合いが低かったのにトライアルを
 進めたらなぜか導入をしてくれた。
・値引きを提示するだけですぐすぐ検討を進めてくれた。

これには全て不合理な心理的バイアスが影響しています。

一般的にこういった行動経済学は、toCのマーケティングの分野で使われますが、私はこれをtoBの法人営業に応用しております。

結局法人営業でも意思決定する人は人間なので、行動経済学でいわれると頃の認知バイアスはかなり効果的に使うことができます。

私が、人よりも何倍もの値段で、リードタイムを半分で、受注率が挙げられるのは行動経済学に基づいて商談設計、スクリプト設計、体験設計をしているからです。私のクライアント様で導入する時の顧客体験設計も、そのように全て考え尽くされています。



4、担当者が持っている認知的バイアスとは


もう少し担当者の気持ちに踏み込んで考えてみましょう。
中間管理職というのはどんな気持ちで生活しているでしょうか?
その会社は何社目で、上司はどんなタイプの人でしょうか?
どんなライフスタイルを送っているでしょうか?
会社の文化は新しい物好きでしょうか?
風通しは良いでしょうか?

今どんな業務をしていて、
どんな辛い社内人間関係があるでしょうか?

まあ、この辺りの気持ちが理解してくると
自分のようなスーパー営業マンになれます。

担当者の肝(心)を掴むのです。

自分は新卒でマザーズの大企業に入り、
上司の中間管理職の悩みを目の前で見ていました。
この解像度は法人営業に従事するものとしてはmustで必要になってきます。

この辺の解像度がない経営者の皆様にはこちらのアニメをお勧めします。
どれだけ乱暴な担当者でも、構造的にそうなっているだけなのです。

著作:中間管理録トネガワ

担当者のゴールとは何か、まずはこれを明確にします。
基本的に資本主義における会社の構造というのは、
出世するほど年収が上がります。

なので、担当者の究極のゴールというのは

■出世すること


と言い換えることができます。
とある有名な営業マンは最も優秀な営業の定義は、
「クライアント担当者を出世させる営業である」とまで述べています。

さて、彼らの最終のゴール、モチベーションが分かりました。
では、どうすれば大企業の担当者は出世をするのか。

次にこれを構造的に理解していきましょう。
==
日本郵船株式会社
旭化成株式会社
三井不動産株式会社
帝人株式会社
トヨタ自動車株式会社
日本たばこ産業株式会社
味の素株式会社
==

日本の大企業というのは年功序列の人事制度を採用しています。
我々SaaSスタートアップ企業からすると年功序列というのは、
あまり肌馴染みがありませんが、

日本のエンタープライズ企業は紛れもない年功序列です。

これは第二次世界大戦後の復興期に労働者の採用を進めるために作られた制度です。また、日本の文化も大きく影響しており、年齢や経験を重視する文化や、上下関係を重んじる風習が影響しています。

上記を踏まえて、
エンタープライズ企業での出世をさらに分解すると

■ 失敗しないで長く働くこと(A要素)

■ ある一定の成果を出すこと(B要素)


という要素にモチベーションが分解されます。
つまり誰もやった事がない事に
チャレンジすることは人生のリスクになるのです。

皆さんの扱っているSaaSというのは分解すればクラウドサービスになります。世界初のクラウドサービスは2006年のAWSとされています。

実はまだ、20年も経っていないのです。
そして更にサブスクリプション型でのビジネスは
Salesforce.comが1999年にCRM(Customer Relationship Management)
を発表してからの歴史となります。

日本にようやくサブスクリプション型ビジネスが来たのは、
2010年後半と言われています。

つまりは、
大企業の40代〜50代の方からすれば、
SaaSの提案をしてくる皆さんに会うと、
皆さんがスマホに出会ったような衝撃になるのです。

先日大企業の決裁者の方にご提案をさせていただく機会があったときに、
「シェアオフィス?最近もうそういうのにあっても驚かなくなったよ。」
と言われました。我々の感覚からすると当然のようなソリューションも、
時代を生きてきた方からすると衝撃的な事なのだと実感した一言でした。

こういった大企業担当者の認知的バイアスを上手く活用すると
単純にプロダクトの機能差や価格差だけではない
受注要因が出てくるのです。



5、担当者の性格的種類



先ほどあげたモチベーションをA要素、B要素と仮置きします。

■ 失敗しないで長く働くこと(A要素)

■ ある一定の成果を出すこと(B要素)

これを元に皆さんが明日から攻略すべき属性を上げてゆきます。
全部で4種類に分けられます。

A+ B+ ⇨ リスクブレイカー(大企業的担当者) 出現率70%
A+ Bー ⇨ ウィンドウマスター(窓際担当者) 出現率10%
Aー B+ ⇨ イノベーター   (先進的挑戦者)出現率5%
Aー Bー ⇨ フリーライダー (利益享受者)  出現率10%

*これは私のこれまでの数万商談してきた、
エンタープライズ商談で実際に対峙した統計を元にしております。

なんとなく皆さんもイメージがあっていると嬉しいです。
まずはこの中でも大半を占め、攻略すべきなのか
このリスクブレイカータイプです。
みなさんはこういったタイプの担当者を最も攻略する必要があります。

逆にフリーライダー、ウィンドウマスターのような担当者には時間を割いてはいけません。会社によっても検討した数や、PoCを回した件数をKPIに動いている担当者の方は多くいらっしゃいます。検討すると見せかけて、彼らのKPIを満たすためだけに商談をしている可能性があります。

イノベーター担当者は滅多に出現しませんが、ベンダー側よりも精力的に情報収集、社内での立ち回り、トライアル推進をしてくれます。この場合は非常に大型案件化しやすいです。そしてこの方達は出世頭でもありつつ、転職をして回るケースも多いです。一生大切な縁にしていきましょう。



6、リスクブレイカーの営業攻略法



この出現率70%のリスクブレイカーから気に入ってもらい、
彼らの駒となって動くことが我々営業マンの最たるミッションになります。

A+ B+ ⇨ リスクブレイカー(大企業担当者)   出現率70%

SaaS提案の際は下記を参考に推進してみてください。

まずは相手のモチベーションをヒアリングをしましょう。

担当者のヒアリング
1、どんな部署でどんな役割を与えられているのか。
2、今回のSaaS検討は担当者の業務の中でどのくらい重要なのか。
3、過去にこういうSaaSを検討して、導入推進した経験はあるのか。

次に提案のコツです。

提案の中身
・大企業、類似企業でも導入実績があることを早めにアピールしましょう。
・必ずトライアル導入を最初にして、その後PoCの計画を組んで
 ミニマムステップで提案を進めましょう。
・事前に競合比較資料や、上申に使えそうな資料は全て渡しておきましょう。

次に決裁者のヒアリングです。

決裁者のヒアリング
1、今回上申される方はどんな人になるのか?
2、上司の方はこういったクラウド、SaaSに関しての意向はどうか?
3、今回仮にNGが出るとしたらどういった内容でNGになるか?

一旦5,000文字近くなってきたので、まとめに移ります。


7、まとめ


担当者とは中間管理職である。
・彼らのモチベーションは出世する事であり、その方法は下記である。
 ・失敗しないこと
 ・ある程度の成果を出す事
・担当者に動いてもらうには担当者の生態を理解する必要がある。
クラウド、SaaSはまだまだ大企業から見ると新しいものである。
・担当者の性格は大きく下記4つに分けられる。
 ・リスクブレイカー(大企業担当者)
 ・ウィンドウマスター(窓際担当者).
 ・イノベーター   (先進的挑戦者)
 ・フリーライダー   (利益享受者)

・フリーライダー とウィンドウマスターは
  できるだけ相手にしてはいけない
・メインはリスクブレイカーの攻略
・ヒアリングは担当者のモチベーション決裁者の性格や決裁の癖を把握する。
提案はミニマムでリスクのない形で、あくまでも下手に出ない。

ということでいかがでしたでしょうか?
担当者の営業攻略に特化したノウハウは探してもなかなか見つかりづらいと思い、今回Twitterでの質問を機に書かせていただきました。自分自身の体験を総結集した内容なのでぜひこれから取り組まれるという方は前提条件として参考にいただければと存じます。

まだまだ具体的な提案方法や、切り替えしパターン5選など書ききれないことが盛りだくさんなので要望があれば書いて参ります。

ぜひ、スキやコメントをいただけますと非常に嬉しいです。
一人一人全て目を通しております!

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弊社ではSaaSスタートアップ企業様の
エンタープライズ営業の立ち上げ支援を行なっております。
ぜひ、お困りの際はお気軽に下記よりご相談くださいませ。

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セールスのタクミの佐藤がお送りしました。

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