エンタープライズ企業の解像度を高める。バーティカルSaaSスタートアップ経営者がいち早く取るべきエンタープライズ営業戦略の全て。
お世話になっております。
スタートアップの営業部長を歴任し続けている
株式会社セールスのタクミ 代表の佐藤と申します。
2021年より20社以上のスタートアップ企業の営業立ち上げに関わり、
営業部長代行として各社を転々とする事業をおこなっております。
本日はエンタープライズ企業の営業戦略に関してお話しできればと思います。
条件としては、バーティカルSaaSとホリゾンタルSaaSで課題へのプロダクトの入れ込み具合が異なっており、それに応じて事業戦略から営業戦略が大きく分かれるため、今回はバーティカルSaaSの経営者様向けに書ければと思います。
SaaSスタートアップ企業においてはエンタープライズ企業の開拓が日夜課題になっているかと存じます。私が最も参考にしている経営戦略のnoteを貼っておきますが、スタートアップにおいてはエンタープライズを真っ先に攻めるべきとScalebaseの伊藤社長もご記載の通りで、私も実際に現場で事業立ち上げをした感触として完全に同意するところであります。
一般的にSMBの方がCSコストが低いと捉えられですが、飲食店や、物流、生業系のローテクに顧客を持つSaaS企業様をご支援した事のある身としてはSMB企業の方が問い合わせが多く、オンボーディングコスト、サポートコスト共にが大変な場合が多かったです。一旦それに関してはまた別の機会に取り上げれられればと思います。
とはいえ、エンタープライズ企業といえども規模感によっては全く開拓の方法や営業戦略が異なってくるので、その辺りを実際に新規開拓から受注まで経験している自分の目線で書いていこうと思います。
まず、ひとえにエンタープライズといってもかなり大きく分類されると考えます。自分の目線から大きくエンタープライズ企業というのは3パターンに分けてみました。
エンタープライズの解像度を高める
1:スーパーエンタープライズ
2:ブランドエンタープライズ
3:スモールエンタープライズ
ズバリこの企業分類や定義に関しては自社の場合はどう定義するのかをディスカッションすべきではありますが、一般的には上記に当てはめて考えると良いと思います。
特に業界によって全く利益構造も違うので、飲食であれば100億円以上がエンタープライズに定義されても自動車業界では全く構造が異なるケースがあります。
まずは対局的な視点で自社のエンタープライズ企業の定義を決める必要があると考えます。ビジュアライズされて分かりやすいので下記のMAPを貼っておきます。これを見るとマーケット選定の重要さが一目で分かります。市場への愛か因縁が無いとバーティカルSaaSを作ろうとはならない気がします。
また、売り上げ規模と会社数の構造はこれもまた異なっていますが、基本的には大手の売上というのは業界の半分に近い構造が多いです。
例えば、飲食店の市場構造で考えると、国内の外食市場におけるチェーン店の売上高は約45兆円で、市場全体の約52%を占めています。一方で、個人経営の飲食店の売上高は約41兆円で、市場全体の約48%となっています。国内のチェーン企業は大体1,200社と言われているので、もし仮に飲食店SaaSを作るのであれば対象企業は1,200社に絞った営業戦略を組むか、その他数十万社の飲食店向けの営業戦略を組むのかでは全く話が異なってきます。
もはや営業マンで開拓できるレベルではないので、マスマーケティングや、大規模な営業組織(リクルート、光通信)などを元にしたアライアンス戦略に軍配が上がります。
まずは市場構造を捉えることによって、そもそもの営業戦略が決まるわけですが、多くても2,3人の営業組織とCSしかいないスタートアップ企業においてはいかにSMBにリソースを振るのかが焼石に水であることが分かります。
まずは自社の市場構造とエンタープライズ企業を網羅することによって、それ以降の営業戦略は殆どやることが決まってしまい、後はいかにリードタイムを縮めて受注率を上げるのか闘いになってきます。この辺りは殆どのアーリーステージのSaaSの動き方、失敗する点は殆ど一緒なのでまた別途説明します。
一例に挙げるとインサイドセールスを外注して、エンタープライズ開拓をしようと300件のリストを外注したが、アポイントが1件しか取れず、更に評判が下がってしまったみたいなのはザラにあるので、特に持ち玉が少ない業界に関してはレピュテーションリスクを避けるABMの営業手法(展示会での対面営業、顧問経由での紹介、導入事例企業からの紹介、手紙営業)などを取る必要があります。この辺りは何が相性が良いかというのは殆ど決まりきっているので正直やるだけです。この辺りも別途手法論で解説します。
ここまで一般的にエンタープライズ企業と呼ばれる企業群を分解するのと、そのタイミングで市場構造、TOP何社が売り上げの何%を占めているのかというのを認識しておくとそもそもSMBの営業対応をするや、外注をするみたいな営業戦略の誤りが起きないよねという話になります。
自分が支援させていただいた某飲食SaaSの社長は全てのエンタープライズ企業の名前、業態、ブランドを頭に入れており、この会社は勝てるなとその時感じていました。もしこれを読んでいるスタートアップ勤務の方がいれば明日社長に聞いてみると良いと思います。
あなたのSaaSの費用対効果影響指標はなんですか?
ここまで市場構造をしっかりと認識しようという話をしてきましたが、市場構造を認識してエンタープライズ企業を定義するだけではまだ不十分です。いかに会社が大きく、売り上げが大きくても自社のSaaSを高単価で契約してもらえない限りはあまり意味がありません。
そこで重要な指標となるのが、費用対効果影響指標になってきます。これは勝手に私が命名したのですが、最も受注金額に影響してくる指標のことを言います。例えば、Salesforceであれば社内の営業人数。Spirであれば日程調整をする人の数、回数。という風になってきます。これは会社規模やブランドとはまた別の話で個社毎の文化や習慣やワークフローが大きく影響してきます。
なのでいかに大きいエンタープライズ企業でも結局費用対効果影響指標が小さければその会社の売上期待値は大きいので、営業の優先順位を下げるという意思決定が必要なわけです。つまり、業界のエンタープライズリストを全て出した上で更にデータクレンジングが必要になってきます。この指標に関しては営業間隔に優れている経営者であればなんとなく分かると思いますが、過去の受注分析をして全員で共通認識を持てるとよりチームとして同じ方針で動きやすくなると思います。
具体的な話ですが、CRMにカラムを一つ追加してこんな風に管理すると真にアタックすべき優先順位が明確になるのでおすすめです。
ここまでの話を簡単にまとめると、いかにエンタープライズ企業だと定義しても自分達のターゲットになる(最も効率よく金額が稼げる)セグメントにはなり得ないので別途定義を明確に持つ必要があります。この方向性がずれいるとエンタープライズ営業の戦略を実行しているのに、結局ARPUに関してはSMBと変わらない構造になってしまいます。
私が考える、最高のバーティカルSaaSのエンタープライズ戦略
最後に私がこれまでご支援をしてきた中で考える最高のエンタープライズ戦略を記します。とりあえずこれからバーティカルSaaS事業を立ち上げる方はこれだけやっておけばOKというレベルで書きます。逆にこれを失敗すると正直撤退レベルのかなり生々しい内容も含みます。
のでここからは有償の限定公開とさせていただきます。
次回は、「プロダクトの価値を最大化、SaaSスタートアップ企業の勝敗を分けるプライシング戦略の最適化」に関して書きます。
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