母乳中の抗SARS-CoV-2抗体:SARS-CoV-2 variantsに対するIgAの抗体価の評価方法の重要性

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5種類の抗体(IgG, IgM, IgA, IgD, IgE)が、生体内の免疫システムで大きな役割を担っている。母乳には、5種類の抗体の全てが存在している。分泌型IgAの量は、母乳内に存在している全ての抗体の量の約90%を占めている。

分泌型IgAは、産後に数日間に分泌される初乳の内に最も多く含まれています。特に乳児期の赤ちゃんでは、自力でIgAを作る能力が低い。そのため、母乳中のIgAが、SARS-CoV-2に対する感染防止に重要である。

これまでの臨床研究において、mRNA-COVID-19ワクチン(BNT162b2ワクチン/コミナティ筋注)の2回目の接種後に、母乳内にSARS-CoV-2に対するIgAとIgGが、著しく含まれることが認められている。この点において、COVID-19ワクチンの2回接種の重要性が示された。

既に、予備試験において、BNT162b2ワクチンの1回投与が、既にSARS-CoV-2に感染した人において、B.1.1.7変異体に対する中和IgG活性化を誘導することが報告されている。しかし、SARS-CoV-2に対するIgMとIgGの抗体価の方法と比較して、original SARS-CoV-2やSARS-CoV-2 variantsに対するIgAの抗体価の評価方法は、まだ、大きく進展していません。特に、強い感染力と高い重症化率が指摘されているSARS-CoV-2 variantsに対するIgAの抗体価の評価方法の確立が重要である。

鼻腔粘液、気道粘液、腸内粘液などの粘液内には、粘膜細胞から分泌されたIgAが、豊富に存在して、ウイルスやバクテリアなどの病原体から体を守っている。そのため、IgAは、粘液免疫と呼ばれている。母乳中にも、IgAが沢山存在していて、病原体から乳幼児や新生児を守っている。

Author contributions
T.H. wrote the manuscript. I.K. carefully reviewed the manuscript and commented on aspects of clinical medicine, shared information on clinical medicine.

Disclosure of potential conflicts of interest
The authors declare no potential conflicts of interest.

Data availability and Consent to publish
This manuscript is an editorial and does not contain research data.
Therefore, there is no research data or information to be published or opened.

Acknowledgments
We thank all the medical staffs and co-medical staffs for providing and helping medical research at National Hospital Organization Kyoto Medical Center.

がん医療専門ドクター/癌ゲノム医療/新興感染症           JAMA Published on April 17, 2021. by 京都@takuma H


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