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『苦しい時は電話して』著:坂口恭平

自分薬を作るに続けて、2冊目の新刊を読む。
坂口さんの本はなんて読みやすいのかと感動する。

とにかく、別のことに置き換えるプロだな、と思う。死にたいと思うほど悩み続けられるプロだと発想を変えて、そのエネルギーを創作に向かうようにするというのは驚いた。
なんでこんなに考えてばかりいるんだろう、とそれすらも悩んでいた自分にとって、ここまで言語化された文章は新鮮だった。どこまで考えられているのか…

そういえば、一年半くらい前にnoteを始めた時も、相当悩んでいた時期で、とにかく書かずにはいられなくて、とにかく考えたことを書くようにするしかなかった。
そのおかげで、気がついたらフォロワーさんも2000人近くいるし、びっくりするくらい積み上げたものが残っているし、精神的にも前に進むことができた。

武器というか相棒は、文章を書くことしかない。
最近は、エッセイ的に自分の世界を書き残しておこうと思い始めたし、ビジネス的な仕事の話はそもそもあまり好きじゃないから、書かなくなったりと変化もある。
自分の世界を残しておくという意味では、坂口さんに感化されてパステル画を始めた。
これもピッタリハマってると思う。

描き続ける、作り続けることでしか変化は現れない。
そういうことがこの本でわかった。
上手いか下手かはあまり問題じゃなくて、むしろ作り続けることしかできなかった、という結果として、何かしらが生み出される。

世界と自分のズレも、残しておけばいい。どうしてこんなにも辛い思いをしなきゃいけないかはわからないけど、とにかく残しておくことで何かになるかもしれない。何にもならないかもしれないけど、何もしないよりは遥かにマシだろう。

文章や絵を描いて、たくさんのことを思い出した。
子供の時の記憶、好きだったものの記憶、今まで思い出せなかったけど、しっかりと覚えているものがたくさんあった。
多分放っておくと、すぐにどこかに消えてしまう。
だから作り続けて、残しておかないといけない。

独立国家の作り方ぶりだったけど、やっぱり坂口さんは変わらずに面白い。
ちょっと前は宮台真司さんに没頭していたけど、今は坂口さんの時期なのだろう。
宮台さんのタイミングはインプットばかりだったから、アウトプットが足りなかったのかもしれない。
というか、常にアウトプットは足りていない。不健康だ。

今はいくらでも文章というか言葉が浮かんでくる。それをそのまま書き残しているだけだ。坂口さんはトンネル、なんて言葉を使うけど全く同じ感じだ。
書いている時は、全く頭が真っ白で、思い浮かんだままに書き続けている。
文章の構成とかもいらない。そもそも、心に構成なんかないはずだから。

僕は死にたくなるとはっきり感じたことはない。だけど薄い霧というか膜というかそういう死にそうな自分をいつも見つめながら生きている。
自殺しようと思ったことも手首を切ろうと思ったこともない。いつでも寝つきはいい。たまに寝れなくなるけれど。でも、薄い死の膜が自分を包んでいるのがわかる。このまま考えすぎると多分、死にたくなってしまう。
そうなる前に、経験を変えて、作るようになったのはひとつ坂口さんのおかげだ。



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