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【おぞましい2人】淡々と子どもを殺す2人

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜2作目のエドワード・ゴーリー〜

以前読んだ不気味な絵本「ギャシュリークラムのちびっ子たち」の著者、エドワード・ゴーリーの作品、2作品目である。ゴーリーの魅力に

本作は、1960年台にイギリスで実際に起きた「ムーアズ事件」を基に書かれた作品。とある男女2人が4年かけて子供を殺して荒野に埋めた、という事件である。
「ギャシュリークラム」よりかはストーリーがあるので読みやすいが、不気味さの点では「ギャシュリークラム」がずば抜けていたので、個人的には「ギャシュリークラム」の方が好きである(!?)。
とはいえ、本作も「なんでこんな絵本がこの世にあるの?」と思える充分な不気味さを持っている。


〜淡々と行われる子ども殺し〜

さて、どの程度事実に即しているかはわからないが、「ムーアズ事件」の犯人である2人の男女の生涯を描いた作品である。
若い頃から深い闇を抱えた2人は運命的に出会い、一生の仕事(!?)として子ども殺しを始める。

直接的な描写は無く、和訳を読む限り、冷たい空気感で淡々と事実のみが語られている。

凄惨な事件を描いているにも関わらず、あまりにもクールな展開に異様な空気を感じる。というのも、読みたくもない行間を思わず読んでしまうからだ。

例えば、ゴーリー自身この作品で1番頭を悩ませたのが、2人が最初の子供を殺した後の朝食のメニューだったそうだ。

なぜ2人はそのメニューを選んだのか、など詳細は語られないが、2人の人間性を想像してとても恐ろしい気持ちに襲われてしまう。

あえて作られた空白を埋める作業の中で、自分の想像力で様々な2人の人間像を描いてしまうのが、この本の魅力なのかもしれない。


というわけで、すっかりゴーリーの世界に魅了されてしまっている僕である。
次は何を手にとってみようか、悩んでるところだ。

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