見出し画像

【ヒトの目、脅威の進化】ヒトの目の進化に関する新しい説

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜ヒトの目に関する新たな視点〜

本書はヒトの目に関する本である。
ヒトの目に関する新たな説を提唱しており、非常に知的好奇心がくすぐられる一作であった。

冒頭から、「ヒトの目には、人の心を読み取る力、透視する力、未来予知する力、霊読する力がある!」というとんでもない話からスタートするのだが、読み進めていくうちに、ヒト自身が気づいていないヒトの目の能力に驚きを隠せなくなる。

他ではお目にかかれない、ヒトの目に関する新たな可能性(説)を唱える本として非常に面白く読めた。


〜ヒトの目の四つの力〜

とはいえ、ヒトの目にはスーパーマンのように超人的な力がある、という胡散臭い話ではない。これは誰も気づいていないが誰もが持っている自分の目の力についての話だ。

例えば、色覚。これは従来、霊長類が森の中で果実や敵など、草木以外のものを見分けるために色覚が発達した、と考えられていたが、著者は「同じ霊長類の肌の色の変化を見つけ、相手の体調や感情を読み取るために発達した」と述べる。
また、なぜヒトの目が前向きに2つついているかについては、従来は立体的な視覚を持つのに有利だからと考えられていたが、著者は「障害物の多い森の中で、両眼視による2つの映像を一つの映像に統合して障害物を透視するため」と述べる(例えば、目の前にペンなどを置いてその向こうの景色を見ようとしてみると、ペンが透けて景色を全て見渡せることを確認してみれば、これが実感できる)。

他にも、錯視をコンマ数秒先を見る能力と結びつけて考察したり、世界でバラバラとも思える文字の成り立ちを自然界の中から見出すなど、初めて聞く説がいくつもある。
ヒトの目に関する新たな説・可能性に興奮を覚える。


〜科学者の考え方を知る〜

と同時に、これは「科学者のひらめき、アイデアとはこのように生まれるのだ」ということを知れる一冊でもある。

研究や科学からほど遠い僕にとっては、科学者たちがどのように新しい発見をするのか、想像がつかなかった。
本書ではその一端が垣間見える。

第3章の「人はなぜ錯視を起こすのか?」というところから「ヒトの目はコンマ数秒先の未来が視える」という結論に至るまでの推理は非常に読み応えがあるし、その他の章でも関連性のないようなところからヒトの目の能力に関する根拠を見出す過程が非常に興味深い

ヒトの目に関する驚きだけでなく、科学者の考え方にも驚かされた一冊である。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?