【十角館の殺人】(ネタバレなし)物語の仕掛けは日々量産されていく
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆
〜本格ミステリの転換期となった一冊〜
さて、本書は日本のミステリー界に大きな影響を与え、本格ミステリ界では「綾辻以降」という言葉が使われるようになった、という話があるそうな。
僕は特段のミステリファンというわけではないが、映画にしても小説にしてもいわゆる「どんでん返し」モノが非常に好きで、この本もずいぶん前から気になっていながら、なかなか読む機会が作れなかった。
物語は、外界とは連絡がとれない孤島で連続殺人事件が発生する、といういわゆる王道ミステリーである。
この本も巷ではかなり評判の高い一冊であったが、期待しすぎてしまったせいか、そこまで興奮を覚えられなかった。
〜世の中のトリックは進化してしまった〜
というのも、僕自身読みながらなんとなく犯人が見えてしまったのだ。
いわゆる本編のキモとなっているのが叙述トリックなのだが、なんとなく怪しく見えてくる人間がいてしまったのだ。
僕もそれなりにミステリーやサスペンスを映画や小説で嗜んでいるため、あらゆるパターンのトリックを体験している。
もちろん、この物語は面白くトリックも見事ではあるが、やはり、どこかで見たり感じた事のあるものになってしまった。
この感覚はこの本の出来がどうこうということでなく、現在世の中にあるトリックや「どんでん返し」には、かなり凝ったものが多く、87年に刊行された本書に対して、どうしても古臭さというものを感じずにはいられなかったのだ。
現代ミステリの原点、という価値はあるのかもしれないけれど、残念ながら、現代でも変わらない斬新さというものは無いだろうと思う。
〜本格的なミステリ好きはどう評価する?〜
しかしながら、ミステリ小説の中でもかなり評判が高く、未だに人気のある本書。
僕は、せいぜい「なんか騙されたいなぁ」という感覚で本書を手にとったわけだが、そのトリックに関する細かい考察や解説を読後さまざまなサイトで読んでみたら、本格ミステリ好きの人たちの中ではやはり評価の高い一冊なのだろう。
本格的なミステリ好きの人に、この本について語ってもらいたいものだ。
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