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#2 コントロールできると強い!②

これは#1の続きです。
またはじめに結論を書いておきます。

結論▼
何事も、コントロールできるようになれば強い!
できるようになるには、意識して経験し何回も繰り返そう!

さて、前回は野球の例。私の頭の中にあることなので、ざっくり伝わっていれば嬉しいです。

今回は日常生活における「感情のコントロール」を例に話していこうと思います。

②感情の例
さっそく引用。菅野仁さんの有名な新書『友だち幻想』から。(この本については最後に。)

苦みというものをどうしても噛みしめざるをえないのが大人の世界なのです。でもその苦みを味わうという余裕ができてこそ、人生の「うま味」というものを自分なりに咀嚼できるようになるのです。         ( p.119 )

この言葉は、「上には上がいる」のような、自分の限界や挫折をこどもたちにも伝えるべきだ、という文脈でのこと。つまり、「限界・挫折=苦味」であり、それを味わえれば、人生のうま味を感じられるということだ。
これはまさに、限界・挫折ということから生まれてしまう「認めたくない」「すぐに諦めよう」「やっても無駄」などという負の感情をうまくコントロールできれば人生がより良くなる、ということではないか。

次にもっと卑近な例として、年齢別の感情と行動を比べてみよう。何か嫌なことがあった時、幼児はその感情をそのまま表現する。言葉で示せない頃は泣いたり全身を使ったり、少し成長すると言葉で怒ったり、すねることを覚えたりもする。おもちゃ売り場の床に寝転んで駄々をこねる姿も容易に想像できる。でもそれがだんだん大人になって、関わる人も増えてくれば、その表現は変わらざるを得ない。イラつくことがある度に怒鳴ってもいられないし、嫌な仕事(もしくは課題)を課されたからといって泣きわめくわけにもいかない。人は大人になるにつれ、家族に始まり、学校、部活、会社、地域コミュニティまで、さまざま組織に属することになる。組織の中でうまくやっていくためには、自分の感情をコントロールすること、特にその中でも「抑える」ことが必要になってくるのだ。

だがその一方で、抑え込んでいるだけでうまくやり過ごしているのもいけないというのが生き方の難しいところ。しかし逆に言えば、これは「コントロールできるか否かが重要になるところ」でもある。
抑制の対義語は促進らしいが、ここでは抑え込まずに吐き出す、という意味で「解放」とする。なにかを抱え込んだり、無理をしたりというのは、先ほど書いたようにある程度は必要だ。でも、抑制ばかりではいつか自分は壊れてしまう。定着しつつあるハラスメント問題もその一例である。そんな時は、自分の感情を無視してはならない。ただ、やはり難しいのは、その感情をそのまま表現するのではいけないということだ。ハラスメントの例で言えば、ただ怒りをどこかにぶつけても、伝わりづらかったり、過激な口論に発展したりする可能性もある。ではどうすればいいのか。
そう、ここがコントロールの出番なのだ。
怒りの気持ちを一旦は「抑制」して冷静に対処しつつ、それを無視しない。そして、正当な方法でその感情を「解放」し、表現するのである。例えば、信頼できる人に落ち着いて相談する、通報システムに手続きを踏んで通報するなどである。ただ再度確認しておくが、このコントロールは感情のコントロールの中でも非常に難しく、しかしだからこそ、「できると強い」ことなのである。

・・・「#3 コントロールできると強い!③」に続く・・・


付録:引用させていただいた本について
『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』(2008)
菅野仁著 ちくまプリマー新書(株式会社筑摩書房)
書誌情報は、こんな感じです。
発行年を見てみると、なんと10年も前ですね。この新書が2018年あたりから様々なメディアに取り上げられるようになり、2019年には読売中高生新聞で「キミ本大賞」1位を獲得しました。私もそこから2年経った今、ようやく手に取ってみましたが、なるほどこれは今こそ読むべき、というか10年以上前に書かれた本とは思えないほど今にぴったりすぎる内容だと思いました。やはり意識の違いで何年も前から問題に気付いている人はいるのよね。本当に尊敬です。
内容ですが、大きな話として「今は昔と変わったよ、だから子どもの考え方や友だちとの関わり方も考え直す時がきているよ」ということだと思います。中高生へ向けてだけでなく、教える立場の教師や親といった大人の方も読者として意識している本だというところが特徴です。特に印象的だったのは、「ルールはそれ以外のものを自由にするためのもの」というお話と、今回引用させて頂いた「苦味を通してうま味を味わう」というお話。どちらも、この本で初めて触れた考えではありません。でも、何回も目にし耳にして、その度に自分の生活を再考させられる考えであり、その価値があるものだと思っています。理由は簡単にいえば、世の中に誤解している人や、まだこのことを知らない人がたくさんいるから。大事なことは何度聞いてもいいんです。反復して、自分のものにしてはじめて、行動や雰囲気として自分から他者に伝わるものだと思っています。
ちょっと脱線しそうでしたが、これで紹介をおわります!
ぜひ手に取って自分のものにしてください。安心感を与えてくれる本です。

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