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【日記エッセイ】「居場所造りボランティア 何とも言えぬと蒸し暑い 2020-07-15 」

僕は公園で小学校高学年と中高生たちとずっとサッカーをしていた。リンとヒーちゃんは暇そうだ。低学年の女の子から高校生の男の子までが一緒になってサッカーをする時もある。けど、今日は中高生が激しくサッカーをしたそうで、そういう日はガチでサッカーをする。すると小学4年のリンと小学2年のヒーちゃんはサッカーに入れない。

リンは「やることがない、暇!」と言って、僕の横でだれている。僕はサッカーをしつつリンと話す。リンが「遊ぼう」と言ってくる。「いや、今は無理だ」と断る。居場所運営の視点からすると、スタッフが少なく、僕しか公園にいない場合は大勢でサッカーをするのが有効な手段なのである。リン1人に付きっきりになるわけにはいかない。あと、僕自身がサッカーをしたい。

ご飯の準備になって、サッカーは終了して、みんなセンターに戻った。

僕はリンの様子を見ていた、ふと、なんとなく、ご飯をリンの横で食べてみよう思った。リンの隣でご飯を食べていると、リンが僕にだけ聞こえる感じで「ご飯食べたら、鬼ごっこしよう」と言ってきた。僕は「いいよ!片付けが終わったらな」と言った。するとリンは、本当に嬉しそうに「やったー!よっしゃー!」と言い放ち、近くにいたヒーちゃんに、獲物を仕留めた狩人が村人に成果を見せびらかすように「ジャニ(ジャニとは僕のあだ名である)がご飯食べたら、鬼ごっこしてくれるって!ジャニが遊んでくれるって!」と伝えていた。僕は幸せ者である。僕はリンと、しばらくの間、密なコミュニケーションを取ってなかったんだなと思った。遊んでくれるなんて言葉を言わしてるようじゃダメだし情けない。いつだって、僕が遊んでもらってるんじゃないか。

ご飯を食べ終えて食器を片付け後、リンと一緒に鬼ごっこをした。今度はサッカーを断って、また夜にしようと中高生に伝える。リンは鬼ごっこ中なのに、珍しく、やたらと甘えてくる。僕がリンの横でご飯を食べようと思った感覚は、これを察知していたのかも知れない。

リンが背中に抱きついてきた。辺りには誰もいない、リンと2人の時間、日が落ち、薄暗く、疲れと暑さでボーッとする、意識がゆっくりと遠くなる。

ギュッと僕の背中にリンがひっつく。汗のベタつき、鼻にこびり付く臭い、長い髪が体全身に纏わり付く、味噌汁のついた手が首元に染み込む。憎しみも汚さも美しさも半一体となって馴染み合う。湿度が高く蒸し暑い。汗が絡みつき、呼吸を合わせて同化していく。ペタッとくっつく。全部と言っていいかはわからない、でも、全部を受け入れて溶け合っていく。その時、この世界に僕とリンは存在しない、なんとも言えぬ存在だけがそこにある。

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