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【読書感想】中村文則『掏摸』

2019/02/13 読了。

中村文則『掏摸』 

──光が目に入って仕方ないなら、それとは反対へ降りていけばいい。

この一文を読んだ時、身体から力が抜けてへたり込むような感覚になった。この一文が、この小説の核であり、出発点だと思う。

子供がこの世界に誕生して成人になる事はそんなに容易な事ではないのかもしれない、とニュースを見ながら考える。自分の無力さを嘆くことも偽善に思える。 

『掏摸』はスリ師をテーマにしたものだが、持たざる者が何かを掴んで生きていく話でもある。主人公と虐げられている少年。二人の絶望と生命力に、その後の人生が少しでも光が射すものでありますようにと思った。そう思いながら、自分の偽善的な思考に嫌気がさした。中村文則さんの小説は思考が分散するな。全くまとまらん。

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