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【読書感想】辻村深月『ふちなしのかがみ』

2020/06/24 読了。

辻村深月『ふちなしのかがみ』

怪談系の短編が5つ。読み終わって今はホッとしてる。これで怖い夢見なくて済む。

小学校の鏡が怖かったのを思い出した。理科準備室のホルマリン漬けも怖かった。音楽室の肖像画も怖かった。小学校には怖いものがたくさんあった。

中学にあがると、”モノ”より”ヒト”の方が遥かに怖いと気付き、恐怖を感じる対象が変わっていった。 

『ふちなしのかがみ』に収録されている、5つの話のうち4つのお話は人が死ぬ。割と軽やかに人が死ぬなーと思って読んでいたのだが、死者のバックボーンを丹念に描いてある作品だとその死者に感情が入るのに対し、死体がじゃんじゃん出てくる作品だとただの物質として捉えていた。「おとうさん、したいがあるよ」でそのことに気付いたのだが、自分自身のモノの見方にゾッとした。

願掛け、コックリさん、おまじない。興味半分であってもそれらに触れようとするその間際は、既にそちらに捕らわれているんだろうなぁと思う。目に見えないものに頼ったり縋ったりするその精神状態を、幼少期や思春期特有のものと笑うことができないのは、大人になった今も若干残っちゃってるからなんだよな。あー、怖い怖い。





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