パシフィックリーグマーケティングが存在したから実現したと言える「究極の球団間コラボ」
こんにちは、今日は趣味丸出し丸です。
パシフィックリーグマーケティングという企業をご存知でしょうか。プロ野球、パ・リーグ6球団の合同出資で設立されたパ・リーグのマーケティングを進める企業です。
今日は、この企業が存在したから実現した「究極の球団間コラボ」と言えるものをご紹介しましょう。
01.首位攻防のさなかで生まれた究極の球団間コラボ
時計の針をさかのぼり、2014年9月。
当時のパ・リーグはソフトバンクホークスとオリックスバファローズの2チームが激しく首位を争っていました。9月とはシーズンも佳境となる時期、首位を争うチーム同士の直接対決はゲーム差を一気に縮める可能性があり、8月までのシーズンとは異なったヒリヒリした空気がゲームに漂います。
ソフトバンクとオリックスの直接対決は計6試合残っていました。それぞれの本拠地で3連戦。その直接対決を盛り上げるべく、こんな動画が作られたのです。まずはコチラをごらんください。
■バファローズ×ホークス全面対決!首位攻防コラボ映像 バファローズ編
■バファローズ×ホークス全面対決!首位攻防コラボ映像 ホークス編
もう、ため息が出るほどカッコイイ・・・
首位攻防をテーマに両チームの選手・ファン・チア・マスコットがマッチアップする。あああ素晴らしい。
お分かりいただけると思うのですが、両球団バージョンが存在します。そして、映像の縦横比がちょっと特殊、すんごく横長な映像ですよね。通常の16:9より遥かに横方向に長い映像です。ピンとくる方はすぐに気付いたでしょうが、この映像は各球場のビジョンで流された映像なのです。
この映像こそ「究極の球団間コラボ」であり「パシフィックリーグマーケティングが存在した意義を象徴するもの」だと、私は考えています。
02.両球団の本拠地で、両球団をマッチアップしたムービーを流す意味
よくよく考えてもみてください。この映像って、首位攻防の天王山6試合、各球場での試合前に放映されたものなんです。それを踏まえてこの映像をもう一度見てくださいよ(興奮気味)
9月の天王山、この3連戦が重要なものであることはどちらのファンにも自明です。シーズン前半のゲームよりも高揚した想いを抱えてファンは球場に足を運びます。このゲームが今シーズン初観戦のファンは、球場に向かうワクワクとともにヒリヒリした緊張感を味わいます、その緊張感はこの時期だから味わえたこと。
プレイボールが近づいたときに、おもむろにビジョンからこの映像が流れます。各チームの選手だけではなく、マスコットやチア、さらにはファンもマッチアップする構成。これからはじまる「対決」に向けた高揚感を一気に高めます。こんな映像を試合前に見たら、それだけでちょっと泣いてしまいそうになる。
ということでもう一度・・・笑
バファローズ×ホークス全面対決!首位攻防コラボ映像 バファローズ編
でも、この映像の何がスゴいことなのでしょう。確かにカッコイイ映像かもしれませんが、パっと見た範囲では私が「スゴい!」と言う理由までは伝わらないかもしれません。
私が「スゴい!」と感じた理由。それは両チームの本拠地で両チームをフューチャーした映像をシーズンの最も盛り上がるタイミングで流したということです。
プロ野球の試合を実際に見に行った方なら分かると思います。球場内の演出は当然ながらホームチームを応援するものです。スタメン紹介のシーンなんて顕著ですよね。アウェーチームの紹介はサラっと終わらせてホームチームの選手はカッコよく紹介する。
当たり前っちゃ当たり前。ホームチームのファンが多く訪れるのがホームゲーム。そして、ホームチームの応援をするのがホームのあり方です。当たり前っちゃ当たり前。
でも、この映像は両チームをフューチャーしています。どちらかのファンに向けたものではなく、両方のファンに対してリーグが最も盛り上がるタイミングで、もっと盛り上がっていこうぜ!というメッセージを発するものなのです。
なんだろう、パシフィックリーグマーケティングの「パ・リーグを盛り上げる」というマーケティングのあり方を超えたところにある「パ・リーグ愛」「野球愛」みたいな・・・そんな矜持すら感じる映像でした。
この映像、どんな経緯で「制作しようぜ!」となったのかは分かりません。もしかするとどちらかの球団担当者の発案だったのかもしれません。しかし、間違いなくこんな企画はパシフィックリーグマーケティングが存在していなければ生まれなかったはずです。
究極の球団間コラボ、スポーツチーム同士のコラボレーションではないでしょうか。直接ゲームに関係ないことなら幾らでもコラボできます。サッカーチームと野球チームのコラボみたいなモノもちょこちょこ目にします。
でも、ゲームに関係する領域でコラボすることはハードルが高いはずなんです(しかも天王山!)。そこを突破できたのはパシフィックリーグマーケティングが存在したからでしょう。
03.チーム単位から競技単位のマーケティングへ
通常、スポーツマーケティングとは多くの場合「チーム単位」であるものが多いですよね。各チームは別法人であるため自社の利益拡大のためには自社独自にマーケティングを展開します。
また、そのリーグやスポーツそのものを所管する団体によるマーケティングも存在します。プロ野球の場合ならNPB、サッカーならJリーグ、この辺りは競技の性質によるものです。
パシフィックリーグマーケティングはNPBからは「パ・リーグ6球団だから出来ること」「球団間で力を合わせてやるべきこと」を主眼にパ・リーグのファン拡大に尽力しているようです。
誤解なきように申し上げておきますが、私は別にパシフィックリーグマーケティングの回し者ではありません。イチ純粋なパ・リーグファンです。さらに申し上げるならゴリゴリのバファローズファンです。
様々な施策を現在でもパシフィックリーグマーケティングは実行していますよ。動画配信のパ・リーグTVや情報発信のパ・リーグインサイトなど、パ・リーグファンを喜ばせるコンテンツを多数打ち出しています。
パシフィックリーグマーケティングの存在を知ったのは、いつだったかなぁ。あるとき、各球団のホームページがとっても似通っているなぁと気付いたときでした。6球団のホームページをそれぞれ見てもらえれば一目瞭然です。
たぶん、スマホが流行り出す前から共通のフレームワークを作っていたんじゃないかな?、そんな記憶があります。つまり、6球団で共通のフレームワークを活用することでホームページの制作費を抑え、各球団のマーケティング予算を他の施策に有効活用できるようにしている・・・ということでしょう。
セ・リーグはこんなこと、実行できていません。ここでリンクは貼りませんが、セ・リーグ6球団のホームページを見ればそれぞれ独自に制作していることも分かります。
コレ、すごく有効ですよね。「各球団のホームページを見る」なんて行動を取るファンはごく少数でしょう。通常は自分がファンであるチームのホームページを覗くだけです。だから、各チームが同じフレームワークであったとしても各ファンは違和感を抱かないし、逆に各球団のホームページを見る人にとっても構成が似通っているので「目当ての情報」を容易に探すことができます。
従来、チーム単位でのマーケティングがスポーツマーケティングの基本でした。また、競技そのものを所管する団体による大きなマーケティングもスポーツの価値を伝える手段でした。
パ・リーグの場合は少し事情が異なります。
昔から「人気のセ、実力のパ」という言葉が存在したように、パ・リーグはファンが少ないということが定説でした。特に21世紀に入るまでぐらいはその傾向が顕著だったように見受けられます。
しかし、2004年の球界再編問題、同時期にメジャーリーグからにNPBへ復帰した新庄剛志選手(当時日本ハム)の「これからは、パ・リーグです」宣言、千葉ロッテマリーンズの新たな応援スタイルとアジアシリーズ制覇など徐々にパ・リーグへの注目が高まっている空気も感じていました。
そして2007年、パシフィックリーグマーケティングはパ・リーグ6球団による合同マーケティングを目的として設立されます。
詳しい解説は関係者でも何でもないのでヤメておきましょう。ホームページを見てください。社員の紹介がプロ野球チームの選手紹介っぽくなっているのもグッドなところですよ。
プロスポーツ団体がマーケティング会社を抱える。
この思想は驚きでしたね。プロ野球の「パ・リーグ」という特殊性もあったが故に実現したのでしょう。だって、いつまでもセ・リーグの後塵を拝しているわけにはいかないですもんね。
そして、いまや「人気のセ」とは言えない状態になっています。「パも人気」は疑いようもない事実です。もちろん、各年度の順位によって観客動員の増減はありますが、リーグ全体で見れば間違いなく以前よりも人気・観客動員ともに上昇しています。そして、「実力のパ」は保ったままですw
余談も余談ですが、セ・パ交流戦では毎年パ・リーグの圧勝です。今年は中止が決まってしまって残念ですが、また来年以降その姿が見られることを期待しましょう。このセ・パ交流戦に向けてパ・リーグTVが作っている「煽りムービー」が出来がよく&面白いのです。セ・リーグファンからすれば腹立たしいかもしれませんが・・・
閑話休題・・・
私は、この現状を支えているパシフィックリーグマーケティングを応援しています。シーズン中はDAZNを契約していながらもパ・リーグTVも契約しています。ぶっちゃけ、試合を見るだけならDAZNで十分なのです。しかし、ただただパ・リーグに頑張ってほしいからパ・リーグTVも契約しています。
これからも頑張ってくださいよ。パシフィックリーグマーケティング。でも、先に挙げたコラボ映像以上のモノはまだ出てきていないと思います。もっと踏み込めるはずじゃないの、パシフィックリーグマーケティング。
04.はやく、プロ野球のある日常が戻ってほしい。
このコロナ禍によって、私たちはプロ野球を楽しむという日常を失いました。ほぼ毎日に渡って私たちの心を揺さぶるコンテンツが消失しているという事態を改めて振り返り、その影響の大きさを改めて感じます。
なんだろう。プロ野球の存在しない春は、とても起伏の少ないものでした。もちろん、日常のなかでこのコロナ禍による影響は大きなモノで、そちらに心を奪われることが多かったのですが・・・
しかし、プロ野球がもたらしてくれる「日常の起伏」のなんと大きなことか。ぶっちゃけ心穏やかに過ごしたいなら見ない方がよいのかもしれませんよw、負けゲームが込んだときの心の荒み様なんてトンでもないものがありますよね。でも、私はそんな「日常の起伏」を求めているんです。プロ野球を求めているんです。
選手、球団、NPB、パシフィックリーグマーケティング、それぞれに「今できること」に対して全力で取り組んでいるはずです。その努力に対して敬意を払いながら、私も来るべき熱狂を開放する日を夢見ながら我慢します。
でもやっぱり、プロ野球が見たい。待っています。
がんばれパ・リーグ
がんばれプロ野球
早くプロ野球が見たい。
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