20妄想カメラ

【事業妄想】カメラマンとユーザーを繋ぐ新しいプラットフォーム

こんにちは。いま企てているコトは「ステキと言えるかどうか」を価値判断基準にするプランナー、たけうちのぶおです。普段はイベント制作、空間づくり、B2Bマーケティング、事業企画・推進などを主なフィールドに活動しています。

事業妄想とは事業構想にも至らないホヤホヤした妄想です。アウトプットすることで自分の考え方を整理する、あるいは誰かの発想の呼び水になることを期待しています。

twitterでつぶやいた自分の言動が引き金になり妄想が浮かんでしまいました。粗だらけのアイデアなのですが実践したいという方が万が一いらっしゃればどうぞご自由に、但し自己責任でお願いします。


今回の妄想は「カメラマンと一般消費者をつなぐプラットフォーム」です。

「え、既にあるじゃん」と思った方はクリエイティブ界隈の住民なのでしょう。adobe stockやshutterstock、iStockに写真ACなど、画像素材を販売してフリーのカメラマンやクリエイターが収益を得ることのできるプラットフォームは既に存在します。

しかし、私がイメージしているのはストックフォト系のサイトのように「誰でもアクセスできる写真素材」を販売するものではありません。素材ではないのです。あくまでも、個人に向けた写真の販売を行うプラットフォームです。

そんなモノが欲しいと思った背景には、我が子を育てているシーンのなかで感じるちょっとしたモヤモヤがあったのです。


こどもの幼稚園・保育園での写真がほし~い!!のに・・・


私のこどもは4歳(兄)と2歳(妹)。兄は幼稚園、妹は保育園へ通っています。そして、毎月のようにこどもの写真をそれぞれの園から購入しています。

普段は分からない、こどもたちの園生活。どんな過ごし方をしているのか気になって気になって仕方がありません。

そんな様子を知ることのできる写真販売は貴重な機会。毎月1500円~2000円ぐらいは、それぞれのこどもの写真購入に費やしています。つまり、毎月の写真購入費は合計3000円~4000円ぐらい。(ちょっと多いぐらいかもしれません。)

そこで思うことがあります。

兄の幼稚園はプロのカメラマンが撮影した写真なのでクオリティはそこそこ。しかし、行事ゴトのタイミングしかカメラマンが入らないので日常の様子についてはイマイチ分かりません。

一方、妹の保育園は園の先生がデジカメで撮影したスナップ写真です。なのでクオリティはお察し。しかし、そんなクオリティでもこどもの様子が分かるので、ついつい買ってしまいます。選択肢のない状況ではクオリティなど二の次です。

どっちも一長一短。もっと、普段の様子・普段の表情が知りたいし、写真のクオリティはもっと高くあってほしい。


幼保をとりまく写真販売のビジネスモデル


私は、我が子の成長に関連してこの写真販売に関するビジネスモデルを3つほど体験しました。

長男が①認可外保育園→②幼稚園、そして長女が③認可保育園というカタチで、それぞれに写真販売のビジネスモデルが異なっていたのが面白いトコロ。

①幼稚園の先生が撮影し、印刷もして販売する
②印刷会社が手配したプロカメラマンが撮影、印刷会社のプラットフォーム上で販売
③保育園向けICTシステム提供会社のアプリ上で販売(撮影は各園にお任せ)

①のシステムは昔の学校でもあったヤツです。私が小学生のときにもあったような記憶があります。写真撮影は園の先生が行い、印刷したアルバムに番号を振って、保護者が購入したい写真を申し込むタイプです。今でもこの方式で運営しているトコロもあります。

②は、いま長男を通わせている幼稚園がこのシステムです。プロのカメラマンが入り、そこそこのクオリティの写真を提供してくれます。児童数が多く必然的にアップロードする枚数も多くなるので、レタッチなんかはしているのかなぁ、どうかなぁ・・・というぐらいです。ちゃんとレタッチしていたらゴメンナサイ。そして、販売するプラットフォームは、おそらく提供している印刷会社独自のモノです。未だにflashを使っていますから。

しかし、基本的に行事ゴトのタイミングでしかカメラマンが入りません。そのため、普段の園生活をどんな感じで送っているのかは見られないのです。むしろ、行事ゴトは自分のカメラで撮影するから、本当は普段の姿こそ撮影してほしいのに・・・

③は長女を通わせている保育園のシステムです。登園・降園の管理などを行うアプリを導入していて、写真購入もアプリ上で完結できるので便利です。多分、この手のシステムだとアプリを提供している運営会社は業界シェアトップなのかな?

ネックに感じるのは、園の先生撮影のスナップなので写真としてのクオリティが・・・というトコロです。ちなみにこのアプリを経由するとプリント写真以外にもデータダウンロードが可能です。そして、プリントよりもデータ販売の方が価格設定を高くしています。この点は正しい選択。

しかし写真自体のクオリティがネックになり、私自身はまだデータ購入をしたことがありません。データ販売は1枚あたり¥150です。(この価格情報で何のアプリかバレそう)

仮にプロのカメラマンが撮影した写真を提供してくれるなら、通常¥150のところ¥300でも問題ありません。おそらく、毎月のそれなりの金額をプロカメラマンのデータダウンロードに支払ってしまう未来が目に見えています。


各事業者でプラットフォームや写真を提供するモデルの非効率さ


そう、プロのカメラマンに撮影してもらいたいのです。しかし、ここに挙げた3つのビジネスモデルでカメラマンが出張ってくるのは②のビジネスモデルだけです。

この場合は印刷会社が幼稚園・保育園との契約主体になっています。カメラマンはあくまでも時間工数の人件費としての売上を挙げられるだけでしょう。

また、このビジネスモデルは印刷会社の営業能力範囲内でしか広がりません。②のビジネスモデルを提供している印刷会社も地域の印刷会社です。印刷会社が幼稚園に対して営業できたから成立したビジネスモデルです。

この状況をみて、なんだか市場全体が非効率だな・・・と感じるのです。

ユーザーである保護者にとっては、本当は日常の風景を一定のクオリティで撮影された写真として見たいのに満たされない。カメラマンにとっては印刷会社なりサービス提供者なり園事業者なりからの発注を待つしかなく、受け取れることのできる報酬は時間工数に対する拘束分のみ。

園側にとっては、撮影手配やアップロードの手間なども相当のモノでしょう。それでなくとも幼稚園・保育園の先生方は忙しいのです。

ということから妄想したのが、カメラマンごとの撮影データ販売ができるプラットフォームです。③のアプリは提供者と園側が主役ですが、この妄想プラットフォームのキーマンはカメラマンです。カメラマンに紐付いたプラットフォームはおそらく世の中に無いはず(見つけられなかっただけかもしれませんが)


カメラマンにとってのビジネス機会を生み出す可能性


カメラマンごとの撮影データが販売できるプラットフォーム・・・と聞くとストックフォト系のサイトが思い浮かぶでしょうが、ソレとは機能も役割も全く異なります。

ストックフォト系のサイトは万人に対してカメラマンの作品を広く「素材」として販売する目的です。私がイメージしているプラットフォームは、あくまでも個人に向けたサービスであって万人に向けた素材としての販売を想定していません。

どういうことでしょうか。

保育園・幼稚園でこのサービスをそのまま実践するならば、撮影した園・タイミングごとにログインIDとPASSを提供して、その関係者だけに画像を販売することのできるプラットフォームということです。

カメラマンの山田さん(仮名)がスマイル保育園(仮称)で写真撮影をしたときに、スマイル保育園の保護者向けにIDとパスワードを発行します。保護者は自分のこどもが通う園の写真にのみアクセスができ、カメラマンは撮影した園ごとにIDとパスワードを発行できるということです。

保護者は気に入った写真をデータ購入できます。そして、保護者が購入した写真データ費用のうち一部がマージンとして園に、一部が運営費としてプラットフォーム提供者に入るイメージです。

ビジネスモデルを整理すると、こんな具合です。

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どこかの事業者・・・たぶんIT系の会社でしょう。コレが最初にプラットフォームを作り、カメラマンを集客します。カメラマンは園側に対して営業をし、写真撮影の許可を得ます。実際に写真撮影したデータをカメラマンはプラットフォームにアップロードし、保護者は気に入った写真を購入します。その売上のうち、園側とプラットフォーム側のマージンを除いた金額がカメラマンの利益になります。

仮に1枚あたりのデータダウンロード費を300円と設定してみましょうか。たぶん、自分はこれぐらいなら出せます。毎月ダウンロードに5枚ぐらい、計1,500円を購入すると仮定しましょう。購入する保護者が20組いれば1施設あたりの売上は30,000円です。この数は少なめに見積もっています。

1日のうち2施設を撮影にまわることができれば売上は60,000円です。このうち10%を園側のマージン、もう10%を運営費として差し引いても、カメラマンに残る利益は54,000円です。ベテラン・大御所カメラマンの単価には届きませんが、若手のカメラマンの単価としては成立しているのではないでしょうか。

マージン率が適正かどうかは分かりません。本当に実行する人がいるならカメラマン、ユーザー、園、運営者の三方良しならぬ四方良しのバランスを考えなければいけません。

しかも、このプラットフォームは運営事業者にとっても面白いポイントがあります。

プラットフォームを広げる初期の段階においては運営者が自らカメラマンと園側にアプローチする必要があるでしょうが、ある閾値を超えると運営者は営業する必要が無くなりカメラマンが独自に園側に営業をかけるビジネスモデルにできるのです。

つまり、一定の認知を超えると運営者ではなくカメラマンの営業によりアメーバ的に広がっていく仕組みであるということです。プラットフォームに参加するカメラマンが増えれば増えるほど、運営者にとってのメリットも飛躍的に増大していきます。

カメラマン自身にとってもメリットに感じる方がいるかもしれません。カメラマンとは基本的に時間拘束で単価が決まるうえ、待ちになることの多いビジネスモデルなのでしょうが、サービスを広げていくことをカメラマン自身で実践できるのです。しかも、自分の撮影した写真をユーザーが気に入れば、購入枚数に比例して売上は伸びていくということです。

ストックフォト系のサイトが持つ利点も活用しながら、しかも撮影した分については「一定の売上を見込みやすい」という点において、ストックフォト系サイトよりも優位に感じるかもしれません。

もちろん、園側の運営に支障をきたさないようにプラットフォームの利用と引き換えにした営業の条件設定なども考えなければなりません。また、著作権に拘るカメラマンの方も多いでしょう。しかし、カメラマンに取って著作権でもっとも引っかかるのは「著作権を譲渡した場合、その写真を複数のメディアに繰り返し転用される」という事態ではないでしょうか。しかし、個人が楽しむ写真にとってソレは当てはまらないはずです。

もし、ここの問題がもっと根深いのなら商用利用NGという規約をつけてもよいかもしれません。ユーザーにとって、個人で楽しむ分には商用利用NGという規約はまったく問題ない要素だからです。

さて、それぞれのメリットを整理してみましょう。

【カメラマン】
・自身で営業先を開拓できる。
・販売枚数に応じて売上が増える。
【幼稚園・保育園】
・カメラマンに対する機会提供だけでマージンを得られる。
・保護者のロイヤルティ向上に繋がる。
【保護者(ユーザー)】
・高品質な写真を購入できる。
【運営者】
・参加カメラマンが増えるほどマージン増加&サービスが自動拡散する。

価格設定やマージン率の設定を誤らなければ、関わる人にとっては幸せなサービスになる可能性があるのかな?

肝心のカメラマンに自分でゴリゴリ営業したい人がどの程度いるのかという点は懸念ですが。。。営業自体をプラットフォーム上でしか出来ないシステムにしても良いかもしれません。営業〜園との契約〜ユーザーの購入までがプラットフォーム上で完結する。営業〜受発注まではランサーズのようなプラットフォームの持つ発想の応用です。


市場規模をざっくり推定してみる


統計情報を調べるのがメンドクサイので、本当に気になる方はご自身で調べてください。正確かどうかは分かりませんが、ざっくり全国に幼稚園・保育園に類する事業所は45,000あるようです。また、そこに通う児童の数は400万人ぐらいということです。

この両方の数字から市場規模を乱暴に計算してみましょう。乱暴ですよ、本当に気になるなら丁寧に計算してくださいね(2回目)

全国で45,000施設ということは、仮に1施設あたり1か月に30,000円の売上があがるとするならば、45,000施設×12か月×30,000円=162億円です。30,000円とは毎月1,500円買うユーザーが20組いれば成立する数字です。リサーチしなければ分かりませんが感覚としては全然アリな気もしますね。

また、児童数で考えてみてもよいでしょう。全国400万人の児童がいるということは、その分保護者もいます(兄弟姉妹いるのでカブりはありますが)。もちろん、写真を購入する人・しない人がいるでしょうが、仮に400万組の保護者が毎月1枚@300円の写真データを購入すると仮定すれば、400万組×12か月×300円=144億円です。もし私の月間購入額を平均と考えるのであれば、400万組×12か月×1,500円=720億円にも市場規模は推計されます。

新規事業を目論む際の市場規模として、最低限のラインは100億円程度であると有名な書籍「起業の科学」で紹介されています。乱暴な計算ですが、この双方とも考え方としては市場規模は満たしていると言えるのではないでしょうか。


ここまで説明すると、なんとなくイメージできているかもしれませんが、何もこのビジネスは幼稚園・保育園に限ったモノではありません。

最初に思いついたのは結婚式です。派手な写真集は不要だけれどもプロのカメラマンに入ってもらいたい、でも人件費まるごと払うほど撮影しなくて必要だと思った分だけ購入したい。もしかしたらそんなニーズがあるかもしれません。ほかにも、地域行事・お祭りなどに活用もできるでしょう、企業のイベントでも活用できるでしょう、同窓会なんかでも活用できそうです。

このように分野を広げていくことができれば、市場も広がっていくのです。つまり、市場規模もしっかり考えれば1,000億を超えているのかもしれません。


わたし個人のインサイト


私個人が感じているコトに戻りましょう。

こどもたちの写真は、「そこそこ良い」と思える品質の写真がほしいんです。ある程度プロっぽさがほしい、でもぶっちゃけレタッチなんかしなくてもよい。だって、普段購入しているのは保育園の先生方がデジカメで撮った写真なんだから。

いまのところ園の先生が撮影した「正直構図はイマイチ」、「なんだったらピンボケしてるかも」ぐらいの写真でも買ってしまうのです。それほど親にとって「離れているこどもの様子」は知りたくて仕方がない情報なのです。(私だけかな?)

でも、印刷よりもデータがほしいんです。未だにプリント写真で提供しているビジネスモデルが多いのは、この幼保業界の停滞の一つなのかもしれません。

データで提供する方が圧倒的に喜ばれます。しかも、プロカメラマンであればデータの品質に対しても納得の付加価値なのです。とは言え、1枚あたり300円が限度かなぁ。毎月購入することを考えると、ソレなりの費用になるので・・・

ちなみに、別に起業の科学を紹介したからといってリーンキャンバスを書いたりしたわけではありません。ホント、妄想です。私の個人的な欲求をアウトプットしただけです。


事業妄想を生み続けます


こんなサービス、たぶん無いですよね?、先に紹介したアプリは園側に紐付くプラットフォームですので、拡散性には乏しい。印刷会社に紐付いていても同様です。だから、カメラマンに紐付いてカメラマンとユーザーの取引という形態を作るのです。

カメラマンとユーザーの取引だから、サービスの拡散はカメラマン自身が担ってくれる。その取引から園と運営会社は利益の一部をもらうカタチです。

実は「あるよ」という場合はスミマセン。リサーチ不足です。また、誰かが既に思いついているが「実行していない理由」があるのかもしれませんね。

ちなみに、私自身はこのアイデアをビジネスにするつもりは今のところありません。

そもそも、ビジネスとして真っ当に俯瞰すると、ツッコミどころだらけで誰も実行しようとは思わないかもしれません。おそらく実際の起業家やプロの投資家が見れば鼻で笑うようなアイデアなのでしょう。しかし、もし奇特にもこのビジネスを実行したいという方がいるならばどうぞご自由に。ただし自己責任でお願いします。

私は、あらゆる妄想を、アイデアを振りまいている時間が幸せみたいです。

このビジネスが仮にとてつもない利益を生むものだったとしても、自分がソコに身を投じて必死に開発や営業をしているシーンを想定できません。きっと、必死になって埋没することができない私がやってもビジネスを世に出すまでのカタチにできないと思います。あくまでも受益者になりたいだけです。

こんなサービスがあったら嬉しいなぁ、の妄想です。自分が実行するわけではないのですが、思いついたアイデアを深掘りしてアウトプットしないままに時間の経過で忘れてしまうことを、何となく気持ち悪く思ってしまったがための妄想アウトプットです。

アイデアは生み出した段階では価値が無いとはよく言われること。実行に移す人間の方が尊いのです。私はアイデアの種をこれからも妄想に乗せて振りまいていきたいし、仮に全力で身を投じるならばこのテーマで・・・というアイデアは別に抱いています。(前回の事業妄想がそのテーマ)

だから、もし本当にコレをカタチにしようと思う奇特な方がいればご随意に。応援しています。そして、万が一カタチになったら折角のnoteなので、ほんの僅かなサポートをいただけると嬉しいです(笑)、それぐらいです。まあ、実行する人はいないでしょう。何の検証も深掘りも出来ていないのですから。おわり。

いただいたサポートは探究したいテーマの書籍代等として使わせていただきます☺️