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CXOをになうNo.2の「トリセツ」

ニューレボ / BizteXにてCSOを務める武末です。

コロナショックによって、スタートアップ経営者にはスピーディで前提にとらわれない意思決定が求められていると思います。その中で、現場と経営陣を取りまとめる我々のようなNo.2(CXO)は常に高い緊張状態にあり、安定的に高いパフォーマンスを出し続け、事業成長を実現する責務を負っています。今回は、そうしたNo.2について、5つの傾向をその対策を自身と周囲のそれぞれの目線から伝えたいと思います。

意外と語られないNo.2(CXO)論

資金調達の難化や事業成長の鈍化によって、経営が息詰まるスタートアップが増えると語られることが昨今増えてきていますが、これまでも現在もNo.2(CXO)の苦悩やその対策が語られることは非常に限られています。

(少し前ですが、こういった記事は非常に貴重に思います)
https://inouz.jp/times/ceo_coo_1/

また、No.2は社内ではCEOや従業員、社外では株主等のステークホルダーと社内の間に立ち、難度の高い役割が求められる中で、特に現在のような緊張状態においては、双方の見え方からNo.2の実像(難しさ)や対策を明確にすることの必要性は更に高まって行くと思います。

①板ばさみ論

先にも触れたとおり、No.2は社内ではCEOや従業員、社外では株主等のステークホルダーと社内の間に立つ特性上、それぞれの立場の間で板ばさみになりがちです。どちらも正しいことを言っているがなかなか折り合わなかったり、最悪の場合経営陣の間で今生の別れになるような場合も少なくないように感じます。

こうした場合に、No.2は自己解決する力が求められますが、まずは日頃から良好な関係を維持することが非常に重要です。板ばさみの状況下では、自身の抱えている悩みや意見を率直に話せる状態をいかに維持するかが重要になります。議論が正常にできなくなってしまってからでは遅いという私の持論です。また、日頃から良好な関係を維持するために、以下のような会話を定期的に行うことは効果的だと感じます。

・考えていること / 悩んでいることを相談する
・人間が理解される会話をする(好きなこと / 嫌いなこと 等)
・上記2つを相手からも引き出す会話をする

No.2はどうしても「自分が任せられているんだ」「自分がなんとかしなければ」と自身の殻にこもりがちです。特にCOOやCROのような事業統括ポジションではなおのこと上記を持ちがちですが、答えは自らの中にはなく、対話の中にしかないことをふと我に返って思い返して頂きたいと思います。

また、CEOのようなNo.2の周囲にいる人にも、No.2が板ばさみの中にいることを理解し、物事が進むよう適切に促す支援を少しでも行って頂ければ、No.2のパフォーマンスは大きく変わってくることをご理解いただけるとありがたいです。

②マルチタスク論

No.2は様々な部門を管掌することから、必然的に性質の異なる領域にてマルチタスクになります。私自身、以前のECスタートアップではCOOとして営業からCS、物流等の複数の部門を統括していましたが、日中は問い合わせ対応と営業アポを対応しつつ、夜はオペレーション設計や戦略を考えるというのが日常でした。

マルチタスクの中で発生する問題の一つに、「各所でミスする/漏れる問題」があります。各領域でマルチにタスクをこなしていると、どうしてもミスやタスク漏れが発生してきます。No.2目線では「ものすごいマルチにタスクやっていて辛い」という状況下で、現場目線では「あの人いつもミスしているな/漏れてるな」という雰囲気が充満してきます。こうした雰囲気がNo.2をタスク負荷以上に苦しめていきます。

このような問題において、No.2が行うべきは、以下の2つです。

・(経営目線)タスクを開示し適切な人員計画を設計実行する
・(現場目線)ミスが発生する前に任せられる人間関係を現場と築く

まず強く伝えたいのは、No.2は事業成長にコミットしているため、既存リソースの中で物事を解決しようとしがちですが、こうした発想が行き過ぎるとドツボにハマっていくということです。No.2が真に実現すべきは「事業の継続的な成長であり」そのための「適切なコスト構造の設計」です。多くのNo.2が日々のオペレーションに忙殺され、人員計画も含めたグロース段階を前提としたコスト構造を考えきれていない場合が多いですが、まずはこの部分をしっかりと設計し、CEOも含めた経営陣と株主等のステークホルダーと合意形成を行っていくことが最も重要です。

また、人員が揃っている状況では、No.2は自身の業務を任せるためにも、メンバーへの適切な引き継ぎを進める必要があります。この際に発生するのが、「引き継ぎの時間が取れない問題」です。人員はいるが、時間が取れずに一向に引き継ぎが進まない、挙句の果てにメンバーのレベルが低いから引き継げないと泣き言を言う場面も見受けられます。大切なことは、全体像を示しつつも人間の成長に合わせて徐々に引き継いでいくこと、そして引き継いだメンバーが無事活躍できるようティーチャーからコーチにいち早く廻ることです。ミスが発生し炎上している状況下で引き受けたいメンバー等皆無です。こうした状況になる前に、余裕を持って徐々に引き継ぎつつ、全体像を示してメンバーが的確に全体像をキャッチアップできるようコーチングを行う。これに尽きると思います。

③自己開示論

No.2は日々のタスクに忙殺され、ついつい自身の状況や思考の自己開示が後手に回りがちです。特に昨今のようなリモート環境下では、自己開示なくしてお互いの状況を把握することは非常に難しいため、意識的な自己開示が必要になります。これまでに振れてきた「板ばさみ」や「マルチタスク」という状況では、自己開示はそれらを解決するために最も重要なことと言っても過言ではないと思います。

No.2が開示すべきことは様々ですが、特に意識して開示すべきは以下だと私は考えています。

・会社/組織の現在の課題と対策(弱みの共有)
・会社/組織/個人の称賛(強みの共有)
・将来に向けて考えていることと参考ファクト


No.2が開示することの目的は、自身の状況を開示し適切なサポートが受けられるよにするよりも、むしろ強みと弱みを共有し打ち手をプロモートすることにあります。また、強みと弱みをバランス良く共有することで、他の経営陣やメンバーの思考をサポートすることができ、各自が正しいベクトルの元で能動性を発揮し、結果的に施策の効率が上がり、No.2自身のやるべきことが自然分散していきます。

私の場合は、2社のslackに所属していますが、どちらの会社でも # times_takesueというツイートチャンネルを作り全社員に私のコメントを見て頂いています。会社/組織/個人のコンディション状況に応じて、コメントを発信することでその反応から仮説検証がされ、より自身の認識が正確になっていくため、とてもおすすめです。

④最強の矛と盾論

事業によって成功要因が異なるため、No.2はCEOやその他の経営陣が持つ能力特性の違いによって、求められる能力が変わります。創業メンバーの場合、お互いの能力を補完する形でチームを組成する場合も多いですが、途中から加入するCXOには、会社の段階に合わせた能力特性を必要に応じて、身につける必要があります。

私の場合、2社にてCSOを担当していますが、共通して全社の事業戦略を担いつつも、1社ではプロダクト開発を、もう1社では経営企画とバックオフィスをそれぞれ担当しています。これはまさにCEOやその他の経営陣が持つ能力特性の違いによるのですが、複数社でCXOを担う私でなくとも、No.2には最強の矛と盾というにまさに相反する能力が求められます。なぜなら、No.2は以下の2つの役割を担う必要があるからです。

・CEOの担当領域(=得意領域)の相談役
・自身の担当領域の主役

もちろん組織や会社の段階によって、求められる役割は異なりますが、基本的にNo.2は、会社の足りない部分は自身が担うか連れてくるかを実践することが求められます。従って、アーリーステージのスタートアップにおいては、CEOの相談役として得意領域を活かしつつ、自身の担当領域では主役として事業成長を実現していく必要があり、自身×会社の掛け合わせの中で、最強の矛と盾が何かを把握し、常に自身の矛と盾を変化させていかなければいけません。

⑤勝負を決める論

スタートアップは9割がピンチで1割がチャンスで、その1割を掴めるかどうかで勝負が決まると思います。こうした勝負を決めるような意思決定はCEOを中心に行われることが多いかもしれませんが、No.2は現場で日々細かな意思決定を任され、そういった意思決定の蓄積がスタートアップの勝負を決めます。CEOに求められるのが、不可逆でしっかりと練られた意思決定なのに対して、No.2に求められるのは、現場を止めないスピーディかつ的確な意思決定です。スタートアップにおいてスピードこそが最大の武器ですが、実行スピードの速さはタスク処理ではなく意思決定のスピードに依存すると思います。従って、No.2には日々の勝負を決める意思決定の中で、

・ほぼ100%の現場からの問いに即回答できているか
・上記の回答によって現場のスピードは上がっているのか


を日々自分に問い続けることが必要です。現場から問いが来る時は「現場が止まっている時」です。従って、即回答を出せないと回答待ちの分だけ現場は止まり続けます。また、即回答ができていても、現場が理解し実行の質が上がらない限り、事業としてのスピードアップは実現できません。現場をになうメンバーにとって早くてわかりやすくやることが明確な意思決定がNo.2には求められます。


私自身もたくさんの失敗と限られた成功を噛み締め、体調やメンタルバランスを崩しながらも前に進んでいますが、コロナショック下においては、人知れず悩みもがき苦しんでいるNo.2が非常に多くなってきていると思います。そうした方々にとって、私の思考が前に進む一助になれば幸いです。


今後もNo.2の方々に参考になる情報を発信していければと思います。また、何かご相談したいことがあれば、いつでも承りますので、FB messengerにてご連絡ください。よろしくお願いいたします。

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ロジクラ(物流SaaS)とBizteX(クラウドRPA/iPaaS)の取締役CSOです。『パラレルCXO』として、No.2や事業戦略に関する論考をまとめます。 https://logikura.jp/ https://www.biztex.co.jp/
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