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★我楽多だらけの製哲書(67)★~人生で一番大切なものとウィトゲンシュタイン~

(2016年の出来事の回想である)
ここ沖縄はシンガポールとは一味違った形で外国の方が多く滞在されています。米軍基地があるという理由は言うまでもなく、中国や韓国からの旅行者がとても多くいます。4月の初めに沖縄に来たころ、ホテルに泊まっているとロビーを埋め尽くすのは中国や韓国の人ばかりで、このホテルに泊まっている国内旅行者は私だけではないだろうかと思ったくらいです。

今日も沖縄探索をしながら散歩していましたが、自転車に乗った欧米系の二人組に声をかけられました。道を尋ねられるのかなと思っていたら、多分「Have you talked with missionary ?」というようなことを言われ、私が「No」と答えたら、そこから宗教の勧誘が始まりました。

ただ、彼らは私に英語力がないことを見事に見抜き、「あなたにとって人生で一番大切なものは何ですか?」と聞いてきました。そのまま日本語で返答するのは、何となく悔しかったので「Family」と答えると、「とても良いことですね」とまた日本語。

「家族だけですか?」とさらに質問してきたので、「I think the meaning of the family includes my friend. I learned that in high school days.」と頑張って返答してみましたが、どうしても頭の中で綺麗な文章を組み立ててから話そうとするので、変な間があり、まあ英語が得意ではないことは明らかだったと思います。

そのあとも、日本語で勧誘を続けてくるので、私は諦めて日本語で答えることにしましたが、結局のところ、よくある「宗教と英語の勧誘」でした。私はまだ沖縄に来たばかりなので、そのような集会に参加する時間はとれないと言って断りました。最後はにこやかに握手をして別れましたが、英語でコミュニケーションを取り続けられなかった自分の情けなさに打ちひしがれました。今後も怠けずに英語を勉強しようと思います。

オーストリアの分析哲学者であるルートヴィヒ=ウィトゲンシュタインは、彼の前期の思想として、世界というものは事実が集まって形成されているものであり、言語というものはその世界を映す像であると考えました。(これを写像理論と言います)

そのため、言語と事実には正しい対応関係があるとし、神や道徳など現実の事象と正確に対応させることができないものについて、従来の哲学が語ろうとしてきた流れを批判します。そして、そういった現実の事象と対応しないものについては沈黙を守るべきだと、ウィトゲンシュタインは考えました。この立場は端的に「語りえぬものは沈黙しなければならない」と表現されます。

今回、私が英語で上手く話すことができなかった原因を分析してみると、もちろん英語力のなさは当然のことなのですが、自分が真に語りたいと思っていることではない優等生のような取り繕った内容(人生で一番大事なものは「家族」や「友人」であるとしたこと)を表現しようとした部分もあったと思います。それを無理に形にしようとしたとき、上手く言語にはならず私は結果的に沈黙という状態に陥ったのだと思います。(本来の私ならば人生で一番大切なものは「自分の掲げる『正義』」と答えることでしょう。この正義はあくまでも自己内に留まる主観的な正義であり、普遍性があるかどうかは不確かなものなので、周囲に受け入れられないことの方が多いかもしれませんね。それが周囲との衝突やトラブルを引き起こすこともあります。この正義というのは、イスラームのジハードや、自衛による戦争、人道上の要請による空爆にも関連し、非常にやっかいな原理だと思います。)

(以下で勧誘のチラシを紹介)
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#宗教勧誘

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