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ちいさな頃こわかったもの

先日YouTubeを垂れ流して掃除をしていたら自動再生で怪談話が流れ始めた。
たまには冬の怪談話もまぁオツなもんだと思って流し聞きしていたけれど、途中でどうにも笑ってしまった。
いやいや、お化けよりも俺の半生の方がよっぽど怖いよと思ってしまったのだ。

お化けは「こんなに素晴らしい宗教をやらないから」と言って拉致監禁したりはしないし、好みの男のタイプだからと言ってオスの幽霊がケツを触って来たり付き纏って来ることもない。

けれど高校時代に社会科見学で行った桜金造の怪談話はマジで怖かった。そう、社会科見学が何故か桜金造の独演会だったのだ。他にも外タレ(名前は伏せる)をお招きしての講演会もあった。お話の内容はざっくり言うと「車の盗み方」だった。ある意味本当にあった怖い話である。

人は強制的に想像力を働かせなければならない場面に陥ると、自然と恐怖や不安を感じる生き物だ。
桜金造が怖かったのは顔もあるけれど、話し方のテンポや間が非常に巧みだったからだろう。
会場の雰囲気も加わって無意識に恐怖を掻き立てられた。

そう思うと小さな子供たちというのは経験したことが少ないので、割となんでもかんでも怖がったりする。

それは当たり前の反応なのだろうけど、中には「なんでこれが怖いの?」と思ってしまうようなモノまである。
うちの妹なんかは小さな頃風呂場にある「風呂桶」に恐怖していた。あとお坊ちゃまくんのオープニングにも。理由は全くもって謎のままである。

僕は生まれた頃からホラー映画が垂れ流しになった居間で育ったので怖いもんなんかないやい!!と思いきや、人一倍の怖がりだったりする。
お化け屋敷に入ると女の子を置き去りにして逃げ出し、過呼吸起こすくらいパニックになるし、高校文化祭のお化け屋敷では箱の中に入れられた「こんにゃく」に手が触れた瞬間、箱を張り倒して悲鳴を上げたほどだ。
この時は先のルートで待っていたお化け役の同級生達の爆笑が聞こえ、隠れている場所が分かってしまった為にツレに怒られた。

急に驚かされることにホント弱いのだ(こんにゃくでも致命傷になる)。

小さな頃って何か怖いものあったかなぁと思い出すと、あった。
まず「納豆」が怖かった。あんなに臭くて不味そうなのに、毎朝それを母や兄が食べているのを見て戦々恐々としていた。
見たことはないけれど、まるで巨人が人間を捕まえて食ってるのを見た時のような心境に毎朝なっていた。
そんな僕のおかげで下に生まれた妹二人も見事に納豆を食べない人生を送るハメになった。
理由は小さな頃から僕が「あれは怖くて臭い未知の謎物体なので食すと死ぬ」と洗脳し続けたからだ。
幸い、その洗脳は未だに解けていない。

次に怖かったのは「あるある」かもしれないけれど、マクドナルドのピエロこと、ドナルドが怖かった。
奇抜でビビッドな服や髪の配色に、気が狂ったみたいな笑みを浮かべ続けているあのピエロが僕は怖くて仕方なかったのだ。
住んでる場所が洒落にならないくらい田舎だった為に町にマクドナルドは存在しなかったのだけれど、あれがCMに出てくるたびに僕は「ぎゃあああああ!!」と泣き叫んでいた。

それを面白がった兄達は僕が一人でお風呂に入っていると、外から突然風呂の窓を開け

「マークードーナールードー!!」

と驚かせるのだった。
驚いたあとはもう烏の行水になる。頭も泡だらけのまま、心も顔も真顔で真っ青なままお風呂を強制脱出していた。
次は窓からドナルドが現れ、無残な方法でハンバーガーにされて食べられるのではないかと思っていたのだ。

何が怖いのかってポイントは本当よく分からないけど、きっと命の危機を感じさせる何かがあるから子供は泣き叫ぶのだろうな、と思った次第でありました。

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