骨折体験談!! という、おはなし 【エッセイ】
夏真っ盛りになるにつれ、オリンピックの盛り上がりとは裏腹に読んで頂く機会が増えて喜んでおります、ワタクシ、おーーーえだ!! ああああ!! あーーーえだ!! いや、大枝です。
大枝姓は大江麻理子アナウンサーの遠縁の可能性があるという事で、遠縁とはやはり遠いものだと実感しております。ファッブル宇宙望遠鏡も眼精疲労を起こすくらい遠いです。
さて、皆さん骨折の経験はおありでしょうか?
そうです、あの骨がパキッとポキッとイクゥ!あの骨折です。
『骨の音』なんて漫画があったり、IWGPスペシャルでは何故か雷図が骨の音をサンプリング使用していたり、骨折はやっぱり怖いイメージがあります。
何故怖いかって?そりゃ痛いからですがな!旦那!冗談言っちゃいけませんぜでやんすのゴンスよ!!
今回のお話は本当に何も考えないでフラフラ書いてるのでフラフラ読んでもらえると良い。
僕が骨を折ったのは高校三年の春だった(唐突にはじまります)。
サッカーの授業中、ゴール前でブラブラしていた僕とGLAYマニアのY君はやる事がなく、ぼーっと味方チームがゴールをバカスカ決めるのを見守っていた。
Y君が全然似てないGLAYのテルのような口調でこんな事を言った。
「なぁっ……!たけしぃ、俺とおまえ、どっちが高く飛べるか、勝負しないか……?」
「えー面倒臭いよ。やだよ」
「飛ぼうぜっ……!ハイになろうぜっ……!」
「仕方ないなぁ……じゃあ行くよ?せーのっ」
僕らは二人で同時にジャンプした。さぁ、どちらが高く飛べるか!勝負の結末は!?
と、白熱しそうだったのだがすぐにそれどころでは無くなった。
パキャンッ
と乾いた音を、僕はこの耳でハッキリと聞いた。
足元が定まらず、そのまま地面に転がった僕は叫び声を上げた。
「いたああああああああああ!!」
埼玉県北部の広大な赤土のグラウンド。
汗を流してプレイする少年達。
その遥か後方、全くサッカーとは無縁の場所で僕はのたうち回っていた。
クラスメイト達が駆け寄ると、皆が口々に
「折れてる折れてる!」
と血相を変えて心配し始めた。
僕は自分の足元を確かめる勇気がなく、駆け寄ったクラスメイト達に
「ねえ!今どうなってる!?足どうなってる!?」
と半泣きで尋ねていた。
しかし、鬼のような体育教師の担任は僕の足を見てこう言った。
「折れてねぇ!おめーらの気のせいだ!!」
周りが唖然とする空気を感じながら、僕は尋ねた
「折れてないんすか!?マジで大丈夫ですか?」
「おう!この後就職説明会があるんだ!折れてる訳がねぇ!!」
ガーーーーーーン!!!!!
僕の足は見る見るうちに青黒く変色して行ったのだが、就職説明会なるビッグイベントの前で「何も起きてない」事にされてしまった。
その後教室に戻ったのだが震えは一向に止まらず、Y君とJ君に身体を支えてもらわなければ到底動けない状態にまでなってしまった。
念の為保健室に行くと、保健室のおばさん先生も
「この後就職説明会だから、ね?氷で冷やしておけば大丈夫なのよ?ね?」
と、僕の足は大丈夫!との太鼓判を押してくれやがった。
体育館に移動して就職説明会なるものが始まると何処かの会社のお偉いさんが壇上に登り
「えー!うー!働くという事はぁ、つまり!働けるという事なのでありますから!えー!うー!尊いのでお金をもらえるわけでございまして!あー!うー!お金を稼ぐには働く必要がある訳なのですがつまりは尊いです!あー!うー!」
という訳が分からないけど馬鹿でも分かるような講釈を始めたので僕のイライラと痛みの限界はついにピークに達した。
氷の入ったビニール袋に包まれた足を引き攣りながら、僕は体育館の外へ這いずるようにして逃げ出した。
そして親に迎えに来てもらい、そのまま地元の整形外科へ行くと
「大枝くん!これは折れてるよ!ほら!」
とバッチリ足首の骨が折れたレントゲン写真を見せられたのだ。
先生はその場で学校へ連絡し、全然大丈夫じゃない旨を伝え僕の代わりに電話機が爆発するくらいの勢いでキレまくってくれた。
その後松葉杖で学校生活を送った訳だけども、学校裏で煙草を吸っていたら見回りの先生の近付く音がした。
「やべっ!逃げろ!」
その声と同時に僕も逃げ出したけども足は折れている。
けれど火事場の馬鹿力とは不思議なもので、誰よりも全力疾走して放り投げた松葉杖を追い抜いたY君に拾ってもらったりもした。
「おまえ怪我してる時の方が元気じゃねーかよ!」
周りからそんな事を言われたのをさっき何となく思い出してこんな事を書いてみた。
怪我の功名って言葉もあるらしいけど、何かを治そうとする力は凄まじいって事です。
オチも何もないエッセイですが、たまには。
それでは、良き夢をご覧になる事を願って。
おやすみなさい。
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