【小説】 何時に合わせますか 【ショートショート】
高校の入学祝いに、僕はお父さんから腕時計をプレゼントされた。それは誰もが知っているブランド物の時計で、高校男子が腕に嵌めるにはデザインがあんまりにも大人びている気がしたけれど、お父さんは
「男はな、腕時計をしていることに自体に意味があるんだ。おまえにもそのうち分かるよ」
と、なんだか嬉しそうに言っていた。
銀色に輝く重みのあるバンドを左腕に巻き、黒いシックな時計盤を眺めているとなんだか自分が突然大人になったような気分になった。
折角の腕時計だ。僕は一秒のズレもなく