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音をつむぐ#54「環世界」

■「環世界」とは?

環世界(=Umwelt:ウンベルト)とは、
ドイツの生物学者であり哲学者であるユクスキュル(1864〜1944)が唱えた考え方で、すべての生物は自分自身が持つ知覚によってのみ世界を理解しているので、すべての生物にとって世界は客観的な環境ではなく、生物各々が主体的に構築する独自の世界である、というものです。

この感覚というのは私たちが一般的に捉えている認識とは、少し違った捉え方ですね。私たちの周りには、客観的に広がる環境、空間があり、時間があり、その共通のプラットフォームを共有していると考えていますが、ヤーコプ・フォン・ユクスキュルは個々の生物が主体的に捉え構築した独自の世界としての環境が無数にあると考えたのでした。

■「音楽制作」と「環世界」

私がライフワークとして音楽を作る理由の一つには、この「環世界」というものを感じていて、自分の世界感を誰かに向けて発信しているという意識があります。
この行為は、生物が自然に行う根源的な営みではないかとも考えています。

「na na na」という楽曲は、
少し奇妙な和音、コード進行で出来ています。
僕が独自に捉えている「環世界」の質感とはこんな世界です。

エネルギーを持つ和音と言葉を
重層的に並べて、かなり感覚的に作った楽曲です。

■想像力が世界を繋ぐ

人間には誰にでも想像力という類い希なる力があるので、本来その力を発揮すれば、生物の独自の環境を繋ぎ、それぞれの生物のエネルギーを最大限に生かして、この世界の可能性を発展させることができると感じています。

自分が心を開いていさえすれば、生物の全ては何らかの形でそれぞれの思いを発信しているので、そのメッセージ、声を感知できるのではないかと感じることがあります。

最近は野鳥を観察していると、彼らが捉えている独自の世界を僕ら人間にも見て欲しい、感じて欲しいというようなメッセージを送っているように思えることがあります。

それはあまりにも子供じみた感覚かも知れませんが、誰にも迷惑をかけるわけでもないので、ひっそりとその時間を楽しんでいます。

環世界に誘う青い鳥「ルリビタキ」

上の写真は青い鳥「ルリビタキ」ですが、この鳥を追っかけていて、撮影に夢中になって、森の奥まで行ったのですが、

「僕が見ている世界も独特で素敵だよ」

と言ってくれているようで(笑)
一瞬、彼らの棲む「環世界」の入口まで案内され、その世界に入り込んでしまうような感覚になりました。その時に撮った写真で、とても不思議な力を持った1枚です。

■娘の作った小さな小さな世界

娘が小学4年生の時に部屋で集中して何かやっていると思ったら、手作業で小さな小さな自分の部屋を作っていました。100円ショップで買った物もありますが、椅子や机など自分で1から作った物もあって、これには驚きました。今回の話に絡めて言えば、彼女が捉えている「環世界」独自の世界の一端が見えた気がしました。この時はとてもうれしくハッピーな気持ちになったことを覚えています。

椅子は紙を貼り合わせて作ったそうです
小さな小物も試行錯誤して、自分好みのものを制作
色の具合いも彼女の世界観が出ています

ぜひ、貴方の独自の「環世界」も世界に発信してみて下さい。
そんな活動が広がれば、世界が緩やかに繋がり、穏やかな世界が立ち現れてくるのではないかと感じます。

最後まで読んで、聴いて、見て、感じて頂きありがとうございます♫

■take HP (メジャー実績 楽曲提供)