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現代建築史ノート

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現代建築についてあれこれ思ったこと、考えたこと、調べたことをとりとめもなく雑多なままに書き出したノートたちです。
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#推薦図書

相模書房『建築新書』の世界|幻におわった超豪華ラインナップ

相模書房『建築新書』の世界|幻におわった超豪華ラインナップ

対米戦争勃発の年、1941年、『建築新書』と名付けられたシリーズ本の刊行が開始されました。出版社は、今はなき相模書房。シリーズ監修には、岸田日出刀(東京帝大教授・建築意匠・設計)、田辺平学(東京工大教授・建築防災)、田辺泰(早稲田大教授・建築史)があたりました。

刊行予定とされた書目は、なんと全部で109冊にのぼります。国家総力戦にあって、ますます科学技術の重要性が認識されていた当時ゆえに、この

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食寝分離論というプロジェクト【1】ばばばあちゃんの就寝行為

食寝分離論というプロジェクト【1】ばばばあちゃんの就寝行為

建築計画学の教科書に必ず登場する用語に「食寝分離」があります。「食うところと寝るところを分けましょう」という意味合いのこの言葉。戦後日本の住宅計画を決定づける考え方へと発展していきました。

提唱者である西山夘三(1911-1994)は、後に、この「食寝分離」の考え方が「現状の分析からそこに隠されている法則性を発見し、これを創造的に適用しようとするリアリズムの展開」だったと回顧しています。

一方

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