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📗子育ての<アナフィラキシーショック>

 一度体内に入ってきた異物を体が覚えていて、次に入ってこようとしたとき、それを排除しようとして体が戦うのが「免疫」だ。

 本来、免疫は自分自身を守るために存在するが、蜂に二度刺されたときに起こる「アナフィラキシーショック」などは、自分を守ろうとして逆に自分を傷つけてしまう、免疫の過剰反応と言える。

 生物の機能など、自然界の仕組みは神の技を信じたくなるほど、完成度が高いのだが、ときどき「アナフィラキシーショック」のような罠が仕掛けられている

 このような自然界の仕組みや罠は、人間の社会生活にも当てはまることが多いものだ。守ろうとする気持ちが強いばかりに、過剰反応を起こしてしまい、守ろうとしたものを傷つけてしまう例はないだろうか?

 子どもが小さいときには親が「免疫」として働く。自分自身で「世間の風」というウィルスから身を守れないので、親の力が必要なのだ。

 しかし、子ども自身が「世間の風」から自分を守らなければならない「巣立ちのタイミング」があるのだ。そのタイミングで親が手を放してあげれば、子どもは「社会に出ていく力」を獲得することができる。

 ときとして、このタイミングを見失ってしまうケースがある。その時、「免疫」が「アナフィラキシーショック」となり、守ろうとしていたものを傷つけてしまう

 子どもの歩く道の前に転がっている「石」を親が先回りして退け続ければ、いずれ大きな石につまずき、大怪我をする。

 小さな石につまずき、何回か転んで膝小僧を擦りむいているうちに、石を避けて通る知恵や、擦りむいた傷口を消毒する方法を学ぶのだ。

 守る力が強いほど、手をはなすタイミングが遅くなり。アナフィラキシーショックの症状は重くなる。

 「なるようになるさ!とりあえず自分で解決してごらん!」と言える勇気も、必要な時がある。

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