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薄情屋遊冶郎
2020年3月18日 11:54
今はただ、俺の目に映る君の表情が、濁らなければそれでいい立ち尽くす夜は、どこまでも広く、ただ長い無音の闇に吹く紫煙は、立ち上りて行く先を知らない打ち尽くす度、猛る心を蠢く老木の枯れ枝が嘲笑い声にもならない叫びは遠く掻き消されるそういう夜を、ただ惑う骨脈、蠢動、嗤う末節眼前には枯木影は無様警告の音叉白骨は重く肉は爆ぜ関節は軋み風は遮る沈黙は止まず草木は唄わず星
2019年11月22日 12:10
ちょっとした遊びをやってる。ついさっきまでウイスキーロックで静かちびちび飲んでいた男が、急に動き出す。たまたま隣で飲んでいた女は眼を疑う、そんな遊びって、あるのかな。なんて。バーテンダーは一瞬だけ迷い、次々に酒を入れる。ステア、たったそれだけ、嘘はつけない。男はじっと所作を見つめる。真剣な眼差し。カクテルグラスに華は咲かない、だがしかし、この高級ブランド品のような艶は一体なんだ。その後、
2019年6月21日 12:51
どうしても閉めきれない扉があって。閉めても閉めても、ほんの少しずつ隙間が開いてしまって。そこからたまに、透明な蜘蛛だとか、ハサミムシだとか、百足だとか、そういった不穏な者たちが入って来て。近づいて手を掲げると、緩い微風が吹いていて、肌をばっちり露出した蛾が時々入って来て。いつもだったら毛を逆立てて、眼を血走らせて、威嚇しているつもりであるのに。扉を閉めようとする獣の姿は、どうしてもま