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一つの器から別の器に水を移す

よく「人間は均しく仏性を有する」と言われます。誰しも、同じ仏性を持っているというわけです。それならば、禅を学ぶ修行者は、正しい師の教えをそのままに受け取ることができるはずです。

このことを、「一つの器に入っている水を、別の同じ大きさの器に移すことができる」と言う意味で「一器水瀉一器(いっきすいしゃいっき)」と言います。(注: 瀉は水を注ぐという意味)

 [参考] 一器水瀉一器と同義の語に、「法水瀉瓶(しゃびょう) 」がある。
    瓶(かめ)から瓶へ水を一滴もこぼさないでうつすように、
    師匠から弟子へ法門を少しも漏れることなく正しく伝えること。

ただし、教義(法)を授ける師は、わずかも損じることがあってはなりません。すなわち、師自体が正当に教義(法)を漏れなく有して(体得して)いなければなりません。同様に、法を受ける弟子もまた、師と同じ能力を持っている必要があります。師と弟子とが完全に一体になっているときに、一器水瀉一器が成立するのです。師匠の有する仏教の奥義を、弟子が一回聞いただけでは体得できないことがあります。すなわち、弟子は奥義を理解できるまで師匠とやり取りして議論をすることによって咀嚼していく必要があるのです。だから、師匠から弟子に奥義を伝えることは時間がかかるのです。

また、師匠と弟子には相性というものがあります。だから、素晴らしい奥義を手に入れたい場合には、「豊かで、明るく、寛大で、やさしく、時に強い心を持つ師匠で、かつ弟子との相性が合う人に師事すべき」なのです。禅の世界では、師匠が自分と相性が合わない場合には、さらに別の師匠を探し求めるのは一般的なことなのです。

注意しなければならないことがあります。それは、ただただ坐禅すれば良いと誤解している人がいますが、それだけではだめなのです。大切なのは、教義そのものについてもしっかりと直感的・論理的に理解していく能力が必要なのだということです。

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