コントロールできるものとできないもの(936)
世の中にはストレスを感じる人は多くいるものです。なぜストレスを感じるかと言うと、理想があるのに、その理想に届かない現実とのギャップに悩むからです。その中でも、自分がコントロールできないにもかかわらず、そのことをあれやこれやと悩むことがストレスなのです。
一般的には、自分がコントロールできるものについては対応が可能ですから、対応することでストレスを軽減できます。しかし、コントロールできないこと(たとえば、上司が嫌だ、我が家に寝たきり病人がいる、フェイクニュース)は非常に対応しづらいものなのです。
大切なのは、コントロールできるものとできないものはあるのですから、コントロールできるものには対応し、コントロールできないものには抵抗しないということです。いわば、自分の感情をしっかりと見極めて、その感情を引き起こす原因を知って、コントロールできるものに対処し、コントロールできないものからは遠ざかる(またはあるがままに従う)ことです。
要するに、「コントロールできないものは、コントロールできない」と達観し、コントロールできないものに従うということです。
いったい、コントロールできないものとは、どのようなものでしょうか。
コントロールできないものとは、無意識下に行われるものと言ってもいいでしょう。
仏教や禅では「根本的原理(仏心と呼ぶ)を認識し体得すること」を目的としていますが、西洋哲学の一つであるストア哲学もまた「自然の理性に従って生き,情欲を制して安心立命・不動の境地に達すること」を説いています。仏心も自然の理性も、無意識下にあるものです。いわば、無意識の自分なのです。
どちらも、コントロールできないもの(仏心、自然の理性)に従うことを教えているのです。
私達は、根底にある仏心や自然の理性のもとで生きていることを再認識しなければなりません。それらは、コントロールできないものなのですから、あるがままに従うしかないのです。
正しくない生き方とは、自我(生後作られてきた価値基準や判断基準。それらはもしかすると不完全であったり、誤っていたりする)というものに振り回されることを言います。自我が正しいものだと誤信して、それを行動に移してしまうと、誤った結果を生み、ひいては自分に振り返ってくることを知らねばなりません。
自我に執着すると、最終的にストレスに結びつきます。自我が出てきたら、自分の中にある「仏心」や「自然の理性」に従うという習慣を確立することが大事なのです。
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