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施しで分け与えると見返りはあるのか(899)

「布施」すなわち「施し」は、自分のものを分け与えることです。これまでに「施し」について記事にしてきました。今回は、「施し」のまとめをしてみたいと思います。

[「施し」の三つの種類]
 「布施」は仏教用語であり、次の三種類に分類しています。
  財施とは、金銭や衣服食料などの財を施すこと。
    一般的に僧は私物を持たないで修行するので、
    財を有する人が僧に施すのが財施。
    ただし、財を有する人が持たない人に施すのも含む。

  法施とは、布施を受けた僧がそれに報いるために仏の教えを説くこと。
    教えを説いて聞かせて、相手に安らぎを与えていく。

  無畏施(むいせ)とは、災難などに遭っている者の恐怖心(畏れる心)を
    無くす(減らす)こと。
    やさしい言葉、あるいはやさしい顔つきで接するのは代表的な例。

[施しに際しての基本的ルール]
  施し全般について、
   「三輪清浄(さんりんしょうじょう)」のルールを守ること。
    (1)誰が(施者)、(2)誰に対して(受者)、
    (3)何を布施するのか(施物)に執着しないこと。

  財施においては、
   施しを受ける側は貪(むさぼ)る心や欲しいと思う心を忘れ去ること。

  施しを与える側は、
   恩にきせる心を離れて財を与えること。

要するに、施しても誇らず、受けても卑屈にならず、物の大小などに左右されないこと。理想的には、施しをしたとも思わず、施しの形態にだわらず、見返りを求めないこと。

  特に財施の場合には、施物は自分の物であるべき(盗品は許されない)。
  自惚(うぬぼ)れや高慢(こうまん)さがあってはならない。謙虚さが大切。

  [参考] 
   1. 見返りを求める施しは、不清浄施(ふしょうじょうせ)と言う。
   2. 返報性は布施においては無意味である。
   「返報性の法則(返報性の原理)」とは、
    与えたら、何らかの形で返ってくることを意味する。

[施しをする側の心がけ]
  「こんなにしてあげたのに」という気持ちを持たないことが大切。
  この考え方は、見返りを求めないのが布施であることの裏返しである。

最後に、仏教儀式などにおいて信者がお礼や感謝を表す場合の例をもって、施しをまとめてみましょう。

仏教儀式(たとえば葬儀)では、僧による読経や法話は、法施となります。それに対して信者から僧に対してお礼や感謝の金銭を渡すのが財施ということになります。その場合の封筒などの表書きには「御布施」と書くことが多いようです。
特に、葬儀において遺族が僧に渡す場合、「回向料」と表書きすることもあります。この時の「回向(えこう)」というのは、葬儀の読経が故人に対して向けられるようにという思いを示すものです。

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