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小円筋(Teres Minor)

今回は肩の腱板と呼ばれるインナーマッスルの1つ、小円筋について!

以前、同じく腱板の1つである棘上筋については解説しました。

小円筋は肩後方の筋の中でも硬くなりやすく、
神経症状や肩の可動域制限にも関わる筋です。

しっかり整理していきましょう!

小円筋の起始停止

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            (Visible bodyから引用)

起始:肩甲骨外側縁
停止:上腕骨大結節
支配神経:腋窩神経C5
作用:肩関節の外旋
(基礎運動学第6版)
起始:棘下筋に一部覆われて肩甲骨後面の外側縁部上半
停止:上腕骨大結節後縁の下部大結節稜の上端
支配神経:腋窩神経C5
作用:上腕を外旋し、かつ内転する
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
起始:棘下筋外側の肩甲骨背面の外上方2/3
停止:上腕骨の大結節の下方とその遠位の上腕骨体
支配神経:腋窩神経C5、6
作用:肩関節の外旋、内転、肩甲上腕関節の安定
(オーチスのキネシオロジー第2版)

小円筋の起始部は、一部が棘下筋の下に潜り込む形で付着します。

そして停止部では三角筋の下を潜り込み、上腕骨の外側に付着します。

そのため、セラピストの方であれば徒手的にリリースを行う時にはこの関係性は覚えておきましょう。

小円筋と棘下筋、小円筋と三角筋の間で滑走不全が起こりやすいです。

また、作用としては基本的には外旋筋ですがモーメントアームの解析では内転作用も有していると言われています。

筋機能

小円筋の主な作用は肩の外旋と安定化です。

しかし、その生理学的断面積は腱板筋の中では最も小さく
棘上筋の約1/3と言われています。

そのため、小円筋の筋力低下による外旋筋力の低下は大きな問題ではないと言われていますが、スポーツにおいては少し違う見方がされています。

特にバレーボールやバドミントン、野球などのオーバーヘッドスポーツでは重要な筋の1つです。

なぜなら、小円筋が活動しやすいのは3rdポジション(肩90°屈曲位)での外旋と言われており、その過緊張は水平内転を制限するからです。

オーバーヘッドスポーツでは肩が高速で動くため、あらゆる角度で安定させる必要があります。

そこで特定のポジションだけ力が入りにくい状態では、その場面で肩が不安定となり肩の障害につながりやすくなります。
(実際に結構多いです)

また、水平内転制限は、フォロースルーにおいて腕が減速していくときに過度な筋や付着部への負担を増加させ、肩後方の痛みにつながりやすいと言われています。

筋膜連結

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小円筋はディープ・バック・アーム・ライン(DBAL)に含まれます。

小指球筋⇒尺骨骨膜にそった筋膜⇒上腕三頭筋⇒肩回旋腱板⇒菱形筋、肩甲挙筋

棘上筋と同様、小指や尺側のラインに硬さがあると腱板は収縮しにくい状態になります。

ちなみに、立甲という肩甲骨を持ち上げるトレーニングがあります。

図1

このときのコツとして肩を外旋して小指側に荷重します。

その理由はこの筋膜の観点からも説明できます。

つまり、小指球筋から尺側に荷重して外旋することで腱板機能を使いやすい状態にしているのです。

立甲は腱板のトレーニングにもなるということですね。

詳しいやり方について興味がある方はこちらから。

オーバーヘッドスポーツをしている選手ならできて損はありませんよ。

小円筋の周辺組織

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            (Visible bodyから引用)

小円筋は三角筋と同じ腋窩神経支配です。

そのため、腋窩神経が腋窩を通って上に出てくる走行をしています。

Quadrilateral spaceと呼ばれる、上腕骨と上腕三頭筋長頭、大円筋と小円筋からなる四角形で囲まれた領域から腋窩神経や血管が出てきます。

よって、上記の筋が硬くなったり滑走不全が起こることで神経や血管の症状が出ることがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は腱板の1つ、小円筋について解説しました。

特にオーバーヘッドスポーツに関わる選手やセラピストの方は知っておきたい知識になります。

それではまた来週!

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