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BLUE GIANT

漫画ブルージャイアントの主人公は大ではない。誰よりも天才で誰よりも努力家で、全然ブレない超人の大ではなく、彼の熱にあてられた周囲の人々である。そこにドラマがあり、バリエーションがあるからこそ、等身大の読者が感情移入できるし、約30巻続いてるのに僕なんかは毎巻泣いてしまう。紙面の奥で鳴ってるはずの音に想像を掻き立てられて。

だけど映画だとその手法は異なってくる。
だって音が聴こえちゃうし、1話ずつ周囲の登場人物にフォーカスを当てられる漫画とは違うから。

だから映画の主人公は雪祈と玉田、あとはその音楽そのもの。

音楽がダメなら全て台無し、音楽が良ければオールオッケーな音楽映画のプレッシャーを一心に背負ったその音楽こそが主人公であり、上原ひろみとミュージシャンたちは見事にそれを乗り越えてみせた。

漫画でも大がずっと言ってる、「ジャズはお洒落な大人の音楽ではない。もっと熱くて激しいものだ。」というセリフの真意を、僕はこの映画を観るまではきっと理解できていなかったんだと思う。漫画で三輪さんにコルトレーンを聴かせるときに、iPodのボリュームをククッと上げてやると彼女がハッとするように、映画館の大音量でジャズを浴びてようやくわかった。ありがとう。
これを観てからジャズを聴くのが本当に楽しい。

演奏中のサイケデリックな演出もその効果を高めていたし、巷で散々言われているCG云々は個人的には気にならなかった。スラムダンクはあんなに気になったのに。

ラストの改変は、漫画を読んだ時は受け止めきれず、でも大の未来の為だと飲み込んでいた自分が救われたような、個人的にはすごく嬉しくて感謝したくなるようなものでした。

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